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原子という名の魔法  作者: 氷線香
中世、紀元前番外編
8/12

紀元前(空白の5年間)番外編2

ビゴが9部隊に入った1ヶ月後、アローが9部隊へ、入隊した。

1ヶ月という期間は、本来であれば誤差だが、この事実はアローにとって、確実に差が開いていることを実感した。

「チキショー」

アローは拳を大木にかます。

「オキシダズ」

「リダクション」

鉄は錆びたが、完全に酸化せず、ところどころ。還元魔法も、少ししかできなかった。

「だ、大丈夫だよアロー。き、きっとできるようになる。ま、魔法はイメージが大事なんだよ。ス、スポーツでも、何でも、イメージすれば、パフォーマンスは上がる。」

ビゴがフォローに入ったが、アローは浮かない顔をしていた。

「アロー。少し休憩しねぇか?」

声のした方向を向くと、そこにいたのは9部隊副隊長だった。

「何度も言ってるかもしれねぇが、葉巻は吸いませんよ。」

「別にいいじゃねぇか。ニコチンの原子は水素と窒素と、炭素だけなんだぜ〜」

「だめに決まってますよ。副隊長だって水素しか使えないんだから、成分を分解できない。」

「冗談だよ。だが、葉巻を吸うとすげー強くなれる気がすんだ。ストレスがスーっと抜けてくる感じ。エネルギーって、本来はあるエネルギーしか放つことができない。物を落としても、位置エネルギーが運動エネルギーに変わるのには、限界がある。だけどよぉ、生物は頑張った分だけ限界が崩れるんだ。限界突破ってやつだよな。」

確かに副隊長は、原子魔法を上手に扱えるし、不利な戦況であっても、一つでも突破口があれば導き出してくる。50代とは思えないタフな副隊長だ。


翌日

第9部隊は、任務の為、遥か北側へ向かった。

「協定を結んだために、3000キロとか、やっぱりとち狂ってるな。」


昨日

「これは任意の任務だが、約3000キロほぼ真北に『フリーズ』という国が、ある。ランタ国と協定を結んでいる以上、どこかの部隊が行かなくてはならないため、10部隊以上の兵士に呼びかけている。向かう者は挙手しろ。」

9部隊の兵士たちは、しんと静まり返った。フリーズは、寒い日だと、−50度にもなる。状態変化魔法を誰も使うことができないため、水素は役に立たず、兵士の3割ほどが水素のため、オーガとの相性は最悪だった。

「生きて帰れば、飛び級させてやる。」

そう言われても手を挙げる者はいない。

そんな中、手を挙げたのはアローだった。

「だ、だめだよ。食料も1000キロ離れた所にしか拠点がないし、マッチも役に立つかどうか分からない。ア、アローが行くなら、わ、私も行くけど。」

「大丈夫だ。確信はねぇけど。」

そうして、4部隊から10部隊の合計23人で北の国、フリーズへと向かった。中継地まで1000キロ。それも直線距離にすぎない、それまで何とか敵の兵士を倒し、火を起こし、木の実や、野生動物を採取したり狩らなければならなかった。

第3部隊の兵士が声を上げた。

「お前ら、ここから役700ヤード先、敵兵2人。さらにさっきの道から8人の軍隊が来ている。」

(すげぇ。こいつ、探知のプロだ。おそらく、こいつの操る原子を広範囲で振動させ、相手が同じ原子を操るか、その場所を通ったときに分かるようにしてんだ。たまげた。第3部隊はここまでつよいのか。)

こうして、4日目で敵との戦闘もなく、拠点までたどり着いた。

「皆!生きててよかった。それでは、ここからのルートなのだけど、沿岸をたどっているから、このまま沿岸沿いに進んでいきたいけれど、ここからは敵国や中立国の港が多くある。下手に踏み込むことはできない。そのため大河を横断しなければならない。金属系のやつらは、一次退避。水に浮く物質のやつは、全員視察へ行く、ここからは未知の領域だから、オーガの地図作りも同時並行でやっておきたい。」

「じゃあビゴ、頼むぜ。」

「う、うん。」


翌日

第3部隊隊員率いる原子番号の早い原子を扱う者らは、大河に船を作り、自らの魔法で動かしていた。

「スロー」

「スロー」

賢明に船を動かしていたが、何人か落ちてしまう。かなり冷たかった。水温は10度を切り隊員は体力ギリギリ。そんな中、敵兵が見えた。

「スロー」

川の向こう側から、攻撃してくる。

「ハーダー」

第3部隊隊員が、壁を作る。

「お前ら早くいけ、川を渡ったあとも、敵兵だらけだ、おそらく、探索する場所がかぶった。これ以上無理なやつは撤退、金属系にはこの川の長さと、敵兵の存在を知らせろ!!」

こうして、味方の兵士で、向こう岸までたどり着いたのは半分ほどになった。敵兵に囲まれているところ。

「ど、どうしよう。マ、マッチが濡れちゃった。」

ビゴもその一人だった。

「アトプレッシャ・ロー」

「い、痛い」

頭痛とともに敵兵2人組がこちらにくる。

「スロー」

ビゴはホウ素を投げたが軽いホウ素には殺傷能力がほぼなかった。

「おらよっ」

そこには銅の刃を投げる同い年位の男がいた。

「あ、ありがとう。」

ビゴはお礼を言う前に去って行った。ビゴは投げたあとの敵兵の血のついた銅の刃を持って、進んでいった。そのうちビゴは、第3部隊隊員と合流し、生き残った4人で北へ先に進んだ。


拠点にて

「撤退してきただと?ビゴは?第3部隊のあの隊員は?」

拠点では、撤退した隊員たちが金属系から、質問攻めにあっていた。

「ごめん。分からない。俺達も必死に逃げてきたんだ。」

「クソッ。もう待ってられねぇ。ビゴたちの様子を見に行ってくる。」

アローがそう言うと撤退した兵士は肩を押さえる。

「やめとけよ。お前らは川を渡る手段なんてないだろ、相手の兵士は数十人行ってて、戦力はほぼ同じ。ぶつかって全滅もありうる。ここはあの第3部隊隊員が成し遂げてくれることを信じて...」

「俺はビゴの事を言っているんだ!!もういい。離せ。」

そう言うとアローは走って行ってしまった。


「本当にごめん。俺の戦略が悪かったもう少し練った内容のものならよかったかもしれない。」

「そ、そんなことないですよ。私たちだけで進みましょう。あと1000キロくらいです。」

各々の原子に乗って、飛行していた。体力のない兵士4人は風に任せて進む。

「こんなことしてて、意味あるのかな。」

「何を行ってる?ここに来た理由は同盟国に貢献するために。」

「その人たちって俺たちの言語話せるんですかね。」

周りがしんとしてしまった。

「ど、どの言語を公用語としている国と組んでるんですか?」

「メタルなんだが、誰か話せないか?」

「わ、私いけるかもです。」

「じゃあ、任せていいか?」

「は、はい。気をつけて挑みます。」

数年前、とある国が言語を知らず、敵だと勘違いし、大規模な戦いとなったことがあった。その国々は、同盟を解消。戦争は未だに続いている。

このような事件が後を絶たないため、兵士の送り込みは慎重にしなければならない。

「ショット」

「うわぁ!」

魔法を撃たれ、ビゴが、落ちてしまった。

「全力で守れ!!」

三人は急いでビゴをささえた。

第3部隊隊員は、敵兵の前へ行った。

「誰だ貴様は。」

「;@;-,@:_ ;/;;:@ ,0。」

ビゴは只者ではない気配を感じた。

「お前ら、私はコイツを倒してから行く。先に向かえ。」

ビゴたちは去って行った。

「さぁ、どう勝たせばよいのか。」

「ショット」

「ハーダー」

ダイヤの壁が、破壊され、第3部隊隊員に傷を負わせる。

「クソ、防御に転じるだけじゃだめか。」

「ファイヤ」

「スロー」

燃えた黒鉛が、敵兵向かって飛んでいく。

「ハーダー」

(よし、モース硬度の高いダイヤ、つまり、属性は同じだな。熱しまくって小さくしてやる。)

しかしそこには無傷の敵兵の姿があった。

「んなバカ...」

「ボルト」

自分の腕に銀色の何かが腕輪のようにしてかけられていて、気づけば電撃が第3部隊隊員をおそった。

(やばい。死ぬ。)

「ショット」

第3部隊隊員は一瞬にして撃ち抜かれた。


「スロー」

「ハード」

「ブルッコ」

「クソッ、当たる気配がねぇ。」

アローは、河から攻撃したが、返り討ちにあいそうになっていた。


「や、やっと着いた。」

「それにしても、第3部隊隊員遅いですね。」

「まぁ、大丈夫っすよ。多分。」


「そ、それではいきます。」

ビゴはそう言うと番人のもとへ行った。

「こ、こんにちは。オーガニック共和国軍隊です。フ、フリーズ国侵攻の手助けとして派遣されました。これが許可証です。」

そう言うと、1枚の紙切れを差し出す。

そして、入国許可を得た3人は宿に泊まった。

「やっぱりおかしいですよ。明日にでも探しに行きましょう。」

「合理的に考えればわかるだろう。仮に勝って、あっちにいたとしても、この極寒の中を耐え抜くのは不可能。『ショット』とかいう馴染みのない魔法を使っていて、強さが一目見ただけでわかる。そして第3部隊隊員を殺したかもしれないやつがうろついている。そんな危険な場所、行けるわけないでしょう。」

「じゃあ俺たちはどうやって勝てば良いんですか?」

「俺は一応第5部隊に所属している、ここのビゴとかいう奴も、第9部隊だが、相当な力を持っている、第7部隊が適正といったところか。」

「でも、俺は10部隊です。変な足手まといになったら申し訳なくて。」

「12部隊を脱することができんのは、約5%と言われている。そして、第11部隊からも脱することができんのは、そのなかで20%つまりは、お前は十分すごいってことだ。自身もて!」

そう言って眠りについた。

「お、おやすみなさい。」

ビゴも眠りに就く。

「2人とも、どれだけ緊張感ないんですか!」


「だーかーらー!!どうして入れねぇんだよ!!」

深夜1時、アローは番人の前で入国許可を申請していた。

「こんな破けたものが使えるわけないだろ!」

「ビゴはどこいったんだ?道中では見かけなかったが。」

「お前、もしかして、あの兵士らの仲間か!!」

「あぁ。おそらくな。」

そうして2時間の激闘の末、入国の許可を得られた。


翌朝

「ア、アロー。来てくれたの?」

「大変だったぜ。怪我はねぇな?」

「う、うん。」

「ちょっと待ってください。あなた何者ですか?」

「俺の名前はアローだが...」

「そんな事を聞いているんじゃありません。どうやってここまで来たのですか?」

「河の向こう岸にいる奴ら全員疲弊させてきた。」

「あの、魔法使いは?」

「どこのどいつのはなしだ?」

「すごい。倒してしまったのですね。」

「まだそうと決まったわけじゃねぇが、、、」

「よかった。これで安泰です!!」

そしてアロー含める4人はフリーズへと向かった。


敵は意外とすぐに現れた。

「スロー」

アローは鉄片を飛ばした。

「ハーダー」

アローの攻撃は、ブロックされてしまう。

「ショット」

敵兵はアローに攻撃を仕掛ける。

「ハード」

アローは飛んでくる全ての攻撃から守ろうと。高密度の鉄で防御壁を作り出す。

「ボルト」

「うぁ。」

アローの身体が痺れる。

「こんなヘボ電流喰らうかよ!」

「ハード」

「スロー」

アローは、敵兵に向かって鉄を投げる。

「ハーダー」

敵兵は防御するために魔法を唱えた。

「くっ。」

敵兵は痺れてその場に倒れ込んだ。

「導体使ってんのか。なら、俺との相性最悪だな。はじめはモース硬度高いらしいから炭素かと思ったけど。タングステンとかだろうな。」

「す、すごい」

「今だ!皆行くぞ!」

「はい!わかりました!」

「スロー」

「スロー」

「ストーム」

「クソぉ。あのガキ!!」

「ハーダー」

敵兵は壁を作ったが。とんでくる物質に耐えられず、根元から崩れた。

「うそ、だろ。」

敵兵は倒れた。

「これに懲りたら...」

「ハード」

高密度のタングステンをドリル型にし、アローに向ける。

(こいつ、どれだけしぶといんだよ。止血する前に気絶させとくか。)

「ブルッコ」

「ショット」

つよい風が吹き、そのやりとりを見ていた3人は目を細めた。再び開けると、血まみれの敵兵とアローの姿が見えた。

「ア、アロー!!」

「ファイヤ」

「スロー」

ホウ素が敵兵に向かって飛んでいく。

「ハーダー」

「ショット」

こちら側に、タングステンごとんできた。

「ウィンド」

間一髪で防がれる。

「あまり触れないほうがいいかもしれません。電気が流れていますし。」

「あ、ありがとう。」

攻撃してきた方向を向くと案の定敵兵が立っていた。

「このアローとかいう奴は致命傷食らってるし、安全に撤退したいから3秒後に核兵器を投下する。」

そう言うと、wの文字が入った瓶を持ち、割ろうとする。

「ブルッコ」

アローがかすれた声で言った瞬間、アローと、敵兵両方の傷口が開いた。

「これじゃあ、俺が死ぬ方が、先だな。ビゴ、わりぃ。」

「や、やめて!!」

お互いが苦しむ中、落とされた瓶が割れ、爆発が起こった。

「そんなことって、あるんですか?」

そう言って、第10部隊の兵士が口を開いたまま立ち尽くす。

「ウィンド」

爆発した所へ行こうと、ビゴは移動する。

「やめろ。無駄死にだ。」

第5部隊の兵士が大声で怒鳴ったが、ビゴは聞く耳を持たない。

「アロー!アロー!見つけた。」

そこには血まみれのアローがいた。

「ビゴか?もう、俺は死ぬから。あいつら連れて帰れ。もう遅かった。こうするしかなかったんだ。」

「そんなの、まだわかんないじゃん!」

「ウィンド」

「2回連続での同じ魔法って、威力落ちんだぜ。」

「なんでそんなことばかりいうの?アローらしくない。」

そして火の中を進みようやく、味方の兵士のもとへたどり着いた。

「少し見せてください。」

第5部隊の兵士が言う。そして、自らの服をちぎり、アローの傷口に強く抑えた。

「気圧を上げてください。」

「アトプレッシャ・ハイ」

「ありがとう。酸素を確保しなければならない。さらにこの寒さだから、暖も取らなければ。」

「ファイヤ」

ビゴが炎を灯し、15分後、アローは意識を取り戻した。

「あんなに、かっこつけちまったのに生きてるのかよ。」

「おい、皆!アローが目覚ましたぞ!」

その後、三人は無事帰還し、第7部隊へ昇格した。


―原子という名の魔法紀元前(空白の5年間)番外編2 完―

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