魔王軍王都へ密偵送り込みたりしこと
魔王軍。
軽虎教を危険視し始めたり。
⸻
理由。
⸻
分からざりけり。
⸻
実際。
⸻
報告書読めば読むほど。
⸻
意味不明なればなり。
⸻
【巨大宗教勢力】
⸻
【莫大な資金力】
⸻
【大型トラック神】
⸻
【高さ二百メートル級建造物】
⸻
最後だけ特に意味不明なり。
⸻
魔王軍本部。
⸻
将軍ら会議開きたり。
⸻
「結論」
⸻
「うむ」
⸻
「直接調べよう」
⸻
「それしかないな」
⸻
極めて真っ当な判断なり。
⸻
その結果。
⸻
密偵三名選ばれたり。
⸻
魔王軍屈指の精鋭なり。
⸻
潜入。
⸻
変装。
⸻
諜報。
⸻
得意とする者どもなり。
⸻
「任務だ」
⸻
「はっ」
⸻
「軽虎教を調査しろ」
⸻
「はっ」
⸻
「大型トラック神の正体を探れ」
⸻
密偵ら。
真剣な顔にて頷きたり。
⸻
その頃。
⸻
王都。
⸻
大型トラックランド建設現場。
⸻
相変わらず工事続きたり。
⸻
石運ばれたり。
⸻
木材積まれたり。
⸻
予算消えたり。
⸻
誰も止めざりけり。
⸻
その中へ。
⸻
三人の密偵。
一般人に化けて潜入したり。
⸻
「怪しまれるな」
⸻
「承知」
⸻
「情報を集めるぞ」
⸻
実に有能そうなり。
⸻
その十分後。
⸻
「大型トラック神万歳!!」
⸻
「万歳!!」
⸻
何故か旗持たされてたり。
⸻
信者の勧誘力強すぎたり。
⸻
その頃。
⸻
一人目の密偵。
信者へ尋ねたり。
⸻
「大型トラック神とは何ですか」
⸻
「分からん」
⸻
「え?」
⸻
「分からん」
⸻
密偵。
困惑したり。
⸻
「信仰しているのでは」
⸻
「している」
⸻
「正体は」
⸻
「知らん」
⸻
会話終わりたり。
⸻
二人目の密偵。
⸻
建設現場責任者へ尋ねたり。
⸻
「大型トラック神像は何のために建てるのですか」
⸻
「格好良いから」
⸻
「それだけですか」
⸻
「それだけだ」
⸻
密偵。
頭痛し始めたり。
⸻
三人目の密偵。
⸻
資料館予定地見たり。
⸻
案内板立ちたり。
⸻
【大型トラック神の歴史】
⸻
説明文読みたり。
⸻
『大型トラック神は昔から存在した気がする』
⸻
密偵。
案内板二度見したり。
⸻
「気がする?」
⸻
気がするらしきなり。
⸻
その夜。
⸻
三人。
宿屋に集まりたり。
⸻
「どうだった」
⸻
「分からん」
⸻
「俺も分からん」
⸻
「俺もだ」
⸻
全員同じ結論に至りたり。
⸻
その時。
⸻
窓の外より。
⸻
「教祖様だ!!」
⸻
歓声聞こえたり。
⸻
三人。
外見たり。
⸻
そこには。
⸻
貴光。
⸻
黒牛引き連れ歩みたり。
⸻
後ろ。
⸻
信者大量なり。
⸻
密偵ら。
息呑みたり。
⸻
「教祖か」
⸻
「教祖だな」
⸻
「教祖だ」
⸻
その時。
⸻
信者。
貴光へ問ひたり。
⸻
「教祖様!!」
⸻
「何なり」
⸻
「大型トラック神に牙を付けても良いでしょうか!!」
⸻
密偵ら。
耳立てたり。
⸻
重要情報かもしれぬなり。
⸻
貴光。
少し考へたり。
⸻
そして。
⸻
「牛増やすべきなり」
⸻
言ひたり。
⸻
しん。
⸻
密偵ら固まりたり。
⸻
「何だ今の」
⸻
「分からん」
⸻
「俺も分からん」
⸻
理解不能なり。
⸻
その夜。
⸻
魔王軍本部へ報告送られたり。
⸻
【軽虎教調査報告】
⸻
【大型トラック神の正体不明】
⸻
【信者も知らない】
⸻
【教祖もよく分かっていない可能性あり】
⸻
【牛を増やすべきとの発言確認】
⸻
将軍。
報告書読みたり。
⸻
読みたり。
⸻
更に読みたり。
⸻
そして。
⸻
「何だこれは」
⸻
誰にも分からざりけり。
⸻
されど。
⸻
一つだけ確かなることありたり。
⸻
軽虎教。
⸻
思った以上に危険かもしれぬ。
⸻
別の意味にて。




