絶対に帰りますわ
「俺はあらゆる状態異常を無効化できる」
「動かないでもらえます?」
王子の足元が、更に重りに叩きつけられた
−−ドゴッ
「無駄だっ」
だが、王子は止まらない
一歩、また一歩と踏み出してくる
「状態異常は俺に通じない」
「あらっ」
令嬢は首を傾げた
「便利ですわね」
確かに効いているはずの重さを、押しのけている
ふっと息を吐く
「...仕方ありませんね」
「今日の紅茶は、無しですわ」
その瞬間、空気が変わった
何かが開放されたように
兵士達に視線を向ける
『絶対支配』
次の瞬間...
「かしこまりましたお嬢様」
兵がいっせいに頭を下げた
剣を捨て、背筋を伸ばし、完全な従者に変わる
「...なっ!?」
「二つ目のスキルだと」
「あり得ない、存在しない」
「あなたは今重量を無効化してるのでしょう?」
ゆっくりと、近づく
『絶対支配』
王子が歯を食いしばる
だが−−
「...効かぬ!」
叫ぶ
「支配を無効化だっ」
「あら、切り替えられるのですね」
次の瞬間、王子の体が沈む
「ぐっ」
「では」
淡々と続ける
「重さは、無効ではありませんわね」
床に体が叩きつけられる
王子は動けない
「一つしか使えないのは不便ですわね」
「何故...もう一つ使える?」
「厳しい制約条件と引き換えに、使える二つ目のスキル」
令嬢は頷く
「今日の紅茶を飲まない」
「私にとってはあり得ない...重い制約」
「そんな制約で...」
兵士達が道をあける
「では帰りますわ」
『支配解除』
空気が揺れる
兵士達の瞳から光が戻り
王子を押しつぶしていた重量も消えた
静まり返る広場
そこに立って居たのは、令嬢の父だった
「申し訳ありません、殿下」
「娘がご迷惑かけました」
令嬢の父はため息をつく...
「少々やりすぎたな」
「お前もいい大人だ、観念しろ」
「働きたく、、ないですわ〜」




