普通の転生者、情緒崩壊すること
ごぉん。
――その音、村中へ響き渡りけり。
そして。
桐崎レンのSS級魔剣。
ぽっきり折れける。
「……………………」
「……………………」
レン。
折れた剣見つめ。
軽トラ見つめ。
再び剣見つめ。
「……………………」
数秒後。
「は?」
村人達、ざわめきたり。
「鉄神獣様すげぇ……」
「勇者様の剣が……」
「神器すら通さぬとは……」
一方。
御池貴光、軽トラ撫でつつ頷きける。
「頑丈なり」
「だから何なんだよコレェ!!」
レン、絶叫しける。
「軽トラだろ!?」
「なんで魔剣折れるんだよ!!」
佐藤健一、静かに肩ぽんと叩きける。
「俺も最初そうだった」
「慣れるなこんなの!!」
一方。
エレノア・シルヴァリア、若干引き気味なり。
「……勇者ってもっと余裕あるものじゃないの?」
「いや普通はあるんだよ!!」
レン、半泣きになりける。
「でもコイツ鍵捨てて牛に引かせてんだぞ!?」
「うむ」
「認めるな!!」
その時なり。
村人一人、恐る恐る口開きける。
「……鍵とは?」
しん。
レン、停止しける。
「……………………」
「……………………」
「……え?」
「鍵とは何ですかな?」
「え?」
「神器を起動する呪具的な?」
「え?」
レン。
急に遠い目し始めける。
「……そうか」
「む?」
「この世界、車ないんだ……」
「無きなり」
「文明レベル違ぇ……」
その時。
貴光、ふと思い出したように口開きける。
「そういえば」
「何?」
「この牛車、冷たき風出るらしきな」
「エアコンな」
「えあこん」
レン、急に顔上げける。
「そうだよ!!」
だっ。
勢いよく軽トラへ駆け寄りける。
「鍵さえあれば――」
「無きなり」
「ぐあぁぁぁ!!」
その場へ崩れ落ちける。
「鍵ィィィィ!!」
村人達、ざわつきたり。
「勇者様が泣いておる……」
「そんなに神器恐ろしきか……」
一方。
レン、地面叩き始めける。
「エアコン!!」
「カーナビ!!」
「ラジオ!!」
「らじお?」
「音楽流れるやつ!!」
貴光、少し感心した顔しける。
「雅なり」
「そこだけ食いつくな!!」
その時。
村長、震える声にて呟きける。
「……歌まで流れるとは」
「やはり神獣……」
「あっ」
レン。
やってしまった顔しける。
村人達、一斉にざわめき始めける。
「歌う神獣!?」
「すげぇ……!」
「鉄神獣様万歳!!」
その瞬間。
レン。
ついに頭抱え始めける。
「嫌だァァァァ!!」
「俺の知ってる異世界じゃねぇぇぇぇ!!」
一方。
貴光、静かに頷きける。
「我もそう思ふなり」
「お前が原因だよ!!」




