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多田笑のコメディー短編集  作者: 多田 笑
2/3

婚約者を殺してしまいました……。そうですわ! ロボットでごまかしましょう!!

 それは、あまりにも突然だった。


「……え?」


 ニコールは手に持っていた豆腐を、次に婚約者ボトローを見た。


 彼は、ゆっくりと崩れ落ちる。


 バタンッ!


「ボ……ボトロー様?」


 返事はない。安らかな顔で、微動だにしない。


「……え? ええ?」


 ニコールは豆腐を持ったまま固まった。


 状況を整理する。


 今日は結婚披露パーティーの日。


 二人は、開始までの時間を控室で過ごしていた。


 そんな中、ニコールは厨房から勝手に持ってきた豆腐を食べようとする。


 そこへ、ボトローが躓き倒れ、豆腐の角に頭をぶつけてしまう。


 結果。


 返事がない……。

 ただの屍のようだ……。


「し、死んでる……?」


(ありえない。豆腐の角に頭をぶつけて死ぬなんて、そんなことがあるはずが──)


 返事がない……。

 ただの屍のようだ……。


「あるの!? ありえないけど……じ、実際に……死んでるからああああ!!!」


 ニコールは叫び、そして頭を抱えた。


「ど、どうしましょう……このままでは結婚披露パーティーが……いえ、それ以前にわたくしが殺人犯に……!」


 しかし、彼女はただの令嬢ではなかった。

 天才発明家である。


 ニコールの瞳が、ぎらりと光った。


「ご……ごまかしましょう」


 数十分後。


 ボトローは立っていた。


 いや、正確にはボトローっぽいロボット──ボトロー様5号。


 ぎこちなく、しかし確かに歩く。


「ボトロー様、笑ってくださいませ」


「ホへ……ホへへへ……ボヘミア~ン」


 ぎぎぎ、と音を立てながら、ぎこちなく笑うロボ・ボトロー。


 ニコールは満足気に頷いた。


「完璧ですわ!」


 外見はほぼそのまま。中身は歯車と魔力回路で作られた自信作。


 多少ぎこちないが、遠目には問題ない。


「さあ、参りましょう。パーティーへ」



「ボトロー様、おめでとうございます!」


「ア、アリガトゥース!! トゥース!!」


「……?」


 開始早々、不安でしかない。貴族たちが次々と話しかけてくる。


「お顔色が優れませんな?」


「カオイロ? ワタシハロボ──」


 パシッ!


 ニコールが、慌ててロボ・ボトローの口を塞ぐ。


「おほ、おほほほ……」


 笑って誤魔化すニコール。


「声が変では?」


「き、気のせいですわ……ね、ボトロー様」


「ハイ、キノセイデス……」


 ニコールは隣で微笑みながら、冷や汗を流していた。


(まずいですわね……もうバレそうですわ……!)


 そのとき。


「ボトロー!」


 ボトローの親友、ガルシアが現れた。


「結婚祝いだ! さあ、いつもの腕相撲をしようぜ!」


(やめてえええええええええええ!!)


 ロボ・ボトローは腕を掴まれ、無理やり席に座らされる。


「いくぞ!」


 ぐしゃ。


 ガルシアの腕が、テーブルにめり込んだ。


「……え?」


 メキメキ……

 バリバリバリバリ……


 ドガーン!!


 ロボ・ボトローはテーブルを突き破り、ガルシアを床に叩きつけていた。


 一瞬の静寂。


「き、鍛えましたのよ、最近……」


 ニコールは笑顔で言った。


「そ、そうか……すげえな……」


 ガルシアは腕をプランプランさせながら引き下がる。


(危機一髪……!)


 しかし、トラブルは続く。


 ダンスの時間。


「ボトロー様、ニコール様、お二人で踊ってくださいまし!」


 招待客から声が上がる。


 ウィーン、ガシャン、ガシャン。


 ロボ・ボトローが、機械音を鳴らしながら、手を差し出す。


「サア、ニコール。イッショニオドロウ」


(踊る……? そんな機能つけましたっけ!?)


 ぎこちないステップ。

 突然の高速回転&ジャイアントスイング。


 ドガッ!

 ボガッ!

 バシューン!

 ボガーン!!


 なぎ倒され、吹き飛ばされる招待客たち。


「きゃあああああ!!!」


「タノシイ、ダンス、タノシイ」


「そ、そうですわねぇぇぇぇええええ!!!」


 ニコールは半ばやけになっていた。



 そして、ついにクライマックス。

 ケーキ入刀の時間。


 無傷の招待客もあと僅か。


「さあ、お二人で……」


 ナイフを持つロボ・ボトロー。


 しかし、その腕が、震える。


 ガタガタガタガタ……。


(まさか、限界……!?)


 ビーッ! ビーッ!


「エラー……エラー……」


「ちょっと待ちなさい! ここで暴走は──」


 その瞬間。


「ニコール?」


 聞き慣れた声に振り向くと──


「……ボトロー様?」


 そこには、人間のボトローがいた。


「いやあ、気絶しててさ。今起きたんだけど……」


 会場が静まり返る。


 全員の視線が、二人のボトローに集まる。


「……え?」


 ロボ・ボトローが、ゆっくりと本物を見た。


「タイショウ・カクニン……ハイジョ、シマス」


「「え?」」


 次の瞬間。


 ロボ・ボトローが本物に襲いかかった。

 とっ組み合う二人(?)


「ちょっ……何これ……?」


 状況が理解できないボトロー。

 そして、会場は大混乱。


「ニコール!? これは、一体!?」


「そ、その……最終試練ですわ! わたくしと結婚するための!!」


「なにぃぃ!? 君と結婚するための最終試練だと……!?」


 ボトローは、自分でもキャラがよく分からなくなっていたが、それでも戦う覚悟だけは決めた。


 ※ここからは、ダイジェストでお送りします。


 ・先手を打って、ロボが小型ミサイルを発射。それが、通りすがりのカニに直撃。

 ・カニを貪りながら、ボトローが体当たりするも、ロボが受け止め巴投げ。

 ・投げられたボトローは、これまた通りすがりの始祖鳥に助けられる。

 ・ボトローが放った“ワキ、パカパカアタッ~ク”がロボに直撃し、会心のダメージ。

 ・最終的に、ロボは「死なないで、ボトロー」と言って爆発。


 二人(?)の死闘が終わり、再び静寂が訪れる。


「お……おめでとうございます、ボトロー様。あなたこそ、真の夫です!!」


 ニコールは満面の笑みで言った。


「フハハハハハ……、やはり俺が真の夫! トゥルー・ハズバンドだ!!」


 ボトローも、それに答える。


 こうして、二人は幸せに暮らしましたとさ。


 めでたし、めでたし……なのか?

最後までお読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字、誤用などあれば、誤字報告いただけると幸いです。

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― 新着の感想 ―
うわー、コレ大好きですー(*^▽^*) 豆腐の角に頭をぶつけて死ぬ始まりから素敵ですよね。 そもそもなんで豆腐食べようとしているの?というあたりも最高です。 ロボと本物のバトルもカオス満載大好物です。…
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