表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最悪の領主に転生した俺、なぜか国を救ってしまう  作者: レモンティー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/41

第四十章:対価

隣国の王都。

石造りの城は、重く静かだった。

「……久しぶりね」

姫が小さく言う。

「ああ」

短く返す。

前とは違う。

今は――

“呼ばれて来た側”だ。

謁見の間。

玉座の上。

隣国の王がこちらを見る。

「よく来たな」

低い声。

威圧ではない。

だが、重い。

「領主」

名は呼ばない。

それで十分だった。

「要請があったから来ました」

俺はそれだけ言う。

王はわずかに笑う。

「相変わらずだな」

視線が横に動く。

姫を見る。

そして――

戻る。

「単刀直入に言う。」

間を置かない。

「そなたのお陰で国が救われた。」

「褒美を与えたい。」

「不要です。」

即答。

空気が止まる。

王は気にしない。

「そう言うと思った」

むしろ納得している。

そして――

言った。

「ならば、形を変える」

一拍。

「姫をもらってくれないか」

沈黙。

一瞬で、

場の空気が変わる。

姫の肩がわずかに動く。

だが何も言わない。

視線も動かさない。

「理由は四つだ」

王が続ける。

「一つ」

「お前の力は、もはや一領主のものではない」

「二つ」

「我が国は、その恩を受けている」

「三つ」

わずかに笑う。

「娘が望んでいる」

姫の目が、

一瞬だけ揺れる。

「四つ」

「貴国と友好関係が結ばれる。貴国の王も了承済みだ。」

俺は答えない。

少しだけ考える。

「断る理由は?」

逆に聞く。

王は面白そうに目を細める。

「あるのか?」

「面倒だ」

正直に言う。

玉座の間に、

わずかな笑いが漏れそうになる。

だが誰も出さない。

王は笑った。

「だろうな」

否定しない。

「だが」

少しだけ身を乗り出す。

「これは取引ではない」

「縛りでもない」

「好きに扱え」

その言葉に、

姫がわずかに眉をひそめる。

だが何も言わない。

「拒否してもいい」

王は続ける。

「だが――」

視線が鋭くなる。

「それでも、我が国はお前と繋がる」

つまり、

どちらでも結果は同じ。

「……合理的ね」

姫が小さく言う。

俺は一度だけ息を吐く。

そして――

「本人はどうだ」

姫を見る。

初めて、

話を振った。

姫は少し驚いた顔をする。

だがすぐに戻る。

いつもの表情に。

少しだけ考える。

ほんの一瞬。

「……悪くないわね」

静かに言う。

「少なくとも」

俺を見る。

「退屈はしなさそう」

それが答えだった。

俺は頷く。

「じゃあ、受ける。」

あまりにも軽い返答。

王が笑う。

「決まりだな」

重いはずの話は、

あっさり終わった。

だが――

意味は重い。

帰りの廊下。

人がいない。

静かだ。

「……いいの?」

姫が聞く。

「何がだ」

「今の」

少しだけ間。

「結婚よ?」

「そうなるな」

姫が止まる。

俺も止まる。

「……もっと悩むと思った」

「必要か?」

姫はしばらく黙る。

そして、

小さく笑う。

「そういう人だったわね」

少しだけ前に出る。

振り返る。

「でも」

わずかに柔らかい声。

「悪くないわ」

その距離は、

もう――

前より近かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ