勇者、旅立つこと
翌朝。
村入口。
桐崎レン一行、旅支度整えけり。
女子三人、荷物確認し。
馬、準備され。
実に“主人公の旅立ち”めきし空気なり。
一方。
御池貴光、少し離れし場所より静かに見守りける。
「……行くなりか」
「いや旅人だからな」
佐藤健一、即答しける。
その時。
レン、こちら振り返りける。
「まぁ……世話になった」
「うむ」
「軽トラには二度と関わりたくねぇけど」
「牛車なり」
「そこ最後までブレねぇな……」
一方。
エレノア・シルヴァリア、少し寂しげに呟きける。
「なんだかんだ騒がしかったわね」
「主に軽トラがな」
その時なり。
貴光、すっと前へ出でける。
「レンよ」
「ん?」
「達者で暮らすなり」
「……は?」
貴光、静かに頷きける。
「辛きことあれば戻るが良き」
「待て待て待て」
佐藤、即座に割り込みける。
「なんで息子送り出す親みたいになってんだよ」
「違うの?」
「数日しか会ってねぇ!!」
一方。
貴光、しみじみとレン見つめける。
「女子三人抱え、大変そうなり」
「だからその言い方!!」
レン、顔真っ赤にしける。
女子三人もざわつきたり。
「抱えて!?」
「違います!!」
「最低!!」
一方。
貴光、懐より干し柿取り出しける。
「持っていくなり」
「実家かここ」
佐藤、もう耐え切れず笑い始めける。
「ははははは!!」
その時。
レン、干し柿受け取りつつ呟きける。
「……なんなんだろうなこの人」
「平安貴族なり」
「知ってるよ!!」
その瞬間。
後方。
村人達、一斉に頭下げ始めける。
「軽虎様万歳!!」
「鉄神獣様に栄光を!!」
レン。
ゆっくり振り返りける。
「……………………」
軽トラ。
朝日反射し、ぴかーっ。
「おおおおお!!」
「だからなんでだよォ!!」
レン、最後の絶叫響かせける。
一方。
貴光、静かに頷きける。
「元気な子なり」
「親目線やめろ!!」
その後。
レン一行、村を去りける。
そして。
村境界越える直前。
レン、ちらりと振り返りける。
そこには。
軽トラ。
牛。
烏帽子。
ぽてち。
そして。
村人達に拝まれし平安貴族。
「……なんだったんだよアレ」
女子の一人、静かに呟きける。
「でも、ちょっと楽しそうでしたね」
「……まぁな」
レン。
少しだけ笑ひける。
一方その頃。
貴光。
軽トラ撫でつつ、しみじみ呟きける。
「子の成長、早きなり」
「まだ言ってんのかよ!!」




