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『追放社畜OLの【無限の福利厚生】辺境村改革!〜気弱な最強氷魔法剣士様の理不尽を許さぬ無双姿に私だけがときめいている〜』  作者: 月神世一


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カオスすぎる辺境の村へようこそ! 喋るネギ教師と親友クロエの絶対論破ゲーム

カオスすぎる辺境の村へようこそ! 喋るネギ教師と親友クロエの絶対論破ゲーム

「……クロエ。ここ、本当に追放先として指定された『辺境の村』で合ってるわよね?」

「地図上では間違いなくポポロ村よ。三大国の国境が交わる、危険な緩衝地帯のはずなんだけど……」

 数日間の馬車の旅を終え、目的地に到着した私たちは、目の前に広がる光景に唖然としていた。

『旅の冒険者よ、ポポロ村で月見大根を泥棒するのはやめろ。次の瞬間には自動追尾バズーカと魔導戦車の砲身が君の額に突きつけられる』

 入り口に立てられた物騒極まりない警告看板。

 その奥に広がるのは、のどかな田園風景――であるはずなのに、どこか見覚えのある人工的な建物が立ち並んでいた。

『タローソン(24時間営業)』

『タローマート(生鮮食品・半額惣菜あり)』

『タローマン(農具から魔導防弾チョッキまで!)』

(嘘でしょ……!? コンビニにスーパー、ホームセンターまであるじゃない!)

 前世の社畜時代、深夜残業の帰り道に何度もお世話になったインフラ施設とそっくりな看板の数々。異世界ファンタジーの辺境だというのに、妙に近代化された謎のインフラが整っているのだ。

「ひぃっ……! レ、レティシアさん、クロエさん……っ! あそこの自警団の人たち、王国の近衛兵より重武装ですよぉ……! あんな魔導戦車や対空砲まで……僕、怖いです……」

 私たちの後ろで、荷物を抱えたユリウスがガクガクと震えていた。

 彼の視線の先には、全身に最新鋭の魔導防具を纏い、バズーカを背負った自警団が村をパトロールしている姿がある。

「だ、大丈夫よユリウス。あれはきっと、村の平和を守るための強固なセキュリティシステムだから……たぶん」

「でも、もし僕らが怪しまれて撃たれたら……うぅっ、父さん、ごめんなさい、立派な剣士になれずに辺境の土になりま……」

「縁起でもないこと言わないで! ほら、とりあえず情報収集も兼ねて、あそこでご飯にしましょう!」

 私はオドオドと縮こまる彼を励ますように背中を押し、村の目抜き通りにあるひときわ大きな建物――『ルナキン・ポポロ支店(24時間営業ファミレス)』へと足を踏み入れた。

 カランコロン、と心地よいベルの音が鳴る。

 店内は、見回りの休憩中と思われる自警団や、行商人たちで賑わっていた。

 ボックス席に案内された私たちは、さっそくこの村の名物だという『煮込みおでん』と、クロエ用の『イモッカ(芋酒)』を注文した。

「あの……僕は外で荷物の番をしていますから。護衛の分際で、雇い主様と同じ席で食事をいただくなんて……」

 ユリウスが遠慮がちに席を立とうとするので、私はすかさず彼の手首を掴んで座らせた。

「駄目よ、ユリウス。休憩時間の取得は、労働者の正当な権利なんだから。それに、仲間外れなんて私が許さないわ。しっかり食べて、午後からの村の視察に備えなさい」

「レティシアさん……っ。なんてお優しい……っ!」

 ユリウスはまたしても感動の涙をポロポロと流し始めた。彼、本当に背が高くて顔も綺麗なのに、中身が完全に捨てチワワである。

 やがて運ばれてきた『煮込みおでん』は、想像を絶する絶品だった。

 満月のように丸い『月見大根』は、箸を入れただけで崩れるほど柔らかく、醤油草の出汁が中まで染み込んでいる。お肉のように分厚い『肉椎茸』からは濃厚な旨味が溢れ出し、ロックバイソンのすじ肉はトロトロに煮込まれていた。

「美味しい……! 何これ、王宮のシェフの料理よりずっと美味しいわ!」

「最高ね。このイモッカって芋酒も、アルコール度数は高いのにスッキリしてておでんに合うわ」

 私とクロエが感動している横で、ユリウスも「はふっ、ほふっ」と幸せそうにおでんを頬張っている。震えも止まり、すっかりリラックスした様子だ。

 ――だが、その平和な食事風景は、突如として響いた野太い声によって破られた。

「おうおうおう! 見慣れねぇ顔だな、王都から追放されてきたっていう世間知らずのお嬢ちゃんたちゃあ、お前らか!」

 ドカッ! と私たちのテーブルの端に、無遠慮に座り込んできた人影(?)。

 それは、全身が樹木のような植物で構成された人型の種族ポーンだった。だが、ただの植物ではない。

 頭の頂点からは立派な『ネギ』がニョキリと生えており、口には高級そうな葉巻ポポロシガーをくわえ、手には真っ黒なコーヒーの入ったマグカップを持っている。

「ひぃっ!? し、喋るネギの魔物……!?」

 ユリウスがビクッと肩を震わせ、咄嗟に私の背後に隠れた。長身の美青年が私(158センチ)の背中に隠れる姿は、控えめに言ってちょっとシュールだ。

「誰がネギの魔物だ、この唐変木! ワシはポポロ村で教師をやっとる『ネギオ』様だ! いいか、この村は三大国の思惑が交差する魔窟。温室育ちの貴族が、ピクニック気分で生き残れる場所じゃねぇんだよ!」

 ネギオと名乗ったその植物人は、口から紫煙を吐き出しながらニヤリと笑った。

「この村に住みてぇなら、ワシの『論破・説法ゲーム』をクリアしてみせろ。もしワシを言い負かせなかったら、ワシの特製『ロイヤル皇帝カンチョウ液』を貴様らの尻からドバドバと注入してやる! 健康的になるが、三日はケツの激痛で歩けなくなるぜェ!」

「ひぃぃぃっ!! レティシアさん、どうしよう、カンチョウされちゃいますぅ……っ!」

 ユリウスがガタガタと震えながら私の服の裾を強く握りしめる。護衛が一番怯えてどうするのよ。

「……野蛮な真似はごめんだわ。それで? 論破ゲームって、何を答えればいいの?」

 私が尋ねると、ネギオは意地悪な笑みを浮かべた。

「おう、簡単な経済問題だ。この村は、ルナミス、獣人、魔族の三大国に囲まれてる。それぞれの国境を通るには、通常『30%』もの莫大な関税を毟り取られる。だが、この村の行商人たちは関税を払わずに、どうやって王都の連中より豊かな利益を出してると思う?」

 ネギオの問いに、私は言葉に詰まった。

 関税を払わずに利益を出す? そんなの、密輸でもしない限り不可能だ。でも、密輸なんて見つかれば即座に処刑されるはず……。

 私が考え込んでいると、隣でイモッカのグラスを揺らしていたクロエが、ふふっ、と艶やかな笑い声をこぼした。

「馬鹿らしい。そんな簡単なことも分からないの? 教師という割には、底が浅いわね、ネギオ先生」

「……あぁ? なんだと小娘」

「答えは簡単よ。この村は『地上を通っていない』からよ」

 クロエは扇子を広げ、ネギオを真っ向から見据えた。

「村に入ってくる時、市場の物価と物流の導線を確認したわ。ドワーフ製の魔導兵器や高純度の鉱石が、不自然なほど安価で大量に流通している。そこから導き出される答えは一つ。この村の地下には、ドワーフの『地下帝国ドンガン』へと繋がる隠しルート(隠田)が存在し、地上国家の関税を完全に無視した大規模な密輸ラインが構築されている」

「なっ……!?」

 ネギオの葉巻が、ポトリとテーブルに落ちた。

「さらに言うなら、その密輸で得た莫大な裏金を使い、村全体に『地下シェルター』を建設しているわね? 各国の軍隊が攻めてきても、村人は地下へ逃げ、村ごと自爆させるか魔導戦車で迎撃できるから、どの国も手を出せない。究極の『武装中立』と『脱税』のハイブリッド。……私の目に狂いはあるかしら?」

 沈黙。

 ルナキンの店内にいた客たちまでが、息を呑んでクロエを見ていた。

 辺境の村の、さらに奥深くに隠された国家機密レベルの裏経済を、村に入ってわずか数十分で見抜いてみせたのだ。

「……ッカハハハハハッ!!」

 やがて、ネギオは腹を抱えて大爆笑した。

「傑作だ! まさか王都のお姫様が、この村の暗部を瞬き一つせず見抜くとはな! お前さん、ただの貴族じゃねぇな!?」

「ええ。私はクロエ。しがない没落貴族の商人でしてよ」

「気に入ったぜ、クロエ! そしてそっちのレティシアと、震えてるデカブツ(ユリウス)もな! 合格だ、お前らならこの狂った村でも立派にやっていけるぜ!」

 ネギオはご機嫌な様子で、自分の頭に生えている立派なネギをポキッと折った。

 何事かと驚く私たちに、彼はそれを差し出す。

「ワシの『ネギカリバー』のお裾分けだ。風邪ひいた時に首に巻くか、刻んでスープに入れな。万病に効くぜ!」

 そう言い残し、ネギオは豪快に笑いながら店を出て行った。

「……クロエ。あなた、やっぱりすごいわね」

「ふふっ。伊達に王都で商会を牛耳っていなかったわよ。それにしても、面白い村じゃない。私の商売の血が騒ぐわ」

 頼もしすぎる親友の横顔を見ながら、私は確信した。

 ここなら絶対に、私たちの理想の領地を作ることができると。

「あ、あのぅ……」

 と、背後から控えめに服を引っ張られる。

 振り返ると、ユリウスが涙目で私を見つめていた。

「レティシアさん……クロエさんって、もしかして魔族より怖い人なんじゃ……僕、ロイヤルカンチョウ液より、クロエさんに睨まれる方が怖いですぅ……」

「大丈夫よ、ユリウス。クロエは味方にすれば最高に頼もしい女神様だから」

 私はオドオドする気弱な最強剣士の頭を、よしよしと撫でてあげた。

 こうして、私たちは無事にポポロ村の住人(?)として認められ、カオスな辺境改革の第一歩を踏み出したのだった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

カオスすぎる緩衝地帯「ポポロ村」に到着しました!

タローソンにルナキンなど、レティシアの前世の記憶をくすぐる現代風ファンタジーな世界観、いかがでしたでしょうか?

そして、親友クロエの圧倒的な「論破レスバ能力」! 彼女にかかれば、村の秘密も丸裸です(笑)。

一方のヒーローであるユリウスは、ヒロインの背中に隠れてガクガク震える絶好調のチワワっぷりを発揮しております。

次回は第4話!

村の危機を救うため、ついにレティシアのチートスキル【経費精算】が火を吹きます!

「クロエかっこいい!」「ユリウス、デカいのにビビりすぎ(笑)」「ネギオ先生のキャラ濃いな!」と少しでも楽しんでいただけましたら、

ぜひページ下部(または右上)の**【★で称える(ポイント評価)】**から、星3つ(★★★)での応援をよろしくお願いいたします!

皆様の【ブックマーク】と【星評価】が、毎日更新を続けるための最大のエネルギーです!

どうか、ポポロ村でのスローライフ(?)を応援してやってくださいませ!

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