『第9話:生徒会長の静かなる狂気と、地獄のカンニング会議』
阿修羅高校の体育館。
前回の校長による「火力が足りん」の暴言集会から数日後、再び全校生徒が一堂に会していた。
統「はあ……今度は何の全校集会だ? また校長がプラズマで草刈りしろとか言い出すのか?」
俺葉「案ずるな統。今日の登壇者は校長ではない。我が校の頂点に君臨する『生徒会』のターンだ」
教壇に静かに登ってきたのは、3年生の生徒会長――神楽坂 零先輩だった。
眼鏡をかけ、隙のない制服の着こなし、透き通るような肌。一見すると全国模試1位の超優秀な紳士に見える。
しかし、彼はマイクの前に立つと、静かで冷徹な声を低音で体育館に響かせた。
会長「……全校生徒、静粛に」
周囲のざわめきが一瞬で消え去る。
会長「新学期が始まり、我が阿修羅高校でも火炎放射器によるボヤ騒ぎや、第3食堂でのババアとの食券抗争など、軽微なバグが発生している」
統「(ボソッ)バグ扱いかよ! けっこうな大事件だぞ!」
会長はスッと眼鏡のブリッジを指で押し上げ、氷のように冷たい笑顔を浮かべた。
会長「これから1年間、この学校は僕が仕切る。僕の目指す理想の学校像はシンプルだ。……『全員が僕の管理下で規則正しく飼育される箱庭』だ」
統「(ボソッ)思想がサイコパスすぎるだろ!!」
会長「校則を破った者は、生徒会室の地下にある『反省の間』で、僕手作りの『絶対崩れないパズル(ジグソーパズル10万ピース・白無地)』を完成させるまで出さない。……健やかな高校生活を送りたくば、僕の視界を汚さないことだ。よろしく」
拍手すら起きない。全校生徒がその静かなる圧に息をのんでいた。
そして、代わってマイクの前に立ったのは、すでに胃に穴が開きかけている担任の先生だった。
担任「えー……生徒会長からの温かい(?)挨拶の途中だが、教務から重大なお知らせがある。来週から、『1学期・中間定期テスト』を開始する。なお、全科目赤点(30点未満)を取った生徒は、夏休みの期間中、校長と山ごもり強化合宿となる」
生徒一同「「「……え?」」」
統「山ごもりは嫌だぁぁぁぁーーーーっ!!!!」
◇
放課後の2年B組。
「校長と山ごもり(地獄)」というワードに怯えた野郎たちが、俺の机の周りに集まっていた。
統「どうすんだよお前ら! 正直に手挙げろ、先月の小テストで10点以下だった奴!」
俺葉・早漏・筋張・面胴「「「「……(一斉に挙手)」」」」
統「全員じゃねえか!! お前らこのままだと全員で校長と薪割りするハメになるぞ!!」
早漏「ふ……甘いな統。勉強などという非効率な作業に頼る必要はない。俺には『爆速カンニング』がある!」
統「堂々とカンニング宣言すな!」
早漏「テスト開始の合図と同時に、隣の席の答案を秒速10メートルで覗き込み、0.2秒で手元に転写する! 試験監督の瞬きの瞬間にすべてを終わらせるぜ!」
統「動脈切れるぞお前!! そもそもお前が覗き込む隣の席、面胴だぞ!?」
面胴「……あー、俺の答案覗いても、解答欄ぜんぶ『むにゃむにゃ』って書いてあるよ……」
早漏「ガーン!? 参照データがバグってる!?」
筋張「フンス!! 姑息な手など不要! 俺は胸筋のピクつき(大胸筋モールス信号)で答えを全教室に打電する!」
統「モールス信号!? 胸筋でトントン打つ気かよ!!」
筋張「左胸筋が『ト(・)』、右胸筋が『ツー(-)』だ! これで数学の解法を合唱のようにビートに乗せて送信してやる!!」
統「音ゲーじゃねえんだよ!! そもそもお前の大胸筋モールス、誰も解読できねえだろ!!」
極端尖「フッ……ならば僕の音ゲー用超高性能レシーバーで、筋張の大胸筋ビートを拾ってAI解析しよう」
俺葉「よし! 俺はそのビートに合わせて消しゴムを机に叩きつけ、打楽器としてカンニング陣形を完成させる!」
統「なんでカンニングがバンドのセッションみたいになってんだよ!! テスト中にそんなんやったら教室が演奏会になって一発アウトだわ!!」
面胴「……あー、じゃあ俺は……寝言でコーラス入れるね……(すでに入眠)」
統「誰も勉強する気がない!!!」
誰一人として「教科書を開く」という発想に至らないまま、運命の定期テスト当日へのカウントダウンが始まっていた――。
よろしければ次回も読んでいただけると幸いです。
これでテストも満点!
次回もお楽しみに!




