普通の主人公、人気負けすること
村広場。
完全に混沌なり。
「ぽてち追加ァ!!」
「軽虎様万歳!!」
「塩味神!!」
佐藤健一、既に目死に始めける。
「もう嫌だこの村……」
一方。
桐崎レン。
村端にて腕組みし、静かに村人達見つめける。
「……………………」
「……………………」
女子三人、気まずげに立ちたり。
「レン様……?」
「元気出してください……」
その時。
村中央にて歓声上がりける。
「鉄神獣様だ!!」
どよぉっ。
村人達、一斉に軽トラ周囲へ集まり始めける。
貴光。
荷台にて胡瓜食ひつつ頷きける。
「人気なり」
「お前だけだぞ平然としてるの」
エレノア、呆れ顔しける。
一方。
レン、若干震え始めける。
「……おかしい」
「何が?」
「俺、S級なんだけど」
「そうね」
「ドラゴン倒したんだけど」
「そうね」
「なのに」
レン。
ゆっくり軽トラ指差しける。
「なんで軽トラに負けてんの?」
しん。
女子三人、目逸らしける。
一方。
村人達。
「鉄神獣様ー!!」
「窓触らせてください!!」
「聖牛様も!!」
黒牛。
完全に撫でられ始めける。
「もぉー……」
その目。
完全に諦めし者の目なり。
その時。
子供一人、レン見つめて口開きける。
「誰?」
「ぐはっ」
レン、精神ダメージ受けける。
「勇者様だぞ!!」
佐藤、フォローしける。
されど。
子供。
「軽虎様の方がすごくない?」
「ぐはぁっ」
レン、二撃目受けける。
一方。
貴光、静かに頷きける。
「確かに頑丈なり」
「お前は黙れ!!」
その時なり。
村長、深刻な顔にて現れける。
「大変です」
「む?」
「隣村にも軽虎様の噂が広まりました」
「早くない!?」
エレノア、叫びける。
「しかも」
村長、震える声にて続けける。
「“鉄の神獣を率いる平安神官”として伝わっております」
しん。
佐藤、ゆっくり貴光見やりける。
烏帽子。
狩衣。
軽トラ。
牛。
「……………………」
「……………………」
「いや、見た目だけなら間違ってねぇな」
「何がなり」
その時。
レン。
急に立ち上がりける。
「ダメだ」
「え?」
「俺もなんかやる」
「嫌な予感」
レン、びしっと空指差しける。
「見てろ!!」
「本物の異世界主人公ってのを見せてやる!!」
次の瞬間。
どごぉっ!!
巨大火球、空へ打ち上がりける。
村人達、歓声上げたり。
「おおー!!」
「すげぇ!!」
レン、どや顔しける。
「どうだ!!」
その瞬間。
後方。
軽トラ。
太陽光ぴかーっ。
「おおおおお!!」
「軽虎様が光ったァ!!」
「なんでだよォォォ!!!」




