普通の依頼、普通に終わらぬこと
街道橋騒動より半日後。
御池貴光一行、森沿いの街道進みけり。
一方。
佐藤健一、荷台にてぐったりしける。
「もう橋神様とか嫌だ……」
「人気なり」
「お前は喜ぶな」
エレノア・シルヴァリア、深き溜息つきける。
その時なり。
ギルド依頼書、風にてぱらりと揺れたり。
『森周辺の魔狼討伐』
『報酬:銀貨五枚』
「まぁ今回は普通ね」
「普通の戦闘依頼か」
佐藤、少し安心した顔しける。
「やっと平和――」
その瞬間。
森奥より。
グルルルル……
低き唸り声響きたり。
「おっ、来た」
木々の隙間より。
灰色の巨大狼三匹、姿現しける。
牙鋭く。
目赤く。
いかにも魔物なり。
「おおー、魔物っぽい」
「魔物だからね?」
エレノア、弓構えける。
一方。
貴光。
軽トラの後ろへ隠れける。
「任せるなり」
「またァ!?」
その時。
魔狼一匹、軽トラへ飛び掛かりける。
どごっ。
「キャインッ!?」
狼。
顔面から激突し。
そのまま地面転がりたり。
「……………………」
「……………………」
一方。
軽トラ。
ぴかーっ。
夕日反射しける。
「お前ほんと何なんだよ」
佐藤、真顔にて呟きける。
その時なり。
残る二匹。
黒牛へ狙い定め始めける。
「もぉ!?!」
「牛狙うでない!!」
貴光、珍しく焦りける。
一方。
エレノア、即座に矢放ちたり。
ひゅっ。
どすっ。
一匹命中。
されど。
最後の一匹、牛へ飛び掛かりける。
「危なっ!!」
佐藤、慌てて前出でける。
その瞬間。
黒牛二頭。
同時突撃しける。
「もぉぉぉぉ!!!」
どごぉっ!!
魔狼。
木まで吹き飛びける。
「……………………」
「……………………」
しん。
一方。
黒牛二頭。
荒き息吐きつつ並び立ちたり。
妙に格好良きなり。
エレノア、ぽつりと呟きける。
「……牛の方が強くない?」
「最近ずっとそうだよ」
佐藤、静かに頷きける。
その時なり。
貴光。
黒牛達撫でつつ、しみじみ呟きける。
「良き牛なり」
その瞬間。
軽トラ。
斜面にて、すぅ……っと動き始めける。
「……あっ」
しん。
全員。
軽トラ見つめける。
ごろ……。
ごろごろ……。
「待てなり」
ごろごろごろごろ!!
「また転がったァァァ!!」
軽トラ。
斜面爆走し始めたり。
黒牛二頭。
慣れた動きで即座に退避しける。
「もぉー」
「牛がプロフェッショナルになってる……」
次の瞬間。
どごぉぉん!!
軽トラ。
森奥の大木へ激突しける。
されど。
無傷。
一方。
大木。
倒れける。
「……………………」
「……………………」
佐藤、静かに呟きける。
「……軽トラって、こんな生態だったっけ」




