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転生令嬢は現状を語る。  作者: 水瀬


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18/22

昔話の続きと、犯人の供述。

 学園の騒動が治まった後も、おば様はマリアのことを監視していた。


 マリアは、卒業パーティーの後、その足で隣国へと行き、予定通り後宮に入った。

 そして、すぐにアリスを産んだ。

 しかし、数年後に王が病に倒れ、そのまま命を落とした。

 後宮は解体され、マリアはアリスと共に市井に落とされた。


 マリアは王には愛されたが、王妃を始めとする後宮の女たちには嫌われていた。

 ひどいいじめを受け、後宮を出された時はまるで老婆のようだったと言う。

 マリアとアリスこの国に戻り王都に住んでいた。

 おば様はすぐにマリアに接触した。

 老婆のようになってしまったマリアは、学園にいたマリアではなかった。心を入れ替え、ただアリスの幸せを願っていた。

 おば様はマリアを援助することにし、長く二人を見守っていた。

 しかし、おば様が外交で少しだけ国を離れた間に、マリアが亡くなってしまった。

 おば様がそれを知ったのは、マリアが亡くなって半月も過ぎたころだった。

 伝手を頼り、アリスの行方を追ったが、まるで神隠しにあったように足取りがつかめない。もしかして隣国へ連れ戻されたのかと思い、そちらも探していた。


 まさかおじ様に見つかり、ベルンと同じ学園に入学しているとは思わなかったそうだ。


 おじ様のところに、光魔法を使う少女がいると連絡が入ったのは、最終学年が始まる一月ほど前だったと言う。

 光魔法と聞いて、おじ様はマリアを思い出した。

 まさかと思って調べてみると、その少女はやはりマリアの娘だった。

 かつて愛した人の忘れ形見、そう思うと妙なスイッチが入ったとは、本人談だ。

 愛したマリアとその娘の生い立ちを聞き、隣国の王の妻だからと諦めてしまったことを後悔し、その償いをしようとした。



 で、昔のことを思い出した。



 マリアはあの時フリーだった。隣国の王と約束はあったが、誰もそれを知らなかった。

 そのせいで、学園全体の男がマリアの相手になろうとした。

 最初から誰かのモノだと分かっていたら、きっとあんなことにならなかった。


 ちょうど良くアリスと同じ年のベルンが学園に居る。

 ベルンはあの学園での地位は最高位。


 そうだ、最初からベルンの婚約者としておけば、誰もアリスにそう言った感情を持たないのではないか。


 そして今のベルンの婚約者は、ベルンとの婚約解消を望んでいる。

 愛する人の娘を、自分の娘として守れるならこれ以上の償いは無い。


 おじ様はそう考えて、行動を起こした。

 学園側にアリスが隣国の前王の娘であることをそれとなく教え、王家が許すからとエリザベスを下位のクラスに下げ、その場所にアリスを置くように指示した。

 そして、昔学園で女性陣がした嫌がらせを、エリザベスがしたように噂を流させ、ベルンとアリスが両思いであるように周囲に見せつけた。

 最後に卒業パーティーで、ベルンに婚約解消をさせれば、おじ様の計画は完了する。



――――はずだった。

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