軽虎様、独り歩きすること
村広場。
完全に祭り状態なり。
「ぽてち追加!!」
「塩味もっと!!」
「軽い!!」
「うまい!!」
佐藤健一、汗だくにて芋菓子出し続けける。
ぽん。
ぽん。
ぽん。
「待って!!」
「並んで!!」
「押すな!!」
一方。
御池貴光、供物の大根抱えつつ頷きける。
「人気商人なり」
「規模がおかしいのよ!!」
エレノア・シルヴァリア、叫びける。
その時なり。
遠くより、馬車数台現れける。
がらがら。
がらがら。
村人達、ざわつきたり。
「商会だ……」
「王都の?」
「早くない!?」
一方。
佐藤。
嫌な汗流し始めける。
「……なんで来た?」
馬車より降り立ちしは、豪奢なる服纏ひし太った商人なり。
「ほほう」
商人、ポテチ見つめ目細めける。
「これが“軽虎様の御菓子”ですかな?」
「軽虎?」
「鉄神獣様の真名でございましょう?」
「いや違――」
その瞬間。
村人達、一斉にざわつきたり。
「軽虎様……!」
「なんと神々しき響き……」
「鉄虎の化身……!」
「勝手に設定増える!!」
佐藤、頭抱えける。
一方。
商人、真顔にて言ひ放ちける。
「この芋菓子、独占販売させて頂きたい」
「えっ」
「金貨百枚出しましょう」
しん。
空気止まりける。
「ひゃ……」
佐藤、震え始めける。
「百!?」
一方。
レン、死んだ目にて呟きける。
「俺のドラゴン討伐報酬の倍なんだが……」
その時。
貴光、静かに口開きける。
「嫌なり」
「は?」
商人、固まりける。
「……何故?」
貴光、ぽてち一枚摘み。
ぱりっ。
「旅の食ひ物なり」
「いやそこ!?」
佐藤、叫びける。
「売れよ!!」
「全部売れば無くなるなり」
「また出せるだろ!!」
「されど旅で困るなり」
「ポテチを兵糧扱いしてる……」
一方。
商人、何やら勘違い始めける。
「……なるほど」
「む?」
「秘伝の神食ゆえ、門外不出なのですな」
「あっ」
村人達、更にざわめきたり。
「神の秘術……!」
「軽虎様の御加護……!」
「やはりただ者では……!」
その時なり。
商人、突然土下座しける。
「どうか!!」
「王都支部だけでも!!」
「やめろォ!!」
佐藤、慌てて止めける。
一方。
黒牛。
もぉー。
どこか。
「また面倒になってきた」
とでも言いたげに鳴きける。




