依頼、橋直すだけのはずだったこと
食堂街脱出後。
御池貴光一行、冒険者ギルドへ戻りけり。
一方。
佐藤健一、完全に疲れ切った顔なり。
「もう恋愛イベント嫌だ……」
「美しき出会ひなり」
「不倫未遂だよ」
エレノア・シルヴァリア、即座にツッコミける。
その時なり。
受付嬢、依頼書ぺらりと差し出しける。
「次はこちらです」
「む?」
『街道橋修復補助』
『報酬:銀貨三枚』
「おお、平和そう」
佐藤、安心した顔しける。
「やっと普通の依頼だ……」
「橋なりか」
「荷物運ぶだけよ」
「職人さんの手伝い」
「簡単ね」
数時間後。
街道沿い。
川流れ。
古き木橋、半壊しけり。
職人達、汗だくにて作業中なり。
「おー来たか冒険者!」
「手伝うなり」
一方。
職人達、後方の軽トラ見て固まりける。
「……………………」
「……………………」
「……何だアレ」
「牛車なり」
「鉄!?」
ざわつく職人達。
一方。
佐藤、慣れた顔しける。
「はいはい後でね」
その時。
親方らしき大男、橋指差しける。
「木材向こう岸へ運びてぇんだが」
「おお」
「橋半壊してるから人力大変でなぁ」
その瞬間。
全員。
軽トラ見やりける。
「……………………」
「……………………」
エレノア、嫌な顔しける。
「やめなさいよ?」
佐藤、静かに頷きける。
「いやでも今回いけるだろ」
「嫌な予感しかしない」
数分後。
軽トラ荷台。
木材山積みなり。
「重ッッッ……!!」
黒牛二頭、既に限界顔しける。
「もぉー……」
「頑張るなり」
「お前も押せ!!」
佐藤、後ろから必死に押しける。
一方。
職人達。
軽トラ見てざわつき続けたり。
「やっぱ頑丈だなアレ……」
「橋材より硬そう……」
その時なり。
半壊部分。
みしっ。
「……あっ」
エレノア、顔青ざめける。
次の瞬間。
ばきばきばき!!
「うおおおお!?」
橋、一部崩壊しける。
されど。
軽トラ。
普通に橋中央で停止しける。
「……………………」
「……………………」
橋。
壊れたり。
軽トラ。
無傷なり。
しかも。
橋崩れし部分へ引っ掛かり。
結果。
即席の支柱状態になりける。
「……………………」
「……………………」
職人達。
橋見て。
軽トラ見て。
再び橋見ける。
親方、震える声にて呟きける。
「……橋より強ぇ」
「比較対象橋になるの!?」
一方。
貴光、感心した顔しける。
「良き牛車なり」
その時。
職人一人、真顔にて呟きける。
「……これ橋に埋め込めば永久に壊れなくね?」
「やめろォ!!」
佐藤、全力で叫びける。
一方。
黒牛二頭。
静かに川見つめける。
その目。
どこか。
「沈めば解放されるのでは」
とでも言いたげなりけり。




