家、高すぎること
王都近郊の街。
夕暮れ時。
御池貴光一行、不動産屋前に立ち尽くしけり。
「……高ぇ」
佐藤健一、震える声漏らしける。
一方。
不動産屋店主、帳簿ぺらぺらめくりつつ頷きける。
「王都近くだからなぁ」
「銀貨八十枚!?」
「家だぞ!?」
「家だからだよ」
エレノア・シルヴァリア、冷静にツッコミける。
一方。
貴光、妙に納得した顔なり。
「都の土地、高きなり」
「平安人のくせにそこ理解あるな」
その時なり。
店主、別の紙差し出しける。
「安いのならあるぞ」
「おっ」
『共同井戸付き小型住宅』
『銀貨四十五枚』
「高ぇ!!」
佐藤、即座に叫びける。
「俺達いま何枚だっけ!?」
「十三枚よ」
「終わってる!!」
一方。
貴光、窓の外見つめつつ呟きける。
「野宿でも良きなり」
「軽トラ生活に戻るな」
その時。
店主、少し考え込み。
「……まぁ」
「む?」
「一件だけ、クソ安いのあるぞ」
しん。
佐藤、目輝かせける。
「神!!」
数十分後。
街外れ。
一行、沈黙しける。
「……………………」
「……………………」
目の前。
ボロ屋なり。
壁ひび割れ。
屋根傾き。
窓半壊。
そして横には。
牛小屋。
「……………………」
佐藤、ゆっくり口開きける。
「……家?」
「一応」
店主、気まずそうに頷きける。
「前住人、夜逃げしてな」
「理由分かるわ」
一方。
黒牛二頭。
牛小屋見た瞬間。
妙に目輝かせける。
「もぉー!!」
「あっ」
黒牛達。
即座に小屋入りたり。
しかも。
藁へ寝転がり始めける。
「適応早ッッ」
エレノア、吹き出しける。
一方。
貴光。
家見回しつつ頷きける。
「風情あるなり」
「ボロ屋だよ」
佐藤、即答しける。
その時。
店主、ぼそっと呟きける。
「ちなみに地下室あるぞ」
「えっ」
「あと裏庭」
「おっ」
「あと牛小屋」
「牛メインじゃねぇか」
一方。
貴光。
少し考え込み。
「……牛喜びしなり」
「判断基準そこ!?」
その瞬間。
黒牛二頭。
もぉー。
完全にくつろぎ始めける。
一方。
軽トラ。
家横へ置かれ。
夕日反射し、ぴかーっ。
「おお……」
「家守り神様だ……」
通行人、勝手に拝み始めける。
「やめろォ!!」
佐藤、全力で叫びける。
その時。
店主、震える声にて呟きける。
「……もしかして有名人?」
「説明すると長い」




