神像に尻尾生やす案出でたりしこと
大型トラック神像。
また大きくなりけり。
胴体伸びたり。
翼増えたり。
車輪増えたり。
もはや誰も止めざりけり。
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されど。
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過激派の者ども。
まだ満足せざりけり。
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ある日の会議にて。
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幹部ら図面眺めつつ語らひける。
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「何か足りぬ」
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「何か足りぬな」
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「神々しさ足りぬ」
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設計士ら。
嫌な予感しけり。
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その時なり。
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一人の信者。
おずおずと手挙げたり。
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「提案よろしきか」
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「申せ」
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「尻尾は如何でしょう」
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しん。
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空気静まりたり。
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やがて。
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「天才か」
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「流石なり」
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「それだ」
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誰も理由問はざりけり。
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設計士。
頭抱へたり。
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「何故尻尾なのです」
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「格好良きなり」
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「何故」
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「格好良きなり」
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会話終はりたり。
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その結果。
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図面修正されけり。
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神像後部。
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巨大なる尻尾追加されたり。
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長さ五十メートル。
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無駄に長し。
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その頃。
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建設現場にて。
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職人ら新図面受け取りたり。
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一人の石工。
図面見つめけり。
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「何だこれは」
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「尻尾らしい」
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「何故」
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「知らん」
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いつものなり。
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別の職人。
図面逆さにして見たり。
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「ドラゴンではないのか」
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「違ふらしい」
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「本当か」
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「知らん」
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誰も知らざりけり。
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その頃。
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軽虎教本部。
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貴光。
黒牛と共に草原歩みけり。
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風穏やかなり。
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黒牛。
機嫌良さげなり。
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その時なり。
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古参信者。
またしても駆け込み来たり。
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「教祖様!!」
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「何なり」
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「尻尾です!!」
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貴光。
少し考へたり。
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「牛なりか」
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「違ひます!!」
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「犬なりか」
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「違ひます!!」
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「何なり」
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「大型トラック神です!!」
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貴光。
しばし黙しけり。
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「尻尾必要なりか」
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古参信者。
泣きさうになりたり。
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「私にも分かりません!!」
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正直なり。
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その時。
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佐藤。
報告書見たり。
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「待て」
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「何だ」
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「次は牙付ける案出てる」
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しん。
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古参信者。
膝つきたり。
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「もう駄目です」
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諦め始めたり。
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その頃。
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過激派本部。
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会議続きたり。
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「尻尾は決まった」
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「うむ」
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「次は牙だ」
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設計士。
天井見上げたり。
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遠き目したり。
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「何故です」
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「強そうだからだ」
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「何故強くするのです」
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「強そうだからだ」
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無敵の理論なり。
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その時。
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一人の若き信者。
恐る恐る問ひたり。
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「質問」
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「何だ」
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「大型トラック神は戦ふのですか」
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しん。
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空気止まりたり。
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数秒後。
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「戦ふかもしれぬ」
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「なるほど」
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ならざりけり。
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その夜。
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神界。
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例の神。
また下界見下ろしけり。
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「尻尾生えたぞ」
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隣の神。
茶吹きたり。
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「何故だ」
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「知らん」
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「大型トラックとは」
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「もはや概念なり」
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二柱とも頷きたり。
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実際その通りなり。
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そして。
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建設現場では。
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巨大なる尻尾の基礎工事始まりたり。
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職人ら働きけり。
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石積みたり。
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木組みたり。
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鉄打ちたり。
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誰も理解せざるまま。
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工事だけは順調に進みけり。
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かくして。
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大型トラック神。
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また一歩。
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大型トラックより遠ざかりけり。




