序/一 ふしぎなであい
とつぜんのふしぎに おどろく
わたしを みないはずの『それ』が わたしを みて こえを かけてきた
『それ』は わたし ふたつぶん くらいの たかさだった
うでや あしを ぜんぶ かくせるものを みにつけて くちのまわりに すこしだけ もじゃもじゃがある
おなじかたちをした べつの『それ』より すこしつかれたカオをしている きがする
『それ』のとくちょうを みてみたけれど こえをかけられたりゆうは わからない
「……だれ?」
みるだけじゃ わからなかったから わたしも こえをかけてみた
「お、言語は通じるな。そいつは助かる。初手で詰むのは目も当てられねぇしな。」
『それ』は
――その『ひと』は おなじカオのまま わたしとおなじ たかさまで しゃがんで はなしをしてきた
「あー……そうだな…。お前、『人間』をどう思う?」
「?」
また ふしぎなこと
どうおもうかって きかれても わたしは――
「よく、わからない。みてただけ、だから。」
そう みてただけ
なんとなく はなしていることを きいたりは していたけど ちゃんとしっていることは なにもない
「――そうか。…なら、俺が教えてやる。」
「…?」
その『ひと』は わたしの てを かるくにぎって
「今からしばらく、俺の家でお前を預かる。そんで、人間について俺に教えられる限りのことを教えてやる。どうだ、興味あるか?」
…わからない
じぶんのこと じぶんのきもちも よくわからない
だけど だから
なにかをしっていけば わかるようになるかもしれない
『ひと』とわたしは きっとちがうモノだけど なにが ちがうのかが わかれば わたしは わたしのことが わかるかもしれない
「…うん。あなたについてく。」
すこし ふわふわするような ふしぎなかんかくを かんじながら わたしは てを にぎりかえした
「交渉成立だな。よし、じゃあまずは……お前の服、なんとかしないとな…。」
こうして わたしと そのひとの せいかつがはじまる
わたしにとって とてもたいせつな かがやくようなひびが―――




