『第10話:中間定期テスト、全面戦争(カンニング狂想曲)』
阿修羅高校の2年B組。
窓の外の青空が妙に眩しいその日、教室には異様なまでの緊張感と、殺気立った熱気が渦巻いていた。
――中間定期テスト、当日。
ここで30点未満を取れば、夏休みに校長と山ごもり合宿という名の「地獄の薪割り修行」が待っている。
赤点を回避するため、クラスの野郎どもはそれぞれの『禁断の手段』に打って出ていた。
統「おい、なんだこの教室……! いつも以上に空気がヤバいぞ!!」
俺が青ざめながら教室を見渡すと、そこにはすでに狂気に満ちた光景が広がっていた。
まず、窓際で優雅に紅茶を啜っているのは、クラスの御曹司である財前 豊だった。
彼は自分の席の周りに、他クラスの優秀な生徒を数人侍らせている。
財前「ふっ……汗水垂らして勉強するなど、下々のやることだ。おい、この数学の記述式の解答、完璧に仕上げたら後でお小遣いとして1万円追加してやる」
優秀な生徒A「はっ! 財前様、この証明問題の解法は私にお任せを!」
統「クラスメートをお金で完全に買収してやがる!! 資本主義の暴力だろそれ!!」
さらに、教室の真ん中では、超絶ずる賢い男・賢木 狡が恐ろしい準備を進めていた。
統「おい賢木……お前、そのワイシャツどうなってんだ?」
賢木「……見るな。これには企業の企業秘密レベルの技術が詰まっている」
賢木のワイシャツの袖をめくると、そこには極小のシャープペンでびっしりと数学の公式が書き込まれていた。それだけではない。靴下の裏、手のひらのシワの間、さらには自分の腕の皮膚にまで、汗をかいても消えない特殊インクで解答が転写されている。
統「肌の余白という余白に文字書くな!! もはや人間の彫刻みたいになってるぞ!!」
賢木「フッ、肌は最大のカンニングペーパーだからな。試験監督が近づいたらこの腕の皮膚ごと剥ぎ取る覚悟で臨むさ」
統「怖いわ!! 犯罪スレスレの狂気を見せるな!!」
そこへ、別の席から香ばしい匂いが漂ってきた。
早漏「へへっ……見てくれこれ!」
統「おい早漏、お前が持ってるのって……食パンか?」
早漏「ただの食パンじゃねえ! テスト範囲の教科書を丸ごとブレンダーですり潰し、脳にダイレクトに定着させる禁断のアイテム『暗記パン(自作)』だ!!」
統「食ったらただの朝食だろ!! 何が脳に定着だ!」
早漏「いざ、尋者に喰らう――!! モグモグ……うまっ! で、方程式の解なんだっけ!?」
統「もう食った瞬間に消化されてんじゃねえか!!」
その隣では、筋張が耳に超小型トランシーバーを装着し、大胸筋を激しくピクピクさせていた。
筋張「フンス!! こちら大胸筋1号、電波良好! 受信感度マックスだ!!」
統「トランシーバー持ってる時点でカンニング以前に電波法違反なんだよ!!」
極端尖「フッ、愚か者どもが。人間の肉体や原始的なパンに頼るからバグるのだ。僕のワイシャツの裏地にはAIがリアルタイムで文字を投影するシステムが――」
統「お前もワイシャツ使ってんじゃねえか!!」
チャイムが鳴り響き、試験監督の担任の先生が冷徹な目で教室に入ってきた。
担任「……そこまで。私語を厳禁とする。これより1学期・中間テスト、現代文の試験を開始する」
一瞬の静寂。
配られた問題用紙を見た瞬間、教室のあちこちで狂気のセッションが始まった。
筋張「(胸筋でトントンとモールス信号を打つ)――・ーー(ト、ト、ツー)」
早漏「(そのリズムに合わせて)うおおお現代文の答えはこれだぁぁーー!!」
賢木「(腕の皮膚を凝視しながら)えーっと、この漢字のハネは……!」
俺葉「(机の端を消しゴムでリズミカルに叩きながら)シャカシャカシャカ――!!」
統「おい、テスト開始早々、教室全体が謎のビートとモールス信号のオーケストラ会場になってんじゃねえか!!」
教室中に響き渡る大胸筋モールス音、消しゴムの打楽器ビート、そしてトランシーバーの雑音。
あまりのカオスさに全校の限界を迎えた担任の先生が、ブチギレて教卓を粉々に叩き割った。
担任「うるせえお前ら全員職員室に来い!!! テスト中止じゃボケェッ!!!」
統「先生が一番キレちゃいけないところでブチギレたぁぁぁーーーっ!!!」
阿修羅高校の中間テストは、開始3秒で最悪の崩壊を迎えるのだった――。
よろしければ次回も読んでいただけると幸いです。
おい。この教室、カオスすぎるぞ!!!!
次回もお楽しみに!




