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緋の暁光《あけのぎょうこう》  作者: KY
序章 いつか、あなたを繋ぐ為のーー
3/4

序/二 あなたをしる わたしをしる

「とりあえず、これ着とけ。」


 そういって そのひとは いちばんうえに かぶっていた ぬのを わたしのからだに かぶせた


「まずは俺の家に行く。そんで、お前の服を調達してくる。少しの間、家に一人で待っててもらうことになるが…いいな?」


 うなずいて うしろについていく

『いえ』につくまでは すこし じかんが ありそうだから さっきから きになっていることを いくつかきいてみよう


「…ねぇ、どうしてわたしがみえるの?」


 まず いちばん きになるのは これ

ほかの『ひと』には ぜったいに みえていなかったのに このひとだけは わたしをみて はなしをしてきた 

 ふしぎ


「あぁ、それな。…なんていうか、知り合いに妙な研究をしてる連中がいてな。」


「みょうなけんきゅう…?」


「人間に認識できないモノが、この世に『在る』のか『無い』のか…それを調べる研究をしてるおかしな奴らなんだが、そいつらがお前の存在を認識してたんだよ。俺はそれを聞いて、お前に会いにきた。」


 なんとなく いってることは わかったきがする

でも ちゃんと わかったわけじゃなかった


「あんまりきいたことないことばが、たくさん…。」


「…!そうか、そういやお前、近くを通る人間の会話を聞いて言葉を学習してるんだったか。」


「うん…。」


 わたしは いままで みてたことしか しらない

あのばしょから きこえるものしか わからない

 このひとが それをしってるのは たぶん『おかしなやつら』さんから きいたんだとおもう


「なら、普段使いしないような言葉は、できるだけ使わないようにするべきだな。」


 そういって そのひとは すこし かんがえたあと


「…そうだな。わかりやすく言うと、見えないものについて調べてる人間の力を借りて、お前のことが見えるようになった…ってことだな。」


 さっきより わかりやすく はなしてくれた

すごく たすかる


 でも それなら わからないことが ひとつできた


「ほかのひとにはみえないなら、『ふくのちょうたつ』?…に、わたしもついていってもだいじょうぶなんじゃ…?」


 わたしを つれていかないのは わたしが『ひと』とは ちがうモノだから あんまりみえないほうが いいとかだと おもってた


 けど このひとが とくべつなちからをかりて みえているだけで ほかのひとには みえないままなら もんだいなしな きがする 


「そりゃあれだ。お前が人に見えないのは、お前側の認識…気持ちの問題もあるからだ。」


「わたしのきもち…?」


 どういうことだろう 

わたしのきもちで なにかがかわるのかな…?


「お前自身が、『自分が人間に見えるのは自然なこと』だと思えれば、他の人間にも見えるようになるらしいぜ。」


「なんと。」


 ずっと わたしが『ひと』と はなしたりすることは できないんだと おもってたけど そんなかんじで かなうものだったとは

 びっくり


「知りたいことは知れたか?」


「もうひとつ、ききたかったことがある。」


 いまのわたしは しらないことが おおすぎて なにを しらないのかも わからないくらいだけど

 ひとつだけ いま しってたほうが いいような きがするものが おもいついてた


「なまえ。」


「名前…?」


「そう。あなたのなまえ。『ひと』には、みんなあるんでしょ?じぶんがなんなのかをたしかめるための『なまえ』っていうものが。」


 だから このひとに ついていくなら このひとが なんなのかを しるために まずは なまえをしったほうが いいとおもった


「――――……。」


 そのひとは すこし びっくりしたようなカオをしたあと


佐堂さどう 史義ふみよし。呼び方は佐堂(さどう)でいい。」


 そういって なまえをおしえてくれた


「さどう、さん…。」


 はじめて ちゃんときいた 『ひと』のなまえ

はじめて はなしたひとの なまえ


「…さどうさん…さどうさん。」


 ふしぎなきもちになって なんとなく さどうさんのなまえを なんかいも いった


「お前は?」


「…え?」


「お前は、自分の名前わかるか?お前自身を確かめるための、名前。」


 わたしの なまえ…

それはきっと わたしが わたしをしっていくために ひつようなもの

 だけど…


「わからない…。わたしはわたしのこと、なにもしらない。」


 かんがえてみれば わたしは じぶんがどんなすがたなのかも しらない


 じぶんのかおも なまえも きもちも ぜんぶ よくしらなくて 


 もしかしたら わたしは ずっとみていた『ひと』のことよりも じぶんのことのほうが しらないことだらけ なのかもしれない


 なんだか ぐにゃぐにゃしたきもちの わたしをみて さどうさんは なにかをかんがえてる


 そうして なにかをおもいついたような しぐさをしたあと わたしと めをあわせるように しゃがんで


緋乃(ひの)


「?…ひの?」


「お前の名前、緋乃(ひの)ってのはどうだ?…正直、誰かの名前を考えたことなんてねぇから、センスに自信はねぇが……。まあ、気に入らなきゃ今のは忘れてくれていい。」


 そういって わたしに 『なまえ』をくれた

すごくふわってなって このきもちを なんていうのか わからないのが むずむずする


「わすれない。」


「…!」


「わたしのなまえは『ひの』。わすれないよ。」


「いいのか?別に今ここで決めなくてもいいんだ。俺の知り合いに、子持ちのやつもいる。そいつなら、もっといい名前が思い浮かぶかもしれねぇが。」


「ううんそれがいい。わたしは『ひの』。ぜったい。」


 なんだかもう とまらなくて つよい いきおいで かえしてしまった

 さどうさんと はなしてて ふしぎなきもちになることは さっきから なんどもあったけど いまがいちばん ふしぎなきもちで おさえられないくらい つよい『なにか』だった


「…まあ、お前が気に入ったなら俺が止める理由もない。」


 ぐあーっと はなしてしまった わたしにびっくりしたのか さどうさんは さっきまでより すこしだけ ふわふわしたようすで わたしのきもちを うけとめてくれた


「じゃあ、改めてよろしくな。緋乃(ひの)。」


「うん…!」


 わたしは ふしぎな きもちのまま 

いままでより すこしだけ ちからをいれて ことばをかえしてた

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