新たなる牛、捕縛されること
荷運び依頼、大失敗に終わりし翌日。
黒牛。
完全に動かなくなりけり。
「…………」
道端へ座り込み、虚無めきし目にて空見上げたり。
「終わったわね」
エレノア・シルヴァリア、腕組みしつつ呟きける。
「完全にストライキよこれ」
「もぉ……」
黒牛、小さく鳴きける。
その声、いと疲れ切りたり。
一方。
御池貴光、難しき顔しける。
「働かぬ牛なり」
「お前のせいだよ」
佐藤健一、即答しける。
「軽トラ引かせ続けたらそりゃ壊れるわ!!」
貴光、しばし考え込み。
そして静かに頷きける。
「……新しき牛必要なり」
「嫌な予感しかしねぇ」
数刻後。
三人、街外れの草原歩みける。
目的。
牛探し。
「普通買うもんじゃないの?」
エレノア、呆れ顔しける。
「金無きなり」
「堂々と言うな」
その時なり。
遠く草原。
巨大なる茶色き牛めきし魔獣、群れにて草食みたり。
「おお」
貴光、目輝かせける。
「沢山おるなり」
「いや待て待て待て」
佐藤、嫌な顔しける。
「野生だろアレ」
「うむ」
「捕まえんの?」
「うむ」
「絶対危ねぇって!!」
一方。
貴光、既に縄持ち出しける。
「牛車には牛必要なり」
「軽トラだって!!」
その時。
一頭の巨大牛、こちら振り向きける。
角太く。
筋肉盛り上がり。
鼻息荒し。
「……アレ牛っていうかバッファローじゃない?」
「強そうなり」
「強そうで済む問題じゃねぇ!!」
次の瞬間。
貴光、全力疾走しける。
「待て牛よー!!」
「行ったァ!?」
どたどたどた!!
巨大牛、驚きて逃走し始めける。
草原中、大混乱なり。
「何してんのよアイツ!?」
「平安時代式狩猟……?」
一方。
貴光、縄ぶん回しつつ追走しける。
「止まれなりー!!」
されど。
巨大牛、勢い余り。
鉄の牛車へ激突。
ごっ。
「……………………」
牛、痛がりける。
軽トラ、無傷。
「うわぁ」
佐藤、若干引きける。
「改めて何なんだよこの耐久力……」
その時。
巨大牛、ふらふらしながら軽トラ見つめ。
「……もぉ」
どこか諦めし顔しける。
そして。
自ら縄の前へ頭差し出しける。
「えっ」
「折れたわね……」
かくして。
新たなる牛、加入しけり。
一方。
最初の黒牛。
遠くよりその様子眺め。
静かに草食みたり。
どこか。
「次はお前か」
とでも言いたげな顔なりけり。




