『第8話:転校生がやってきた』
昨日の『ゲームセンター成金』での怪しい出会いと、カラオケルームを地獄の寺院に変えたカオスな放課後から一夜。
ホームルームのチャイムが鳴り響き、我が2年B組の教室に担任の先生が入ってきた。
担任の先生はこの阿修羅高校において唯一と言ってもいい「至極まともで良識のある先生」だ。
担任「えー、全員着席。朝のホームルームを始める。……今日から我がクラスに、新しい仲間が加わることになった。みんな、温かく迎えるように」
教壇に立つ担任の先生が扉に向かって優しく呼びかける。
担任「入ってきてくれ、転校生くん」
ガラガラと扉が開き、入ってきたのは――昨日『ゲームセンター成金』で目にも留まらぬ速さで音ゲーを破壊していた、あのクマ顔の男子生徒だった。
統「(ボソッ)マジでアイツ来やがった……!」
俺葉「(ボソッ)ふっ……運命の歯車が回り始めたな」
担任の先生は爽やかな笑顔で黒板に彼の名前を丁寧に書き上げた。
担任「彼は今日からこのクラスに編入する、極端 尖くんだ。みんな、仲良く――」
尖「――静粛に」
担任「え?」
転校生・極端尖は、メガネの奥の鋭い眼光で教室全体を冷たく見下ろした。
そしてポケットからマイマイク(※なぜか持参)を取り出し、担任の先生の手から教卓を奪い取った。
尖「初めに言っておく。僕はこの学校の平均偏差値を下げるためでも、お前たちと青い春を謳歌するためにここに来たわけではない」
統「(ボソッ)一言目から癖が強すぎるだろ!!」
尖は教壇をバン!と叩き、クラス全員を指さした。
尖「僕の趣味は『完全効率化』と『パーフェクトゲーム』だ。休み時間に僕に話しかけるな。話しかけていいのは『素振り1万回を終えた者』か『音ゲーの全良動画を持参した者』だけだ! 挨拶代わりに言っておく……僕の領域に足を踏み入れる奴は、全員『判定:BAD』で撃ち落とす!!」
一瞬の静寂。
あまりの癖の強さと上から目線に、教室の空気は凍りついた。
担任の先生が引きつった笑顔でなだめに入る。
担任「あ、あはは……極端くん、少し尖りすぎかな? ほら、みんなと仲良くね……?」
尖「先生、黙ってください。あなたのその『事なかれ主義の笑顔』、僕のセロトニン分泌を阻害します」
担任「僕の笑顔にNG出された!?」
その時、教室の亡者たちが一斉に立ち上がった。
早漏「おいおい新人! 挨拶代わりに『爆速50メートル走』のタイム競うかあぁぁ!?」
筋張「フンス!! 転校初日から胸筋のバルクでマウント取れると思うなよ!!」
面胴「……あー、判定:BADとかどーでもいいから、俺の代わりにプリント配っといて……(即寝)」
統「お前らも便乗して立ち上がるな!!」
混沌とする教室の中、俺葉は静かに席を立ち、教壇の極端尖に向かって歩み寄った。
俺葉「ふっ……上等だ、極端尖。昨日の『ゲームセンター成金』での肘打ちは見事だった。だが忘れるな……この阿修羅高校では、尖った奴ほど『まあるく収まる(※警察的な意味で)』ということをな!」
尖「ふん、昨日の般若心経ラップの男か。お前のような非効率な存在が、僕の高校生活の最初のバグになりそうだな」
バチバチと火花を散らす俺葉と極端尖。
そして、その熱気に煽られたクラスの野郎どもが一斉に机を叩いて暴れ出した!
クラス一同「「「うおおおおおおおおおーーーーーーーっっっ!!!(野獣の咆哮)」」」
担任「みんな落ち着いてええええーーーっ!!!」
担任の先生の悲痛な叫び声虚しく、阿修羅高校2年B組の、さらにイカれた新しい日々が幕を開けるのだった――。
よろしければ次回も読んでいただけると幸いです。
ここにちょっと転校してみたい感はあるがやめたほうがいい。
次回もお楽しみに!




