良くあるのかな、昔話。
おば様とおじ様は生まれた時から婚約者同士だった。
お互いそれを当たり前のように受け入れて、愛し合ってはいなかったが、仲は良く、いつかは普通に結婚すると思っていたと言う。
私とベルンみたいな感じね、とおば様はほほ笑んだ。
それがおかしくなったのは、学園の最終学年になった時だった。
光魔法に目覚めたという庶民の少女が、学園に編入してきたのだ。
少女の名前は、マリア。
ふんわりとした雰囲気で、庇護欲誘う笑顔と柔らかな声のとてもかわいらしい少女だった。
マリアが学園に現れると、男性陣はその姿に憧れを抱き、おば様を始めとする女性陣は警戒した。
学園は平等とは言え、やはりマナーはある。
学園に通う男性はみな高貴な生まれだったため、当然皆既に婚約者がいた。
しかし、庶民であることを理由にマリアはマナーも気遣いもなく、おじ様を始めとする男性たちを次々に虜にした。
容赦ないその行動に女性陣は苦言を呈したが、マリアはどこ吹く風だった。
怒った女性陣は、それぞれに嫌がらせを始めた。
最初は些細な嫌がらせだったそれは、一年かけてとうとうマリア本人を害するまでに至った。
男たちは憤り、卒業パーティーの日に爆発した。
たくさんの男たちがそれぞれの婚約者がしたと言う嫌がらせを突き付け、婚約破棄を告げた。そして、その口でマリアにプロポーズしはじめた。
おじ様もその一人となるはずだった。
筈だったと言うのは、おじ様の番になる前に、その茶番が終わってしまったからだ。
荒れに荒れた卒業パーティーの喧騒の中、現れたのは隣国の王だった。
颯爽と現れたその美丈夫に、マリアの周りにいた男たちは声もなかったと言う。
光魔法を持つとは言え、マリアは庶民の筈なのに、持ち物もドレスも最初から豪華だった。
男たちは、自分たちの誰かが贈ったものだと思っていたが、それは違った。
マリアはすでに隣国の王のものであり、側室になる資格を得るためこの学園へと入学したというのだ。
はじけるような笑顔と共に、王の胸へと飛び込んだマリアを見て、男たちは静かになった。
王と共にマリアは会場を後にし、卒業パーティーはまるでお通夜のような状態で終わった。
男たちは憑き物が落ちたようにマリアへの愛情を無くした。
婚約破棄をしてしまった者たちは慌てて女性陣に許しを請うたが、許されるはずもなく今も独身が多いらしい。
間に合わなかった者たちは何事もなかったようにそのまま結婚したが、未だにまだ妻の尻に敷かれている。
おじ様とおば様もそのまま結婚したけど、おじ様もそう……みたい。




