『第11話:長野の山奥で出会った本物のバカと、おかま校長のチェーンソー追走劇』
中間テスト開始3秒でのカンニング狂想曲による「全員全科目赤点(失格)」という前代未聞の偉業を達成した俺たちは、大型バスに乗せられていた。
統「……なんで俺までここにいるんだよ。俺はカンニングセッションに参加してなかっただろ……!」
俺葉「諦めろ統。あの場に居合わせたこと自体が『共犯』という名の連帯責任だ」
バスが山道をどんどん登っていく。辿り着いたのは、長野県の標高1500メートルに位置する極寒の山奥。
バスのドアが開くと、そこには薪の山と、巨大な斧を肩に担いだ阿修羅校長が仁王立ちしていた。
校長「ようこそ野郎ども!! 脳みその足りん愚か者たちの聖地、長野・薪割り道場へ!!」
統「寒い!! 季節感無視して山奥来ちゃったよ!!」
校長「フハハハ! 赤点を取った軟弱な精神は、1万本の薪を割ることでしか研ぎ澄まされん! 斧を振り下ろし続けろ!!」
絶望する俺たちの前に、ボロボロの作業着を着た一人の男子生徒がフラフラと歩み寄ってきた。
???「あ……新しく入ってきた『赤点仲間』ッスか……?」
統「誰だお前!? うちの学校の奴か!?」
校長「フッ……彼は3年生の大馬 鹿太郎だ。テストの解答欄に『名前』ではなく『自分の好きな食べ物』とだけ書いて全科目0点を叩き出し、一足先にここに収監されている」
鹿太郎「ヘヘッ……ハンバーグって書けば、先生が気を利かせて30点くらいくれると思ったんスよね……」
統「マジで救いようのない本物のバババカがいたーーーっ!! カンニング計画とか以前の問題だろ!!」
カオスな薪割り修行で全身バキバキになった俺たちは、夜、電撃も通っていないボロボロの山小屋へと押し込められた。
山奥の夜は静まり返り、窓の外からは風が木々を揺らす「ヒュゥゥゥ……」という不気味な音が聞こえてくる。
統「はあ……疲れた。電気もないし、早く寝ようぜ」
その時だった。部屋の隅でブランケットを頭からかぶり、ガタガタと激しく震えている人物がいた。校長だ。
校長「ひっ……! い、今の音聞いたかしら……!? 誰かが窓をトントンって突いたのよ……嫌だわ恐ろし……!!」
統「(……え!? 喋り方おかまになってね!?)」
俺葉「(ボソッ)統、見ろ。あの男、昼間の威厳が嘘のように消え去り、乙女の顔になっている」
全員「(こいつ、幽霊と暗闇がめちゃくちゃ怖いんだ……!!)」
悪ガキたちの目に、一斉に悪い光が宿った。
誰も声を上げず、目配せだけで『校長時間』が静かに開始された。
賢木「(ニヤリと笑い、スマホの画面を下から顔に当てて不気味に発光する)」
校長「ひやぁぁぁぁッ!? 賢木の顔が青白い怨霊みたいになってるわぁぁぁッ!!」
筋張「(暗闇の中で大胸筋だけを無音でピク……ピク……と動かす)」
校長「いやぁぁぁッ!! 暗闇で謎の肉塊が蠢いてるわぁぁッ!! やめてぇッ!!」
早漏「(廊下を爆速で通り抜けながら、風切り音だけで『……う~〜~む~〜~……』と呻く)」
校長「出たわぁぁぁッ!! 高速で移動する浮遊霊よおぉぉッ!! お塩! お塩持ってきてぇぇッ!!」
統「(爆笑を必死で殺しながら腹を抱える)」
俺葉「(静かに口元を押さえ、肩をガタガタ震わせる)」
調子に乗った鹿太郎が、シーツを頭からかぶって校長の耳元で低く囁いた。
鹿太郎「……ハンバーグ……食わせてくれぇぇぇ……」
校長「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!」
ついに校長の脳内の何かが、音を立てて弾け飛んだ。
校長「あハハハハハハハッ!! 許さないわ……アタシを脅かす悪い子たちは、全員刻んで薪にしてやるのよぉぉぉぉッッ!!!」
ガガガガガガッ……バリバリバリバリッ!!!
暗闇の山小屋に、突如として凶悪なエンジン音が轟いた。
見ると、完全におかしくなった校長が、巨大なチェーンソーを振り回しながら特攻してきた!
校長「逃げても無駄よぉぉぉッ!! 10万馬力の愛で刻んであげるわぁぁぁッ!!」
統「校長が完全にぶっ壊れたぁぁぁぁーーーーっ!!!???」
俺葉「全軍撤退!! これはリアル殺人鬼だぁぁぁッ!!」
全員「「「うおおおっ、逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーっっっ!!!(脱兎のごとくダッシュ)」」」
漆黒の長野の山道を、チェーンソーを振り回すおかま校長と、泣き叫びながら全力疾走する男子高校生たちの影が、どこまでも駆け抜けていくのだった――!
よろしければ次回も読んでいただけると幸いです。
なんでも度が過ぎると痛い目に合う。持論、ではないです。
次回もお楽しみに!




