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The Dead In The Water 〜ザ・デッド・イン・ザ・ウォーター〜  作者: しじみちゃん
The Dead In The Water: The Beginning Of The End
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無双

 土日は家に帰り、土曜日はメアリーとお出かけ、日曜日は家でゴロゴロした。


 換気扇の修理というかアップグレードが来週中に行われるらしい。


 うちに来店したボブがいろいろとママと交渉をしているのをみて笑いそうになった。


 で、月曜には島に戻って火曜日の報告に向けて準備をしたのだった。


 当日になって、俺はマリーに案内されて会議室へと入った。


 取締役会をついでに行っていたのだろう。会社の重鎮達が集まっている。


 あのキツめの顔をしたおばさんがスロープ社の社長だ。


 彼女は、俺やマリーに対して虫けらでも見るかのような目で視線を送ってくる。


「ボブのお願いだから、一応時間を作ることにしたのです」と社長が言う。「さっさと始めなさい」


「ボブとは古いお付き合いで?」と俺は聞いた。


「昨日も寝た仲ですが、何か?」


「……いえ。本日は俺のためにお時間を割いて頂いてありがとうございます」


 一番前に立ち、ホログラフィック・スクリーンにスライドを投影してもらう。


 取締役のおっさんとおばさんが、俺を品定めするみたいにこっちみている。


 見せてやろう。俺様の実力をな。


「KGIは安定な兵士強化を完成せることとして、大きく3つのKPIを設けようと思っています」


「素晴らしい。我々には思いつかなかったことだ」


 えっ、それは経営陣としてどうなの?


 とは思ったが、言葉を続ける。


「三つはですね、実現可能な導入シミュレーションの構築、遺伝子の発現を安定発現へ、そして遺伝子導入の高効率化、です」


「なんとすばらしい! K・P・I! K・P・I!」


 おっさんが一人ガッツポーズをして盛り上がっている。


「で、次ページをご覧いただきたいのですが、めちゃくちゃ分かりやすいグラフがあると思うんですが、現状ではKPIの一つ目がかなりいいところまで進んでいます」


「そのようですな」


「実に順調に見える」


 取締役たちがつぎつぎに賞賛をした。


「遺伝子導入についてはアデノウィルス、レトロウィルス、レンチウィルス等、すでに確立された方法がありますので、それらを改良していくという形になっています。それも並行して進めていますので、安定発現への手法開発も順調に進んでいると言っていいでしょう」


「そんなに順調だったのか? なんの成果も上がってなかったとばかり」


「素晴らしいじゃないか。誰だ、予算を削れとか言っていた奴は」


「予算を削るのはマズいかと。資料のシミュレーションを再生してみてください。人間が、クリーチャーのようになります」


 場がざわつき始めたので、静まるまで俺は黙ってから言葉を続けた。


「ここまでは研究成果に関することなのですが、これから投資効果についても説明していきたいと思います。次の資料をみて欲しいんですが」


「なんでも聞いちゃうよ〜」


 経営陣はなんかゴキゲンになっている。


 ただ一人、社長は不機嫌そうな顔をしているが。


 俺はROIについてちょっとインチキに数字をごまかした説明をし、もっと予算を投入しろとの提言を行った。


「そうだそうだ! どんどんカネをぶちこめ!」


「社運が上向きですぞ!」


 取締役達の盛り上がりが絶頂に達した。


 しかし、社長は尚も御機嫌斜めだ。


「私はねえ、そもそもこのプロジェクトには反対なんですよ。武器を作って売るのがうちの会社です。兵士も貸しますが。それがなんで薬なんか」


 なるほど、基本的にこの人はネガティブに考えてるんだな。


 それならば。


「お言葉ですが社長。昨日はボブと寝たそうですが、仮に強化された彼を想像してみてください」


 社長は俯いた後、顔を上げて目を見開いた。


「……やばいわね」


「ですよ」


「いいでしょう。私もこのプロジェクトには賛同します」


 こんな感じで、俺は経営陣と研究者たちとの軋轢を消滅させることに成功したのだった。

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