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『第7話:放課後のゲーセンと、地獄のカラオケ合唱』

校長による「火力が足りん」という狂気の訓示から一夜明け。

何事もなかったかのように放課後のチャイムが鳴り響いた。


統「はあー……今日は平和に終わってよかったわ。毎日火炎放射器だの爆揚げババアだのと戦ってたら命がいくつあっても足りん」

俺葉「統、何を言っている。男の放課後とは、戦場から解放された戦士たちが束の間の安らぎを貪る聖域(サンクチュアリ)だ。今日はどこへ繰り出す?」

統「大げさに言うな。まあ……たまにはまっすぐ帰らずにゲーセンでも寄っていくか」


阿修羅高校から徒歩10分。

男子高校生の溜まり場である、妙にギラギラした看板のレトロゲーセン『ゲームセンター成金』。

重厚な電子音と両替機のカチャンという音が響く店内に入ると、俺たちは吸い寄せられるように音ゲーコーナーへと向かった。


統「お、新作の音ゲー入ってるやん。やってみるか」

俺葉「甘いな統。音ゲーとは画面上のノーツを叩くゲームではない。楽曲のソウルと俺の鼓動を同期させる儀式だ」

統「普通にプレイしろよ」


俺が100円玉を投入し、難易度『阿修羅(最高難易度)』を選択したその時だった。


隣の筐体から、ドカバキドカバキ!! と筐体が破壊されるレベルの爆音が鳴り響いた。


統「!? なんだ!? 筐体壊してんのか!?」


見ると、俺たちの隣で目にも留まらぬ超高速でボタンを連打している人物がいた。

制服のネクタイをゆるめ、ヘッドホンを装着したその人物は、ノーツが画面を埋め尽くす超難関曲を全良(フルコンボ)ペースで叩き潰していた。


俺葉「……なんだあの動き。指先が残像で見える。まさか、阿修羅の拳の伝承者か……!?」

統「ただの音ゲーガチ勢だろ!! ってか、あいつ着てる制服……うちの学校のやつじゃね?」


その人物は最後の1ノーツを強烈な肘打ちでパーフェクト判定に沈めると、ヘッドホンを首にかけ、フッ……と溜め息をついて振り返った。


???「ふぅ……今日の『脳内セロトニン分泌作業』はこれで完了か」


端正な顔立ちをしながら、目元には重度の寝不足と思われるクマを刻んだ男子生徒。

彼はこちらの視線に気づくと、冷ややかな目で俺と統を見下ろした。


???「……なんだお前たち。僕のパーフェクトプレイに見とれていたのか? 邪魔だから10メートル離れてくれ」

統「初対面で失礼すぎるやろ!!」

俺葉「ふっ……見事なツンデレだな。気に入ったぞ。俺は俺葉、こっちは統だ。お前、阿修羅高校の生徒だな?」

???「……ふん。僕は明日からお前たちのクラスに編入する転校生だ。仲良くするつもりはないから名前も覚えるな」

統「自分から転校生って言っちゃったよ!! しかも明日からのフライング登校かよ!!」


謎の転校生は捨てゼリフを残し、成金の自動ドアの向こうへと消えていった。


統「なんなんだあいつ……めちゃくちゃ嫌な奴かと思ったら、わざわざ明日転校してくること教えて去っていったぞ」

俺葉「まあいい。転校生の挨拶は済んだ。次はカラオケで俺のソウルフルな歌声を披露する時間だ」

統「ゲーセンの後にカラオケハシゴすんのかい!」


◇


徒歩3分のカラオケボックス『まねき猫』。

30分コースで部屋に入り、デンモクで選曲をしていると、突如として部屋のドアが勢いよく蹴り開けられた。


バァァァン!!


早漏「はぁ……はぁ……! 俺の動脈が『まねき猫のフリードリンク』を察知して走ってきたぜ!!」

筋張「フンス!! 防音室の空気圧で大胸筋を圧迫しに来た!!」

面胴「……あー、ドリンクバーのソフトクリーム、巻くのめんどいから機械の下に直接口つけていい……?」

統「勝手に乱入してくるな!! しかも面胴、店出禁になるようなことしようとすんな!!」


体力測定で暴れていたイカれた3人組が、なぜか当然のように部屋に雪崩れ込んできた。


俺葉「よく来た、亡者たちよ。ちょうどいい、我がソウルの伴奏者を求めていたところだ」

統「おい俺葉、お前までこいつら受け入れるな!!」


俺は部屋の照明を真っ暗にし、マイクを握りしめると、重低音ボイスを叩き込んだ。


俺葉「〜〜ッ! 摩訶般若波羅蜜多心経〜〜!(ヘドバンしながら)」

統「だからなんでお経ラップなんだよ!!」


すると、乱入してきた3人組がそれぞれのスタイルで合唱に参加し始めた。


早漏「〜〜ッ! 観自〇菩薩・行深般〇波羅蜜多時〜〜!!(超高速・早口倍速ラップ)」

筋張「ぬおおお!! 照見五蘊皆空・度一切苦厄!!(大胸筋をピクピクさせながら声量MAXのデスボイス)」

面胴「……あー、舎利子……むにゃむにゃ……(マイクを握ったまま床で寝ながらコーラス)」


統「カオスすぎるだろこの部屋!! 誰一人としてまともな歌歌ってねえよ!!」


早漏の爆速お経、筋張の爆音デスお経、面胴の寝言コーラス、そして俺の般若心経ヘドバン。

4人の狂気的なハーモニーが狭いカラオケルームに木霊(こだま)する。


統「もう嫌だ!! 俺の耳が壊れる!! メロンソーダ飲んで現実逃避する!!!」


ドリンクバーのメロンソーダをヤケクソで飲み干しながら絶叫する統。


『ゲームセンター成金』での怪しい転校生との遭遇と、カラオケルームを地獄の寺院に変えた5人の放課後。

阿修羅高校の日は、どこまでもカオスに、そして騒がしく過ぎていくのだった――。

よろしければ次回も読んでいただけると幸いです。

謎の転校生編へ!

次回もお楽しみに!

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