江戸商人、空より現るること
街外れ。
御池貴光一行、新居周辺散策しけり。
「……まぁ」
「ボロいけど住めなくはないわね」
エレノア・シルヴァリア、家見上げつつ呟きける。
一方。
佐藤健一、地下室覗き込みける。
「秘密基地感あるな」
「湿り気多きなり」
「そこはそう」
その時なり。
空。
ぴかぁぁぁっ!!
「うおっ!?」
突如。
丘付近へ巨大なる光の柱現れけり。
どごぉぉぉ……。
空気震え。
鳥達、一斉に飛び立ちたり。
「またァ!?」
佐藤、頭抱えける。
一方。
貴光、静かに呟きける。
「神気なり」
「嫌な予感しかしないわね……」
数分後。
一行、光柱地点へ辿り着きけり。
そこには。
一人の男、倒れける。
藍染めの半纏。
腹掛け。
鯉口シャツ。
小銭じゃらじゃら鳴らし。
いかにも江戸町人めきし姿なり。
「……いてて」
男、ゆっくり起き上がりける。
「なんでぇここァ……」
周囲見回し。
そして。
軽トラ発見。
「……………………」
数秒停止。
「……おい」
「む?」
「なんで荷車に鉄生えてんでい」
「鉄の牛車なり」
「違ぇだろ絶対」
即答なり。
佐藤、感動した顔しける。
「また現代知識ある人来た!!」
「現代じゃねぇ、江戸だ江戸」
男、立ち上がり。
ぱっぱっと埃払いける。
「魚住屋の魚住八五郎たァ俺のことよ」
「魚屋さん?」
「おうよ」
八五郎、胸張りける。
「魚捌かせりゃ日本橋一よ」
その時なり。
空。
ぴこん。
半透明の板、突如出現しける。
『転生特典』
『包丁さばき:神級』
『商売上手』
「……………………」
「……………………」
八五郎。
数秒見つめ。
「なんでぇこれ」
「説明始まった!!」
佐藤、即座にツッコミける。
一方。
八五郎、板ぺたぺた触りける。
「なんだこりゃ」
「芝居か?」
その瞬間。
空より声響きたり。
『あっ、どうも作者です』
「出やがった!!」
佐藤、即座に叫びける。
一方。
空の声、若干疲れ気味なり。
『最近転生者多くて管理大変なんですよね』
『あ、魚住八五郎さんは江戸商人枠です』
「枠って何でぇ」
『あと能力は』
『包丁さばき:神級』
『商売上手』
『です』
「地味だなオイ」
八五郎、即答しける。
『いやでも普通に強いですよ?』
「もっとこう……」
「火ィ出るとかねぇのか?」
『予算が』
「メタな理由言いやがった!!」
一方。
貴光、妙に感心した顔しける。
「魚捌き得意なりか」
「おうよ」
「雅なり」
「初めて褒められた気がすんな」
その時。
八五郎、ふと軽トラ見やりける。
「……で?」
「なんで牛が引いてんでい」
しん。
佐藤、静かに顔覆ひける。
「そこなんだよなぁ……」
一方。
貴光、当然のように頷きける。
「牛車ゆゑ」
「いやそいつ爆発で走るだろ」
「危険なり」
「牛の方が危ねぇよ」
黒牛二頭。
もぉー。
妙に不満げなり。
その時なり。
八五郎、ふと空見上げける。
「……ってことァ」
「俺ァ死んだのかね」
一方。
貴光、静かに頷きける。
「多分なり」
「軽ッッッ!!」




