ベルンの中身は、おじ様譲り……だったようです。
おば様とおじ様の話し合いの間、私はベルンの部屋に居た。
居場所がないから仕方がない。
「べスは、ずっと僕を嫌いだったの?」
「嫌いじゃないよ。好きでもなかったけど」
窓の外を見ながら答える。
きれいに手入れされた庭は、目にも心にも優しい。
「ベルンのことは幼馴染としては好きだよ。でも結婚相手じゃない」
最初から結婚できないと分かっている相手を好きになる筈がない。
前世で好きだったキャラでもないし、今世で一目ぼれもない。
子供のころから一緒に居る家族みたいなものだ。愛は無いけど、情はある。
だから。
「ずっと言っていたよね。婚約は解消したいって」
「……」
「ベルンなら、それをちゃんと理解していると、分かってくれていると思ってた。すごく残念だよ」
そう言って振りかえると、ベルンがこっちを見て立ち上がっていた。
「僕は、ずっと好きだった」
表情もなく、ベルンがそう言った。
「僕は、ずっとべスが好きだった!」
今度は叫んだ。
「知ってるよ。ベルンが私を好きなのは、でもだから?」
だから何だって言うんだろう?
「ベルンが私を好きでも、私はベルンを好きにならない。ベルンと私は違う人間なんだから、ずっと一緒に居たからって、同じ気持ちにはならないよ」
「……べス」
「……まぁでも、もし今回のことがなければ、結婚はしたかもしれない」
ため息をつくように、そう言ったら、ベルンの目から涙が落ちた。
居心地が悪くて、私はベルンの部屋を出た。
廊下でぶらぶらしていると、おば様たちの話し合いが終わったらしく、迎えが来た。
ベルンと共に再度訪れたおば様の部屋は半壊し、おじ様は服がボロボロになっていて、呆けたように泣いていた。
ここの男はみんな泣き虫だな。
いつのまにか父と母も到着していて、青ざめながら部屋を見回していた。
「ふう。大体解決よ」
おば様が額をぬぐいながら、そう言った。
空気は氷点下だから、その仕草は合わないけど、おば様の頬はいつになく紅潮し、すっきりしていた。
「座って、って座るところが無いわね。場所を変えましょう」
応接室へ移動して、おば様は優雅にお茶を飲んでいる。
椅子に縛られたまま騎士に運ばれたおじ様はまだ泣いていた。
ベルンは無表情で、父と母は顔をひきつらせている。
「ベルン、まず貴方からね」
おば様はそう言って、婚約解消の紙をベルンの前に出した。
「名前、書きなさい」
ベルンは素直にペンを持った。
そして、名前を書いた。
乾くのを待って、おば様が私の方へと紙を差し出した。
「これで、婚約は解消ね」
私は不思議な気持ちでそれを受け取とった。
「さぁ、次は、どうしてこうなったかを説明するわ。まずは昔話からね」




