表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緋の暁光《あけのぎょうこう》  作者: KY
二章 人間参加、怪物胎児
23/24

二/五 怪物退治の始まり

 動かなくなった怪物から、ナイフを抜き取る。すると、怪物の体は崩れて、小さな塵の山だけが残った。

 わたしが、この怪物の命を終わらせた。気持ちは良くないけど、後悔もしない。この怪物は、ただここを通っただけの人の命を奪った。

 だから、あなたの命を終わらせることを、可哀想なこととは思ってあげられない。


「……。」


 初めて見た、わたしと似た存在の『終わり』。わたしも、いつか『終わり』がきたら、こんな風になるのかな…。


 もし、そうだとしたら、十一年前の怪物も同じ?あの日、意識が途切れて元に戻った後、近くに塵の山はあったっけ…?

 …思い返してみても、結局あんまり意味はなかった。あのとき、周りの地面はガチャガチャになってて、塵なんて沢山あった。それがあの怪物のものだったのかどうか、判断する方法は無い。


(あのときの怪物が生きてるかどうかは、まだ分からないなぁ…。)


 今回のことが、別の怪物が起こした事件だとしても、なにか手掛かりがあればと思ったけど、そう簡単にはいかないみたい。


「おーい、緋乃ちゃーん!終わったみたいだねー!」


「!紗羅さん。」


 怪物が倒されたのを確認して、紗羅さんが駆け寄って来る。そして、塵の山の前で止まって、満足気に頷いた。


「うんうん!流石の手腕だね!ご褒美に、頭を撫でてあげようか!」


 そう言って、腕をわたしの頭に向けて伸ばしながら、無邪気に笑う紗羅さん。その仕草は、子供みたいで凄く可愛い。


「とりあえず、これで終わりかな…?わたし、帰っても大丈夫?」


「うん、良いよ〜。後始末は私の方でやっておくから、緋乃ちゃんの今日の仕事は、ここで終わり!」


 少し屈んで頭を差し出して、撫でられながら話をする。事が済んだら、すぐ帰って来るように言われてるから、ちょっとあっさりしてるけど、やるべき事が終わったなら、今日はもう帰ろうと思う。

 ただ、解散する前に一つだけ、紗羅さんに聞いておきたい事がある。


「ねえ、紗羅さん。人に危害を加える怪物って、他にもいるの?」


 紗羅さんは、今までも人に危害を加える怪物を、観測したことがあるって言ってた。その怪物達は、今も生きてるのかな…?


「いるよ。観測はしたけど手に負えなくて、放置してる奴とか、これから新しく観測したり、今この瞬間、生まれて来る奴もいるだろうね!」


 そっか。考えてみれば自然な話だけど、新しい存在が生まれてくることもあるんだ。十七年前に、わたしが『発生』したときみたいに。

 つまり、今、存在してる危険な怪物を全部倒しても、それでもう安心って訳じゃないんだ。


「……紗羅さん。わたし、怪物退治、続けたい。誰かが傷付くのを止められるなら、わたしはそうしたい。だから、もし危険な怪物を見つけたら、また場所を教えてほしい。難しいかな…?」


 今回、紗羅さんがここに来たのは、『怪物退治』の目的があったから。でも、普段から怪物退治が目的って訳じゃなさそうだった。

 佐堂さんも、紗羅さん達はわたし達の存在を研究してる人達だって言ってた。本来は研究に忙しくて、怪物退治に割ける時間は、あんまりないのかもしれない。

 だから、協力してもらうのは難しいかもと思ったけど、


「元々、そのつもりだよ?私達じゃ対処できない怪物も、同じ怪物の緋乃ちゃんなら、いけるだろうし!前向きにやってくれるなら、こっちとしても助かっちゃう!」


 親指を立てながら、快くわたしのお願いを引き受けてくれた。良かった、お互いの利害は一致してるみたい。


「ありがとう、紗羅さん…!じゃあ、またね。お疲れ様でした…!」


「うん、お疲れ様〜!また後で、家に行くからねー!」


 挨拶をして、手を振りながら別れる。初めての怪物退治は、危なげなく終わった。

 これから、怪物退治を続けて色んな人を助けることで、佐堂さんに貰った想いを繋いでいけるかな――。



   ―――――――――――――――――



 事件が終わった後の路地裏。怪物少女の背中を見送った後、小さな塵の山を見つめる、研究者の小さな女性。

 現場に残っているのは、塵になった怪物と、その怪物が生きていたときに流した血のみ。立ち去った怪物少女は、一切の傷を負っていない。


「まあ、そりゃそうだよねぇ。あの子は『アレ』と同格だから、このレベルの怪物じゃ相手になる訳ないっと!」


 軽快なトーンの声で喋りながら、その場にしゃがむ。女性は相変わらずの楽しそうな様子で、小さな塵の山を調べ始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ