すていたす、意味分からぬこと
冒険者ギルド。
朝より騒がしきなり。
一方。
御池貴光、鉄の牛車の荷台にて干し柿食ひける。
「平和なり」
「いやお前、冒険者登録まだ途中だからな?」
佐藤健一、呆れ顔しける。
その時。
受付嬢、書類抱えつつ近寄りける。
「では次、ステータス測定です」
「すていたす?」
「冒険者の能力値測るのよ」
エレノア・シルヴァリア、当然のように言ひける。
「筋力とか魔力とか敏捷とか」
貴光、怪訝そうな顔しける。
「……数字にて人測るなりか?」
「まぁ、そういう世界だから」
「下品なり」
「価値観が平安なんだよ」
かくして。
三人、ギルド奥の測定室へ通されけり。
中央には巨大なる水晶置かれたり。
淡く青く光りける。
「手を置けば測定されます」
「便利ね」
まず。
エレノア、すっと前出でける。
ぺたり。
水晶へ手置きける。
すると。
『筋力:B』
『魔力:A』
『敏捷:A』
『総合:A-』
「おおー」
佐藤、感心した声漏らしける。
「ちゃんと強そう」
「当然よ」
エレノア、少し得意げに髪かき上げける。
「エルフだもの」
「異国感強きなり」
「だからその評価やめなさいよ!!」
次。
佐藤、前へ出でける。
「俺弱そうだなぁ……」
ぺたり。
『筋力:D』
『魔力:E』
『敏捷:C』
『特殊能力:無限芋菓子召喚』
「特殊能力だけ浮いてる!?」
受付嬢、困惑した顔しける。
「……何ですかこれ」
「俺が聞きてぇよ」
一方。
ギルド職員達、ざわつき始めける。
「芋菓子……?」
「無限……?」
「兵糧革命では?」
「評価そこなの!?」
そして。
最後。
御池貴光、前へ出でける。
「触れば良きなりか」
「はい」
ぺたり。
次の瞬間。
水晶。
ぴきっ。
「……え?」
ひび入りたり。
「え?」
さらに。
ばきばきばき。
「待っ――」
どごぉん!!
水晶、爆散しける。
「……………………」
「……………………」
測定室、完全沈黙。
煙もくもく立ち込めたり。
受付嬢、震え声にて呟きける。
「……え?」
一方。
貴光、煤まみれになりつつ首傾げける。
「脆きなり」
「脆くねぇよ!!!」
ギルド中、大騒ぎとなりける。
「測定水晶が!?」
「A級魔獣でも壊せねぇぞ!?」
「何者だアイツ!?」
その時。
職員の一人、ふと外見やりける。
「……そういやあの鉄の牛車も壊れねぇよな」
「……あっ」
しばし沈黙。
ギルド職員達。
貴光。
軽トラ。
交互に見始めける。
一方佐藤。
嫌な汗流しつつ呟きける。
「……なんか変な方向に行ってね?」




