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ある日神の寄越し給ひし異形の獣に撥ねられて失せにければ異世界へ転生仕りき、されど能力の鉄の牛車召喚も黒き神境(?)とやらも使いよう皆無なり!  作者: イグアナ
軽トラ・アポカリプス編

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話 最後の九人、映画館を発見すること

 2027年3月22日。



 世界人口。



 9人。



 今日も9人。



 人類。



 存続中。



 ギリギリ。



 一方。



 最後の拠点。



 朝。



 元教師。



 何かを見つめていた。



「どうした」



 佐藤。



 聞く。



「暇だ」



「知ってる」



「とても暇だ」



「知ってる」



 全員知っていた。



 その時。



 元配信者。



 立ち上がる。



「よし」



「何だ」



「今日は映画館探そう」



 しん。



「映画館?」



「映画館」



「やってるわけないだろ」



「分かってる」



「じゃあ何で」



「ロマン」



 納得した。



 してしまった。



 一時間後。



 山を下る。



 佐藤。



 元配信者。



 高校生。



 元教師。



 四人。



 探索隊。



 出発。



 途中。



 軽トラ。



 いる。



 普通。



 最近では。



 かなり普通。



「何で逆さまなんだ」



 高校生。



 木に刺さった軽トラを見る。



「知らん」



 誰も知らない。



 二時間後。



 地方都市。



 到着。



 人。



 いない。



 車。



 いない。



 音。



 風だけ。



「映画のセットみたいだな」



「むしろ映画より静かだ」



 元教師。



 呟く。



 その時。



 元配信者。



 指差す。



「お」



「何だ」



「映画館」



 あった。



 しかも。



 大型。



 シネコン。



「マジであった」



「入るか」



「入るか」



 人類最後の映画鑑賞会。



 開催決定。



 館内。



 暗い。



 静か。



 ポップコーン売り場。



 当然。



 無人。



「最後の店員どこ行ったんだろうな」



「転生したんだろ」



「だろうな」



 自然に出てくる。



 転生。



 もう死という感覚ですらない。



 その時。



 元教師。



 映写室発見。



「おい」



「どうした」



「電源入るぞ」



 しん。



「マジ?」



「マジ」



 奇跡だった。



 発電機。



 動く。



 映写機。



 動く。



 スクリーン。



 映る。



「うおおおお!!」



 四人。



 盛り上がる。



 そして。



 上映開始。



 映画。



 タイトル。



『ゾンビ・アポカリプス』



 しん。



「今それ見る?」



「今だから見るんだろ」



 元配信者。



 ドヤ顔。



 一理あった。



 二時間後。



 上映終了。



 全員。



 無言。



「どうだった」



 高校生。



 聞く。



「ゾンビよりマシだな」



 佐藤。



 答える。



「そうか?」



「ゾンビは増殖しない」



「軽トラは増殖するな」



「荷台から出るしな」



 全員納得。



 その時。



 スクリーン。



 ノイズ。



 入る。



 バチッ。



 しん。



「壊れたか?」



 次の瞬間。



 画面。



 切り替わる。



 ニュース映像。



 2026年4月。



 軽トラアポカリプス初日。



 キャスター。



 若い。



「全国各地で軽トラックが――」



 しん。



 四人。



 固まる。



 あの日。



 世界が終わり始めた日。



 ほんの一年前。



 なのに。



 遥か昔のようだった。



 一方。



 神界。



「反応発見!」



「どこだ!?」



「映画館です!」



「座標は!?」



「消えました!」



「またかよ!!」



 今日も見失った。



 観測神。



 机に突っ伏す。



 もう半年近く探している。



 だが。



 見つからない。



 一方。



 映画館。



 佐藤。



 ニュース映像を見る。



 そして。



 ぽつり。



「まだ一年も経ってないんだよな」



 誰も答えなかった。



 答えられなかった。



 世界が変わるには。



 一年で十分だった。

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