中世編 本編 2話
アトム国 試験会場にて
「それではルールを説明します。」
俺は地図を頼りにアトム国を風魔法で飛び回った末、ようやく試験会場にたどり着いた。一応あの兵士に教えてもらう事もできたが、替え玉試験をするなら同行は避けたほうがいいだろう。
ルールはしっかり教えてくれるらしい。ただ、違和感がある。アトム国の兵士は毎年この試験を受けるのに、全員説明を受けるのは非効率だ。この試験に裏があることは絶対。俺がここへ来た目的は、負傷した仲間の蘇生。こんな大変なら、話しかけないほうがよかった。
「まず、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、希ガスに分かれて、敵チームの持つ旗を破壊してください。破壊されたのが確認されたら、その人はそこで失格。抵抗すれば、懲役刑が課されたり、ここの試験資格がはく奪されるので絶対にしないこと。そして、5分移行は全ての魔法を使わないようにしてください。しかし、武器や防具の使用は許可します。しかし、殺害は厳禁です。こんなところでしょうか。」
そう言って笑顔で行ってらっしゃいませと言わんばかりに手を振った。
しかし俺にはとても不気味に見えた。
12部隊から1部隊までのアルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、希ガスのチームが集まり、俺のアルカリ土類金属は、ほとんどがマグネシウム。そして、11部隊や10部隊にしてはやけにガタイが良い奴もいた。おそらく替え玉試験は俺だけじゃないようだ。
「それでは戦略を立てよう。俺がまず前線で戦う、そしてその共として2部隊のイチニマグを連れて行く。そして5分を切ったタイミングでお前らは剣や銃を振りかざせ。全滅しても構わない。この戦いはポイントをとったチームの勝利だからな。一番ポイントを取りづらい希ガスには、最悪背を向けてもらって構わない。それから...」
こんな調子で、1部隊隊長が指揮を執った。
20分後
「それでは、よーい...始め!!」
作戦通り、1部隊隊長、2部隊隊長が前線で戦う。流石アトム国の精鋭だけあって、すぐに3人の旗を破壊した。俺たちは遠距離の攻撃をしつつ、自分の旗を守る。
「ハード」
固めたらあとは逃げるだけ。シート状にした固体のマグネシウムを操って常に移動する。
「ショット」
後ろから魔法を唱える声が聞こえた。
「ハード」
防御し、声のした方向を向くと味方がいた。流れ弾だ。チキショー。どうやら仲間の攻撃も脅威になりそうだ。
「ネガティブポール」
とりあえず俺から発する磁界をマイナスにし、マグネシウムは、比較的マイナス極の特徴を持つためほとんど効果はないが、申し訳程度に仲間の攻撃を防ぐ。
「ショット」
「スロー」
何回か投てき系の魔法を使う。連続で魔法を使うと精度が悪くなるので、こうやって初級魔法と上級魔法を組み合わせる。
「バシャン」
背後から水をかけられた。
水素や酸素は使えないため、バケツで。最初は何をやっているのかわからなかったが、俺は追い込まれていることに気づいた。
―試合開始前―
「お前ら、この戦いはアルカリ金属か、アルカリ土類金属しか勝ったことがない。つまり、そいつにさえ気を取られなきゃ勝利は確実ってわけだ。」
「そんな事を言っていた、、、」
思わず口に出てしまった。アルカリ金属系は、水に触れると激しく爆発する。多分今水をかけてきたやつはアルカリ金属で、俺に量でねじ伏せる自信があるのだろう。
「やってやろうじゃねぇか!!」
「ヒート」
一時的に蒸発させる。熱いが、死ぬよりからマシだろう。
「ハード」
これでとりあえず相手の攻撃を防ぐ。
しかし相手は向かってくるどころか、俺に水をかけたきり、逃げていった。何がしたかったのか。
そんなこんなしている間に、アルカリ金属がアルカリ土類金属とダブルスコアをつけてリードしたらしい。どうやらあの2人だけで。レベルが違った。
これで安心と思ったのも束の間、俺は激しい息苦しさに襲われた。
「た、、すけ、」
遠くで笑い声が聞こえる。
「いやーほんと馬鹿だよな。アルカリ金属とアルカリ土類金属が戦ってる間、俺たちが何をしたかを確認しないだなんて。」
匂い的に希ガスだろう。なるほど、漁夫の利された。
まず、希ガスは、後ろに退き、『アトプレッシャ・ハイ』で、この会場を希ガスまみれにし、直に俺たちが窒息するのを待った。
さっき水をかけた奴らも、ただ妨害する為だけの、暇つぶし。アルカリ金属とアルカリ土類金属の間を更に悪くさせ、その間できるだけ詠唱魔法や、上級魔法を使わずに油断させた。
―2時間後―
「おい、起きろ、大丈夫か!」
そう言われて起きると、アルカリ土類金属の皆が倒れた奴を起こしていた。
「すみません。力が及びませんでした。」
やってしまった。俺が少しでも前線で戦い、1ポイントでも獲得できていれば、、、
「何言ってるんだ?アルカリ土類金属と、希ガスは同スコアだぞ。」
「へ?」
2ゲーム目はポーカー。
武力ではないのは、そうしてしまうと、1ゲーム目に、わざと味方を負傷させる奴が出てくるからだそうだが、瀕死にしてしまえば、出場できないので、あまり意味ないのではと感じる。というか、アトムの兵士は皆優しい。何か裏があるのか。それとも、民主主義によって、国民や兵士の不満が少ないのか。
なら、俺がその事を後悔させてやる。なぜなら俺は、高校で数学7ヶ月連続1位を叩き出したことがある。確率なんて、もってこいだ。
―一方、オーガにて―
「お前、俺の部下をあんな危険なことさせといて、お前は安全圏でのうのうと生きてるだぁ?ふざけんな!」
「ごめんなさい。死者蘇生はあなたに譲るので!」
「んなのたりめぇだ!俺が欲しいのはその瓶だよ!」
「こんなのでいいのですか?」
ネオン、ラドン、アルゴンなど、変わった種類の原子の瓶を渡す。
「なんじゃこら?お前、カルシウムなんだろ。なんでこんなん持ってんだよ?」
「変わった原子を集めるのが趣味でして。」
「気持ち悪!あぁ、もう解散だ、解散。」
「あ、そうでした。一つ言い忘れていた事がありまして...」
「は?なんだよ。」
「この試合って、おかしいと思いませんか?」
「何言ってるんだ?もっと簡潔に話しやがれ。」
「脳は数時間で腐ります。なので、死から長くなるにつれて、蘇生はどんな大魔法使いでも不可能。つまりこの大会おかしいのです。というか、大会優勝者が、死者を選び、死者が蘇生されるまでの時間はその時々によって違ってますし。」
「だからなんなんだ?」
「優勝者が選んだ死者は、あくまでも器にすぎず、本体は別の人から取り寄せてるということになりませんか?」
「いや、だってそれ、体も腐敗するだろ。」
「実は最近の生物魔法は、脳以外なら骨から99%同じ状態に戻すことができます。」
「陰謀論か。ってか、そんな大事なことなんで最初に言わなかったんだよ!」
「あくまで私の考えだからです。こんなの外では言えません。」
「じゃあ。今あいつはどこで何してんだ、、、」
―原子という名の魔法 中世編 本編 2話 完―




