鉄の牛車、神獣扱いされること
数日後。
御池貴光一行、小さき村へ辿り着きけり。
畑広がり。
木造家屋並び。
実にのどかなる村なり。
「依頼の薬草届けるだけだからな」
佐藤健一、荷台の袋確認しつつ言ひける。
「すぐ終わるだろ」
「平和なり」
一方。
エレノア・シルヴァリア、村人達の視線に気付きける。
「……ねぇ」
「む?」
「なんか見られてない?」
村人達。
全員。
鉄の牛車凝視しける。
「……………………」
「……………………」
しばし沈黙。
そして。
村長めきし老人、震えながら前へ出でける。
「ま、まさか……」
「何なり」
老人。
軽トラ見上げ。
膝から崩れ落ちける。
「鉄神獣様……!!」
「は?」
村中、ざわめきたり。
「やはり実在したのか……!」
「古文書は真実だった……!」
「おお鉄神獣様……!」
佐藤、固まりける。
「何これ」
一方。
貴光、難しき顔しける。
「……牛車なり」
「違う!!」
老人、涙目にて叫びける。
「その黒き鉄の身体!!」
「壊れぬ透明壁!!」
「異様なる車輪!!」
ばんっ。
軽トラへ額擦り付けける。
「まさしく神代の神獣!!」
「解釈が始まった……」
佐藤、頭抱えける。
その時。
子供一人、恐る恐る軽トラへ近づきける。
「……触っていい?」
「む」
貴光、少し考え込み。
「優しくするなり」
子供、そっと軽トラ触れける。
「……つめたい」
「おお……!」
「鉄神獣様のお恵みだ!」
村人達、更に盛り上がりける。
一方。
エレノア、半目になりける。
「もう止められないわねこれ……」
その時なり。
村人の一人、ふと黒牛見やりける。
「……あれは?」
黒牛。
もぉー。
疲れ切った目しける。
老人、震える声にて呟きける。
「神獣を導く聖牛……!」
「格上がった!?」
一方。
貴光、静かに頷きける。
「確かに良き牛なり」
「そこ認めるんだ……」
その後。
村人達、供物持ち寄り始めける。
野菜。
果物。
干し肉。
酒。
「お納めください鉄神獣様!!」
「おお」
佐藤、目輝かせける。
「めっちゃ貰える!!」
エレノア、呆れ顔しける。
「アンタ達もう宗教の始祖みたいになってるわよ……」
その時。
老人、真顔にて貴光見つめける。
「神官様」
「む?」
「この神獣様のお名前を……」
しばし沈黙。
風、吹き抜けけり。
貴光、軽トラ見上げ。
静かに答えける。
「……鉄の牛車なり」
老人、涙流しける。
「おお……鉄牛車様……!!」
佐藤、天仰ぎける。
「軽トラの名前が独り歩きし始めた……」




