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ある日神の寄越し給ひし異形の獣に撥ねられて失せにければ異世界へ転生仕りき、されど能力の鉄の牛車召喚も黒き神境(?)とやらも使いよう皆無なり!  作者: イグアナ
旅路再開編

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王目覚めるまで守り抜きしこと

 地下深く。


 巨大なる空洞。


 そこにて。


 最後の戦いの前触れ始まりたり。


 中心には巨大なる繭。


 否。


 繭と呼ぶべきかすら分からぬもの。


 黒き甲殻に覆はれ。


 青白き筋走り。


 内部にて何かが動き続けたり。


 それこそ。


 甲殻の王なり。


 かつて雪原にて巨大なる身体を誇りし存在。


 されど今。


 その姿。


 変はりつつありたり。


 巨大さを捨て。


 無駄を削ぎ。


 戦うためだけの形へ。


 進化せんとしておりける。


「……」


 佐藤。


 それを見たり。


「これ絶対待ったら駄目なやつだろ」


 もっともな判断なり。


 敵が変身するまで待つ理由など無し。


 現実は物語では無きなり。


「今攻撃するぞ!」


 レン叫びたり。


 全員。


 動き出さんとした。


 されど。


 その瞬間。


 周囲。


 音。


 かさ。


 かさ。


 かさ。


 大量。


 護衛虫。


 現れたり。


 壁。


 天井。


 穴。


 あらゆる場所より。


 まるで黒き波の如く。


「そう簡単にはいかないか」


 レン。


 剣構へたり。


 当然なり。


 王が最も無防備なる時。


 ならば。


 最も守りも厚くなる。


 ヴィクトル。


 DP-27構へたり。


「来る」


 短き言葉。


 直後。


 虫の群れ。


 一斉に動きたり。


 戦闘。


 開始なり。


 銃声。


 響く。


 ダダダダダ。


 洞窟内。


 音反響したり。


 DP-27の弾丸。


 虫を撃ち抜く。


 一匹。


 二匹。


 倒れたり。


 されど。


 止まらぬ。


 数。


 多すぎたり。


「多いな!」


 佐藤叫びたり。


「多いどころじゃないわよ!」


 エレノア返したり。


 身体強化。


 発動。


 前へ。


 拳。


 一撃。


 虫。


 吹き飛ぶ。


 さらに。


 魔法障壁。


 後方守る。


 攻撃。


 防御。


 両方。


 彼女の戦い方なり。


 フィア。


 魔力を集中。


 光。


 放つ。


 暗き洞窟。


 視界を確保したり。


「助かる!」


 レン叫ぶ。


 暗闇では敵が有利。


 ならば。


 光を作ればよし。


 単純。


 されど重要なり。


 一方。


 後方。


 佐藤。


 ナガン握りたり。


 手。


 まだ慣れず。


 されど。


 逃げず。


 構へる。


 虫。


 一匹。


 横穴より飛び出したり。


「来た!」


 発砲。


 一発。


 外れ。


 二発目。


 命中。


 虫。


 倒れたり。


「よし!」


 小さき勝利なり。


 その横。


 貴光。


 静かに構へ。


 一発。


 命中。


 二匹目。


 一発。


 命中。


「……」


 佐藤。


 見る。


「お前だけ別ゲーしてない?」


「何がなり?」


「拳銃初心者の動きじゃないんだよ」


「よく狙へば当たるなり」


「それ出来たら苦労しないんだよ」


 平安貴族。


 相変はらず謎なり。


 しかし。


 その時。


 音。


 かち。


 貴光。


 首傾げたり。


「出ぬなり」


「弾切れだ!」


 ナガン。


 七発。


 撃てば終わり。


 装填必要。


 強力。


 されど万能では無し。


 その隙。


 虫。


 接近。


 しかし。


 アレクセイ。


 割り込みたり。


 短剣。


 一撃。


 防ぐ。


「装填中は周りを見る」


 貴光。


 頷く。


「心得たり」


 また一つ。


 学びたり。


 その頃。


 ヴィクトル。


 DP-27。


 撃ち続けたり。


 だが。


 円盤弾倉。


 空。


 音止まる。


「装填!」


 叫ぶ。


 その瞬間。


 虫。


 狙ふ。


 やはり。


 学んでいる。


 銃声が止まる瞬間。


 そこが弱点。


 理解している。


「こいつら……!」


 レン。


 走る。


 ヴィクトルを守る。


 エレノアも障壁。


 数秒。


 ただ数秒。


 されど。


 戦場では長し。


 そして。


 装填完了。


 再び。


 銃声。


 響く。


 押し返す。


 しかし。


 ポテ彦。


 戦場ではなく。


 繭を見ていた。


「まずいです」


「何が!?」


 佐藤叫ぶ。


「あれ」


 ポテ彦指差す。


 繭。


 動き。


 速くなっていた。


 どくん。


 どくん。


 まるで鼓動。


 「戦闘音」


「刺激になっています」


 沈黙。


「つまり?」


「王は今」


「我々との戦闘情報を使っています」


 全員。


 理解した。


 今戦っている護衛虫。


 それすら。


 情報収集。


 どの攻撃が危険か。


 どう対応するべきか。


 全て。


 王へ送られている。


「最悪じゃねえか!」


 佐藤叫ぶ。


 当然なり。


 倒すための戦い。


 それが敵を完成へ近付けている。


 だが。


 止まれば。


 虫に飲まれる。


 進むしか無し。


 レン。


 奥を見る。


「なら急ぐだけだ」


 剣。


 握る。


「完成する前に届く」


 全員。


 頷きたり。


 攻撃を防ぎ。


 虫を倒し。


 少しずつ。


 繭へ近付く。


 一歩。


 また一歩。


 されど。


 その時。


 音。


 ぴし。


 響きたり。


 全員。


 止まる。


 繭。


 割れたり。


 小さな亀裂。


 そこより。


 黒き腕。


 現れたり。


 以前の巨大なる脚では無し。


 細く。


 鋭く。


 完成された形。


 ポテ彦。


 静かに呟く。


「……間に合いませんでした」


 殻。


 さらに割れる。


 地下空洞。


 静まりたり。


 甲殻の王。


 最後なる姿。


 目覚め始めたり。

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