勇者、対抗心を燃やすこと
森奥。
完全なる静寂なり。
牙猪。
レンの必殺技にて真っ二つ。
さらに。
軽トラ直撃により地面へめり込みたり。
「鉄神獣様最強!!」
「なんでだよォォォ!!!」
桐崎レン、絶叫しける。
一方。
御池貴光、軽トラぺたぺた触りつつ安心した顔しける。
「無事なり」
「牙猪の心配ゼロ!?」
佐藤健一、叫びける。
その時なり。
村人達、完全に盛り上がり始めける。
「勇者様の爆炎にも耐えた!」
「やはり神獣!!」
「聖なる鉄車!!」
一方。
レン、肩震わせ始めける。
「……ダメだ」
「む?」
「絶対勝てねぇ」
「何に?」
「軽トラに」
エレノア・シルヴァリア、真顔にて頷きける。
「まぁ、壊れないしね」
「そういう問題じゃねぇ!!」
その時。
レン、突然貴光の肩掴みける。
「お前さ!!」
「む」
「なんでそんな平然としてんの!?」
「平然?」
「普通もっと驚くだろ!!」
「軽トラだぞ!?」
貴光、少し考え込み。
「……頑丈な牛車なり」
「そこから動けェ!!」
一方。
村人達。
何やら相談始めける。
「やはり神殿必要では?」
「祠だけでは失礼だ……」
「軽虎様像も必要か」
「像ォ!?」
佐藤、勢いよく振り返りける。
その時。
村長、真顔にて頷きける。
「当然です」
「当然じゃねぇ!!」
「鉄神獣様は我らをお救いくださった」
「いやただ転がっただけ――」
「しかも芋神様までおられる」
「その名前やめろ!!」
一方。
貴光、妙に納得した顔しける。
「像とは名誉なりな」
「受け入れるな」
その時なり。
レン、突然何か気付きける。
「……待てよ」
「む?」
「この軽トラ、転がっただけで牙猪潰したよな」
「うむ」
レン。
ゆっくり軽トラ見つめける。
「……武器じゃん」
しん。
佐藤、嫌な顔しける。
「やめろ」
「いや待て」
「無敵」
「超重量」
「絶対壊れない」
レン、目輝かせ始めける。
「最強兵器じゃねぇか!!」
「やめろって!!」
次の瞬間。
レン、運転席飛び乗りける。
「鍵ないけど!!」
「押せばいけんじゃね!?」
「おお」
貴光、少し感心した顔しける。
「新しき牛なり」
「違ぇよ!!」
レン、必死にハンドル回し始めける。
ぐるぐる。
「うおおおお!!」
軽トラ。
当然動かず。
「……………………」
「……………………」
レン。
静かに降りける。
「……エンジンって偉大だな」
その時。
黒牛。
もぉー。
どこか。
「やっと理解したか」
とでも言いたげに鳴きける。




