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ある日神の寄越し給ひし異形の獣に撥ねられて失せにければ異世界へ転生仕りき、されど能力の鉄の牛車召喚も黒き神境(?)とやらも使いよう皆無なり!  作者: イグアナ
旅路再開編

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深き闇にて争ひ終はりしこと

 洞窟。


 崩れ始めたり。


 天井より岩落ち。


 壁には亀裂走り。


 長き時を経て作られし地下空洞。


 終はり迎へんとしておりけり。


 その中心。


 二つの王あり。


 一つ。


 守るため進化せし王。


 一つ。


 力のみ求め暴走せし王。


 同じ始まりより生まれ。


 全く違ふ道へ進みし存在なり。


「急げ!」


 レン叫びたり。


 残された時間。


 僅かなり。


 暴走王。


 なお倒れず。


 傷だらけになりながらも。


 暴れ続けたり。


 生命力。


 異常なり。


 されど。


 それは強さでは無し。


 止まれぬだけなり。


 ポテ彦。


 それを見たり。


「……」


「悲しきものですね」


 佐藤。


 振り向きたり。


「何が?」


「あれもまた」


「生きようとした結果です」


 進化。


 それは生き残るための力。


 されど。


 間違へれば。


 自らすら壊す。


 暴走王。


 まさにその結果なり。


「だからって」


 佐藤。


 ナガン握りたり。


「止めないわけにはいかないだろ」


 ポテ彦。


 頷きたり。


「はい」


 その通りなり。


 同情。


 理解。


 それと止めること。


 別なり。


 その時。


 暴走王。


 最後の突進。


 幼き虫たちへ向かひたり。


 甲殻王。


 立ちはだかる。


 衝突。


 だが。


 限界。


 押される。


 傷。


 増える。


 それでも退かず。


「王ですね」


 ポテ彦呟きたり。


 支配者では無し。


 守る者。


 その姿なり。


「行くぞ!」


 レン。


 走りたり。


 エレノア。


 続く。


 身体強化。


 全力。


 フィア。


 魔法。


 支援。


 光。


 洞窟照らす。


 ヴィクトル。


 DP-27構へたり。


 狙ふ。


 首元。


 僅かなる隙。


 しかし。


 揺れる。


 王同士の戦い。


 狙ひ定まらず。


「……」


 ヴィクトル。


 静かに待ちたり。


 焦らず。


 ただ一瞬。


 その時を待つ。


 暴走王。


 腕振り上げたり。


 甲殻王へ。


 その瞬間。


 隙。


「Сейчас.(今だ)」


 銃声。


 響きたり。


 弾丸。


 弱点へ。


 命中。


 暴走王。


 大きく揺れる。


 されど。


 まだ。


 止まらず。


「まだ動くのかよ!」


 佐藤叫びたり。


 その時。


 甲殻王。


 動きたり。


 最後の力。


 暴走王を押さへ込む。


 逃がさぬ。


 その意味。


 全員理解したり。


「今しかない!」


 レン。


 剣構へたり。


 走る。


 エレノア。


 障壁を前へ展開。


 攻撃を逸らす。


 フィア。


 道を作る。


 そして。


 佐藤。


 貴光。


 二人。


 ナガン構へたり。


「まさか最後に俺が撃つことになるとはな」


 佐藤言ひたり。


「人生分からぬものなり」


 貴光答へたり。


「お前の場合、軽トラ引いてる時点で分からなすぎるけどな」


 いつもの会話。


 されど。


 これもまた。


 二人なり。


 発砲。


 二つの銃声。


 響きたり。


 弾。


 同時に。


 傷へ。


 命中。


 暴走王。


 動き。


 止まりたり。


 そして。


 レン。


 一撃。


 終はり。


 巨大なる身体。


 崩れ落ちたり。


 長き戦い。


 つひに。


 終はりたり。


 静寂。


 訪れたり。


 誰も声出さず。


 ただ。


 息を吐きたり。


 しかし。


 洞窟。


 未だ崩れ続けたり。


「余韻に浸る時間ないぞ!」


 佐藤叫びたり。


 もっともなり。


 一行。


 急ぎ戻り始めたり。


 甲殻王。


 幼き虫たちを連れ。


 さらに深き地下へ向かひたり。


「行くのか」


 レン言ひたり。


 王。


 振り返る。


 言葉無し。


 されど。


 敵意も無し。


 そして。


 闇へ消えたり。


 人は地上へ。


 虫は地下へ。


 それぞれの場所へ。


 戻ることとなりけり。


 やがて。


 一行。


 洞窟より出たり。


 外。


 雪。


 静かに降りたり。


 村人たち。


 待っておりたり。


 帰還を見るや。


 歓声。


 響きたり。


 戦い。


 終はりし故なり。


 後日。


 洞窟入口。


 封鎖されけり。


 されど。


 完全には塞がず。


 奥深き地下へ続く道。


 残されけり。


 ポテ彦曰く。


「あの虫たちも、この土地の生物です」


 とのことなり。


 滅ぼす必要無し。


 ただ。


 住む場所を分ければよし。


 そうして。


 北の村を襲ひし異変。


 終結したり。


 村。


 夜。


 一行は村長より借りし家へ戻りたり。


 久々の暖かき部屋。


 暖炉。


 食事。


 平穏。


 黒牛は外の小屋にて草食みたり。


 ポテ彦とポテ子。


 部屋の隅に並びたり。


「完全にジャガイモ置き場だな」


 佐藤言ひたり。


「失礼ですね」


 ポテ彦答へたり。


「宿泊です」


 いつもの日常。


 戻りたり。


 貴光。


 魚食ひたり。


「平和なり」


 佐藤。


 ため息。


「昨日まで巨大虫と戦ってた奴の発言じゃない」


 されど。


 これこそ。


 彼らの旅なり。


 魔王も。


 勇者も。


 鉄の鳥も。


 喋る馬鈴薯も。


 平安貴族も。


 奇妙なる一行。


 北の村にて。


 しばし休むこととなりけり。

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