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『追放社畜OLの【無限の福利厚生】辺境村改革!〜気弱な最強氷魔法剣士様の理不尽を許さぬ無双姿に私だけがときめいている〜』  作者: 月神世一


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『課金』VS『絶対零度』。真の強さとは』

『課金』VS『絶対零度』。真の強さとは』

「あ……あぁぁぁぁぁっ!! 俺の……俺のチャンネルが! 俺のファンがァァッ!!」

 大炎上するスマホ画面と、世界中から届く罵詈雑言の嵐を前に、ゼロスは髪をかきむしりながら叫んだ。

 スポンサーからの契約解除通知が次々と画面を埋め尽くし、彼が天界で築き上げてきた名声も、栄光も、信用も、一瞬にして露と消えた。

「ゼロス様、もうダメです! 天界の騎士団がコンプライアンス違反と詐欺の疑いで捜査に動いたって連絡が――」

「うるせぇぇぇぇっ!!」

 取り巻きの報告を、ゼロスは聖剣を振り回して一蹴した。

 彼の瞳からは正気が失われ、どす黒い執念と狂気が宿っていた。

「俺は神に選ばれた勇者ゼロスだぞ!? こんな辺境の泥村で……こんなバケモノと泥棒猫どもにハメられて終わるわけねぇだろぉぉっ!!」

 ゼロスは懐から、黄金色に輝く巨大な魔導通帳を取り出した。

 彼がこれまでの配信や、怪しいビジネスで溜め込んできた全財産。数億ゴールドにのぼる天界口座の残高だ。

「ユニークスキル【マネー】――全残高、限界突破フルブースト全額投入オールインだぁぁぁぁっ!!」

 ――ズガァァァァァンッ!!

 ゼロスの通帳が弾け飛び、彼の全身から金色の禍々しい魔力が爆発した。

 【マネー】――金(資本)を直接ステータスに変換する成金スキル。

 口座残高の全てを一度に溶かすことで、彼は一時的に、通常の十倍以上のステータスを手に入れたのだ。

「オオオオオオッ!! 力が……力が溢れてくるぞ!!」

 ゼロスの聖剣と鎧が、金色の光を放って肥大化していく。

 金色の魔力圧が周囲の空気を歪め、足元の石畳がメリメリと音を立てて砕け散った。

 その光景はまさに、金で買った力に飲み込まれた『承認欲求の怪物』そのものだった。

「ひぃぃっ! な、なんですかあの金色のはぁ!? なんかすごく成金くさいですぅ!」

 リリスが悲鳴を上げて私の背中に隠れる。

「全財産を捨て身でステータスに変えたわね。……ふん、愚か者め。破産申請すら受け付けられない無一文の状態で暴れるなんて、商人として一番見苦しいわ」

 クロエが扇子で顔を覆い、心底呆れたように吐き捨てた。

「死ねぇぇぇ! バケモノぉぉぉっ!!」

 金色のオーラを纏ったゼロスが、音速を超える速度で踏み込んできた。

 地面が弾け飛び、黄金の光帯となって襲いかかる一撃。

 その威圧感は、確かに特A級魔獣すら一撃で粉砕するほどの暴威だった。

 しかし。

 その破滅的な突進を前にして、私の前に立つユリウスは、微動だにしなかった。

「……ユリウス」

「大丈夫です、レティシアさん」

 ユリウスは振り返りもせず、静かな声で言った。

 彼のエプロンが、冷たい風にふわりと揺れる。

 ゼロスの『課金』による力は、確かに強大だ。金を積んで手に入れた無機質なステータスの暴力。

 だが……ユリウスの内に秘められた力とは、根底から種類が違っていた。

 ユリウスは、腰のオリハルコン・ソードに静かに手をかけた。

「あなたの強さは……自分のために誰かを踏みにじるためのものですね」

 ユリウスの澄んだ声が、金色の暴風を切り裂いて届く。

「ですが、僕の力は……大切な人を、皆を守るためのものです」

 ――シャァァンッ!!

 刀身が鞘から引き抜かれた、その瞬間。

 世界から、ゼロスの放つ金色の熱気と狂気が、一瞬で消え去った。

 訪れたのは、音すら凍りつく絶対零度の静寂。

 ユリウスを中心に、青白い透き通った冷気が波紋のように広がり、金色のオーラを瞬く間に侵食していく。

「なっ……なんだこの冷気はァァッ!? 俺の数億ゴールドのステータスが……凍りついて……っ!?」

 ゼロスが驚愕に目を見開く。

 彼が莫大な金で買い叩いた最高級の聖剣も、金色の強靭な鎧も、ユリウスの一歩踏み込みと共に、青白い氷の結晶で覆われていく。

 『金で買った力』と、『守るために研ぎ澄まされた力』。

 その格の違いは、勝負と呼べるレベルすら超えていた。

「ハァァァッ!!」

 ユリウスの体が、白銀の光となって滑るように躍動した。

奥義――『氷刃円舞・一閃』。

閃光のような剣筋が、ゼロスの全身を駆け抜ける。

しかし、それは肉体を切り裂くための剣ではなかった。

ズバババババババッ!!

完璧な精度で繰り出された一連の斬撃が切り裂いたのは、ゼロスが着込んでいた『課金装備』と、彼を包んでいた『金色の魔力』だけだった。

「ひ……あ、あぁぁぁっ!?」

メリメリ、パキンッ!!という甲高い音と共に、数億ゴールドの価値があったはずの黄金の聖剣と聖なる鎧が、細かな氷の粉末となって砕け散った。

残されたのは、ボロくずのような下着一枚姿になり、腰を抜かして地面にへたり込む、哀れなゼロスの姿だけだった。

ユリウスは、彼に傷一つ負わせることなく、ただ『金で買った力』だけを完璧に無力化してみせたのだ。

「……ふぅ」

チャッ、と一音。

ユリウスは優雅な所作で剣を鞘に納めた。

舞い散る白銀の氷晶が、月明かりのようにキラキラと彼の周囲で輝いている。

誰一人殺さず、誰も傷つけず、ただ悪意の力だけを静かに削ぎ落とす、絶対的な守護の剣。

その圧倒的な強さと美しさに、村人たちからも、画面越しの全世界のリスナーたちからも、言葉を失うほどの静寂と感動が広がっていた。

「ひ……ひぃぃぃ……っ! 化け物……化け物だぁぁぁっ!!」

全財産を失い、力も装備も粉砕されたゼロスは、下着姿のまま地面を這いずり、泣き叫びながら後ずさった。

彼が誇っていた『金』も『名声』も『権力』も、本物の強さを前にしては何の役にも立たなかったのだ。

「……勝負ありね」

私は、ユリウスの隣に歩み寄り、胸を張って宣言した。

ユリウスは私を見ると、さっきまでの冷徹な氷の騎士から一転、いつもの「えへへ」という少し照れくさそうな、柔らかい笑顔に戻っていた。

「レティシアさん。お怪我はないですか?」

「ええ、完璧よ。……ありがとう、私の最高の騎士様」

私は彼の無事を確認し、ホッと胸を撫で下ろした。

どんな強大な敵が来ようと、どれほど卑劣な悪意が襲いかかろうと。

私の隣には、世界で一番強くて、世界で一番優しい人がいてくれる。

その事実が、私の胸に温かく、どこまでも深い『安心感』をもたらしてくれたのだった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

第4章の第9話、いかがでしたでしょうか。

全財産を溶かして【マネー(課金)】スキルを全額投入し、バケモノ級のステータスで襲いかかるゼロス!

しかし、「金で買った虚飾の力」が、「誰かを守るための本物の力」に敵うはずがありませんでした。

ユリウスの絶対零度の剣技『氷刃円舞・一閃』が炸裂!

ゼロスの肉体は傷つけず、課金装備と成金オーラだけを完璧に粉砕・無効化してみせました。

圧倒的な強さと、誰一人殺さない優しさ。ユリウスの「絶対的な安心感」がこれでもかと詰まった戦闘シーンでしたね。

そして、全てを失い、全裸同然で惨めに泣き叫ぶゼロス。スカッとざまぁの完成です!

次回、第10話!

いよいよ第4章の最終回エピローグです!

全てを失い多額の違約金を抱えたゼロスの末路と、ポポロ村に訪れる平和な日常。

そして、お互いを「最高のパートナー」と認め合ったレティシアとユリウスの胸キュンな結末をお届けします!

「ユリウスかっこよすぎる!」「ざまぁ最高!」「レティシア社長との絆にキュンとした!」と胸を熱くしていただけましたら、

ぜひページ下部(または右上)の【★で称える(ポイント評価)】から、星3つ(★★★)での全力応援をよろしくお願いいたします!

皆様の【ブックマーク】と【星評価】が、最終話を走破するための最大の福利厚生です!

どうか、引き続きポポロ村の物語への応援をよろしくお願いいたします!

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