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『第6話:草刈りの効率化を極めし男と、狂気の学年集会』

阿修羅高校の初夏。

それは、校庭の隅や校舎裏に生い茂る雑草たちとの、泥沼の戦い(地域奉仕という名の草刈り作業)が始まる季節を意味していた。


ジャージ姿の男子生徒たちが、鎌(カマ)や軍手を手に、ダルそうに雑草を引っこ抜いている。


統「あー……暑い。なんで俺たちが休日に地域の草刈りなんてしなきゃならんのだ。……おい俺葉、真面目に草むしれ。お前さっきから雑草で指ぬきグローブ作って遊んでるだけだろ」

俺葉「愚かなことを言うな統。俺の指先は今、植物との高度な精神対話を試みているのだ」

統「喋ってねえで地道に手で抜くんだよ!」


その時、俺たちの背後から、重厚な金属音と機械の駆動音が響き渡った。


「ふふふ……ハハハハハ! 貧弱! 貧弱なぁぁぁ作業効率だ!!」


振り返ると、そこにはクラスメートの除草(じょそう) 滅(めつ)が立っていた。

彼の背中には巨大な燃料タンクが背負われ、両手には武骨な金属製のノズルが握られている。


統「おい待て……なんだその装備は」

俺葉「見ろ統! 彼の背中から溢れ出る『無駄な男のロマン』を! あれは……まさか!」


除草滅は不敵に笑い、ノズルを前方の雑草群に向けた。


除草「鎌で一本ずつ引っこ抜く? 手で抜く? バカバカしい! これからの時代は『熱エネルギーによる超高速一括除草』だ!! 喰らえ!!」


ゴーッ!!!!


統「火炎放射器やないかーーーっ!!!」


一瞬でグラウンドの端から巨大な炎の柱が立ち上がり、周囲の雑草ごと黒焦げの灰へと変貌した。


俺葉「素晴らしい……! 我が家(母体)のガスコンロとは比べものにならない火力だ! これなら1秒で草刈りが終わるぞ!」

統「感心しとる場合か!! 学校の敷地内でヒャッハーな装備振り回すな!! 消防法どうなってんねん!!」


除草「ハハハ! 見たか! 効率こそが正義! 効率こそが全――」


ピーポーピーポーピーポー……!!!


統「ほら言わんこっちゃない!! 警察来たぞ!!!」


遠くから鳴り響くサイレンの音。

学校のフェンス越しに、パトカーが一斉に横付けされ、防犯タテを持った警察官たちが雪崩れ込んできた。


警察官「全員動くな!! 銃刀法および消防法違反の疑いで現行犯逮捕する!!」

除草「ぬがあぁぁぁーっ!? 効率が……俺の効率化がぁぁぁーーー!!!」


両脇を警察官に抱えられ、パトカーのリアシートへとドナドナされていく除草滅。


◇


除草滅がドナドナされ、黒焦げの雑草が虚しく残された放課後。

緊急で体育館に集められた俺たち2年生は、パイプ椅子に座らされ、重苦しい(?)空気に包まれていた。


統「はぁー……そりゃ生徒が校庭で火炎放射器ブッ放して逮捕されたんだから、緊急集会開かれるわな」

俺葉「安心しろ統。俺たちの校長は『阿修羅高校の最高権力者』だ。きっと愛と慈悲に満ちた言葉で俺たちを導いてくれるはずだ」


壇上に上がってきたのは、我が校のトップ・阿修羅(あしゅら) 剛三(ごうぞう)校長(68歳)。

スキンヘッドに深いシワ、そしてなぜかスーツの上から『金色のチャンピオンベルト』を巻いている名物校長だ。


マイクの前に立った校長は、鋭い眼光で俺たちを見回した。


校長「……野郎ども。本日、我が校の生徒が火炎放射器を使用し、警察に連行されるという事案が発生した」

統「(ボソッ)やっぱりその話だよな……」


校長「校長として、一言言いたい」

俺葉「(ボソッ)来るぞ、魂の説教が……」


校長「――火力が足りん!!!!」


体育館全体「「「!??!??!?」」」


統「説教の方向性そっちーーーっ!???」


校長は壇上のマイクを握りつぶさんばかりの力で叫んだ。


校長「なーにが『超高速一括除草』だ!! 雑草の根っこまで焼き尽くせぬような生ぬるい火力で国家権力に捕まるとは何事か!! 炎を扱うなら、グラウンド全域をマグマの海に変えるほどの気概で見せみよ!!」

統「校長がテロリストの思考回路してんだよ!! 警察に捕まった理由そこじゃねえから!!」


俺葉「ふっ……流石は校長だ。効率ではなく『火力』という本質を見抜いている」

統「感心すな!! 校長が一番ヤバい奴だったパターンだよこれ!!」


校長「よいか野郎ども! 阿修羅高校の校訓は『力こそパワー』! 警察に連行された除草にも後で言い渡しておく! 『出所したら次はプラズマで草を刈れ』とな!!」

統「再犯を促すなーーーっ!!!」


校長「以上! 今日の学年集会を終わる! 解散!!」


言うだけ言って満足した校長は、風のように体育館を去っていった。

あとに残されたのは、頭を抱える教頭先生と、呆然とする生徒たちだけだった。


俺葉「統……俺たちの高校生活は、思っていた以上に熱いものになりそうだな」

統「熱いのは校長の頭の中だけだよ!! 早く帰るぞ!!」


阿修羅高校の日は、校長のイカれた訓示とともに静かに(?)暮れていくのだった――。

よろしければ次回も読んでいただけると幸いです。

もう除草剤撒け!!!!

次回もお楽しみに!

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