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ある日神の寄越し給ひし異形の獣に撥ねられて失せにければ異世界へ転生仕りき、されど能力の鉄の牛車召喚も黒き神境(?)とやらも使いよう皆無なり!  作者: イグアナ
旅路再開編

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赤き光の正体探りたりしこと

 巨大なる扉は重き音を立てつつ開きけり。


 隙間より漏れ出づる赤き光、通路を妖しく照らしければ、レン思わず剣を握る手に力を込めたり。


「やっぱり帰らない?」


 エレノア、半ば本気にて言ひける。


「賛成」


 佐藤即座に頷きたり。


 されど扉は既に半ばまで開きたり。


 今さら戻るも何となく負けた気分なり。


「行くぞ」


 レン先頭に立ち、慎重に中へ踏み入りける。


 貴光らも後に続きたり。


 室内は思ひのほか広く、神殿一つ入りさうなほどの空間広がりたり。


 天井高く、壁には無数の燭台並びけるが、何故か火は灯されず。


 それでも部屋明るきは、中央に置かれたる物より赤き光放たれゐるが故なり。


「……何だあれ」


 佐藤呟きたり。


 部屋中央。


 石造りの台座ありたり。


 その上に置かれしは、拳ほどの大きさの赤き結晶なり。


 脈打つやうに明滅しけり。


 どくん。


 どくん。


 まるで生き物のごとし。


 フィア少し顔をしかめたり。


「魔力を感じます」


「強いのか?」


 レン問ひければ、


「かなりです」


 と答へたり。


 その時なり。


 貴光、結晶を見つめたるまま静かに頷きけり。


「梅干しなり」


「違う」


 佐藤即座に否定したり。


 赤きなり。


 確かに赤きなり。


 されど梅干しには見えざりけり。


 その頃、部屋の隅に積まれたる古き書物へ目を留めしエレノア、一冊取り上げたり。


 埃舞ひたり。


「うわっ」


 思わず咳き込みける。


「何か書いてあるか?」


 レン問ひたり。


 エレノア頁をめくりつつ読み進めけるが、やがて眉をひそめたり。


「変ね」


「何がだ」


「これ、大型トラック神教の記録じゃない」


 その言葉に一同集まりたり。


 古びた頁には見慣れぬ文字並びたり。


 されどフィアの魔法により、辛うじて内容読めるやうになりける。


『赤き核を祀るべし』


『核は願ひを集める』


『願ひは力となる』


『力は神を生む』


 しばし沈黙流れたり。


 佐藤、嫌な顔したり。


「おい」


「うむ」


 レンも嫌な顔したり。


「おい」


 エレノアも嫌な顔したり。


「嫌な予感しかしないわ」


 その時なり。


 貴光、結晶へ近寄りける。


「触るなよ」


 佐藤慌てて言ひたり。


 されど遅し。


 貴光、既に結晶へ指伸ばしけり。


 かつて鍵を川へ投げ捨てし男なり。


 慎重といふ言葉とは縁遠し。


 やがて指先、結晶へ触れたり。


 刹那。


 赤き光、一際強く輝きけり。


 部屋全体震へたり。


 ごごごごご。


「うおっ!?」


 佐藤後ずさりたり。


 レン剣構へたり。


 フィア魔法発動せしめたり。


 エレノアも身構へたり。


 されど。


 数秒後。


 何も起こらず。


 静寂戻りたり。


「……」


「……」


「……」


 全員貴光見たり。


 貴光、結晶見たり。


 そして。


「温かきなり」


 感想述べたり。


「それだけかよ!!」


 佐藤の叫び、地下室に響き渡りけり。


 しかしその時。


 誰も気付かざりけれど。


 赤き結晶の奥深く。


 何かが僅かに目覚め始めたり。


 それはまだ小さき変化なり。


 されど後に、大型トラック神教を大きく揺るがす始まりとなりけるのであった。

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