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転生令嬢は現状を語る。  作者: 水瀬


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16/22

ベルンの中身は、おじ様譲り……だったようです。

 おば様とおじ様の話し合いの間、私はベルンの部屋に居た。

 居場所がないから仕方がない。


「べスは、ずっと僕を嫌いだったの?」

「嫌いじゃないよ。好きでもなかったけど」


 窓の外を見ながら答える。

 きれいに手入れされた庭は、目にも心にも優しい。


「ベルンのことは幼馴染としては好きだよ。でも結婚相手じゃない」


 最初から結婚できないと分かっている相手を好きになる筈がない。

 前世で好きだったキャラでもないし、今世で一目ぼれもない。

 子供のころから一緒に居る家族みたいなものだ。愛は無いけど、情はある。


 だから。


「ずっと言っていたよね。婚約は解消したいって」

「……」

「ベルンなら、それをちゃんと理解していると、分かってくれていると思ってた。すごく残念だよ」


 そう言って振りかえると、ベルンがこっちを見て立ち上がっていた。


「僕は、ずっと好きだった」


 表情もなく、ベルンがそう言った。


「僕は、ずっとべスが好きだった!」


 今度は叫んだ。


「知ってるよ。ベルンが私を好きなのは、でもだから?」


 だから何だって言うんだろう?


「ベルンが私を好きでも、私はベルンを好きにならない。ベルンと私は違う人間なんだから、ずっと一緒に居たからって、同じ気持ちにはならないよ」

「……べス」

「……まぁでも、もし今回のことがなければ、結婚はしたかもしれない」


 ため息をつくように、そう言ったら、ベルンの目から涙が落ちた。


 居心地が悪くて、私はベルンの部屋を出た。

 廊下でぶらぶらしていると、おば様たちの話し合いが終わったらしく、迎えが来た。


 ベルンと共に再度訪れたおば様の部屋は半壊し、おじ様は服がボロボロになっていて、呆けたように泣いていた。

 ここの男はみんな泣き虫だな。

 いつのまにか父と母も到着していて、青ざめながら部屋を見回していた。


「ふう。大体解決よ」


 おば様が額をぬぐいながら、そう言った。

 空気は氷点下だから、その仕草は合わないけど、おば様の頬はいつになく紅潮し、すっきりしていた。


「座って、って座るところが無いわね。場所を変えましょう」













 応接室へ移動して、おば様は優雅にお茶を飲んでいる。

 椅子に縛られたまま騎士に運ばれたおじ様はまだ泣いていた。

 ベルンは無表情で、父と母は顔をひきつらせている。


「ベルン、まず貴方からね」


 おば様はそう言って、婚約解消の紙をベルンの前に出した。


「名前、書きなさい」


 ベルンは素直にペンを持った。

 そして、名前を書いた。

 乾くのを待って、おば様が私の方へと紙を差し出した。


「これで、婚約は解消ね」


 私は不思議な気持ちでそれを受け取とった。


「さぁ、次は、どうしてこうなったかを説明するわ。まずは昔話からね」

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