7話 出発前日
引っ張る少年押さえる少女。
「眼帯外せ」
「外したら存在できないじゃないかっ!」
いつものに戻って欲しい饗庭とまだ存在していたい寧。眼帯が目から少しでも離れればネーレに戻るので、お互いに本気である。
「お前女の癖に力強い……!」
「女性蔑視はやめて欲しいね……!」
拮抗。
――ふと人影。
「何をやっているの?」
「説明は後だとにかく眼帯引っ張れ!」
「こちらに協力して欲しいものだよ成り行きとはいえ姉さんじゃないかっ!」
戻ってきたのは鵜ノ崎だ。
だがしかし、状況を何も知らない鵜ノ崎は、客観的に見れば助けるべきは寧であるが、突然の妹発言だ。黒髪ロング。駄々被り。
本当に妹説を疑う鵜ノ崎。目を回しながら立ち尽くしアワアワしていた。
鵜ノ崎叶恵。只今困惑で泣きそう。
と、そこに爆音のテレパス。
『いい加減にしてくださあい!』
耳を(押さえても意味ないのに)押さえる2人に、
何も聞こえていない少女は困惑した。
◆┃◆┃◆┃◆
結局ネーレには戻らず。
綷賀がやってきた。
「あのですねえ。お仕事で来てる人を放置するのってどうなんですかあ?」
「なにこの人」
「俺は悪くない」
「一人でも大丈夫と思ってたのよ」
結局教えてもらってないことも多い。なんだかずっと他の話しかしていなかったから何も聞けていないというのもある。
「なんでわざわざ会いに来た」
「だって……」
「だって?」
「ネーレちゃんとチャンネル繋がらないし……」
(だからってネーレに直接会わなくても俺達を経由すれば良いのでは?)
「だからってネーレちゃんに直接会わなくても俺達を経由すれば良いのでは? とおもったでしょお。そしたら君たちネーレちゃん多分連れていかないよねえ?」
「「うっ」」
「え?」
「めんどくさいって思ってるかあ、危ないから連れていけないとか考えてるよねえ?」
「「うぐっ」」
「えっ??」
滅茶苦茶図星だった。その通り。理由は違えど2人とも、仮に優秀だったとしても連れていく気はなかった。しかしこうハッキリ言われるとやらなくてはいけない。そういうものだからだ。
そんな隣で、厳密に言えばネーレでない(自認)寧は、驚愕の事実に驚いていた。
「とりあえず、詳しいことは教えられませんけどお、ネーレちゃんは連れていってくださいねえ。復路の切符になると思いますう」
「往路は」
饗庭にはなんとなく分かる。長い付き合いだ。十年くらい。多分こう言う。
「手探りでどうぞ」
「やっぱり!」
◆┃◆┃◆┃◆
「今回はそこそこ長くなる。討伐に仮に1日しか要さなかったとしても復路に時間がかかるはず。多分一泊は確定だ」
「森で?」
「? 別に綷賀からなかったわよね。どことか」
「なんとなくそんな気がしたんだ」
「そろそろ戻れ」
「え 「イタイヨォ…」
ボサボサの白髪。髪の色とかが変わるタイミングは分からない。じっと見ていても気づいたときにはもう白だ。先端とか根本からゆっくり変わってくなんてことはない。見た限り。
ネーレから今度こそ眼帯を外す。なんとなくこれは保管しておいた方がいい気がした。捨てるのも忍びない。
記憶の共有をしていないなら保存先がどこかにあるはずだ。恐らくそれはこの眼帯。
なら。




