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ある日神の寄越し給ひし異形の獣に撥ねられて失せにければ異世界へ転生仕りき、されど能力の鉄の牛車召喚も黒き神境(?)とやらも使いよう皆無なり!  作者: イグアナ
旅路再開編

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深き洞にて赤き銃声響きしこと

 洞窟。


 そこは、以前訪れし時とは別物となっておりけり。


 冷たき岩肌。


 暗き道。


 古き鉱山の跡。


 それらは既に半ば消えたり。


 壁。


 天井。


 地面。


 そこには黒き甲殻のようなもの広がり。


 まるで洞窟そのものが一つの巨大なる生物となりしやうな姿なり。


「……」


 佐藤。


 周囲を見る。


「これ、本当に昨日まで普通の洞窟だったのか?」


 当然の疑問なり。


 たった数日。


 されど。


 甲殻王は環境すら変へ始めていた。


 ポテ彦。


 壁を調べたり。


「恐らく巣です」


「巣?」


「はい」


「環境そのものを自分たちに適した形へ作り替えています」


 佐藤。


 顔をしかめたり。


「進化だけじゃなく建築までするのかよ」


 厄介極まりなし。


 虫。


 されど。


 ただの虫では無し。


 群れ。


 文明に近きもの。


 そこまで近付きつつありたり。


 先頭。


 レン。


 剣を構へ進む。


 横。


 エレノア。


 いつでも身体強化出来るよう準備。


 後方。


 ヴィクトル。


 DP-27。


 構へたり。


 その姿。


 先程まで空にいた時とは違ふ。


 完全なる歩兵なり。


「似合いすぎだろ」


 佐藤呟きたり。


 ヴィクトル。


 首を傾げる。


 貴光訳したり。


 すると。


 ヴィクトル。


 少し笑ひたり。


「昔はこちらの方が多かった」


 そう答へたり。


 彼らは飛行機だけの存在ではない。


 戦場を知る兵士なり。


 しばらく進みたり。


 音。


 かさ。


 かさ。


 止まる。


 全員。


 構へる。


 暗闇。


 奥。


 光る目。


 一つ。


 二つ。


 違ふ。


 大量。


「来るぞ」


 レン言ひたり。


 次の瞬間。


 壁。


 天井。


 小型虫。


 一斉に現れたり。


 小型。


 とは言へ。


 人ほどの大きさあり。


 鋭き脚。


 硬き甲殻。


 普通の魔物なら十分脅威なり。


「多い!」


 フィア叫ぶ。


 レン。


 前へ。


 剣。


 一撃。


 切り裂く。


 エレノア。


 身体強化。


 殴り飛ばす。


 しかし。


 数。


 多し。


 その時。


 音。


 ダダダダダダ。


 洞窟内に響く轟音。


 DP-27。


 ヴィクトル。


 射撃。


 小型虫。


 次々倒れたり。


 村人たち。


 驚く。


「なんだあの武器……」


 鉄の鳥ほどではない。


 されど。


 人が持つには異常なる力。


 ヴィクトル。


 冷静。


 撃つ。


 撃つ。


 狙ふ。


 無駄撃ちせず。


 確実に倒す。


 だが。


 やがて。


 音。


 止まる。


「え?」


 佐藤。


「弾切れ?」


 ヴィクトル。


 頷く。


「装填」


 円盤弾倉。


 交換。


 弾薬は無限。


 されど。


 装填は必要。


 その数秒。


 敵は待たぬ。


 一匹。


 飛び出す。


「危ない!」


 フィア叫ぶ。


 その時。


 音。


 乾いた銃声。


 一発。


 虫。


 倒れたり。


 撃った者。


 佐藤。


「……」


 本人。


 一番驚いていた。


「当たった」


 正直な感想なり。


 ナガンM1895。


 煙。


 僅かに上がる。


 ヴィクトル。


 弾倉交換完了。


 少し笑ふ。


「良い射撃だ」


 貴光訳す。


 佐藤。


 苦笑。


「偶然だけどな」


 されど。


 その一発。


 意味は大きかった。


 補給だけではない。


 守られるだけでもない。


 自分も戦える。


 そう知った瞬間なり。


 さらに奥。


 別の虫。


 飛び掛かる。


 狙い。


 ポテ子。


「!」


 佐藤。


 間に合わぬ。


 しかし。


 銃声。


 一発。


 虫。


 落ちたり。


 撃った者。


 貴光。


「……」


 佐藤。


 見る。


「また当てた」


「何故驚くなり?」


「普通驚くんだよ」


 貴光。


 ナガンを見る。


「便利なる鉄筒なり」


「反応軽いな」


 平安貴族。


 順応力高すぎなり。


 戦闘終了。


 周囲。


 静かになる。


 ポテ彦。


 倒れた虫を見る。


「妙ですね」


 レン。


「何がだ?」


「弱いのです」


 沈黙。


 十分強かった。


 しかし。


 確かに。


 甲殻王の進化を考えれば。


 あまりに普通。


「つまり」


 佐藤。


 嫌な顔。


「本命じゃない?」


 ポテ彦。


 頷く。


「恐らく」


「時間稼ぎです」


 全員。


 奥を見る。


 甲殻王。


 まだ進化中。


 それを守るため。


 小型虫を送り続けている。


 つまり。


 急がねばならぬ。


 さらに深く。


 一行は進む。


 その奥。


 洞窟最深部。


 巨大なる空間。


 そこでは。


 黒き影。


 静かに変化を続けていた。


 甲殻の王。


 次なる姿へ。


 近付きつつありけり。

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