『第14話:ナンパ撃退の代償は、お嬢様学校への招待状』
ニ〇リでの199円の激闘から数日後の放課後。
俺と統は、夕暮れ時の駅前商店街を歩いていた。
統「はぁ……ニ〇リの店員お姉さんの怨念、まだ背中に残ってる気がするわ……」
俺葉「気に病むな統。あのフィードバックにより、彼女の接客スキルはネクストステージへ上がったはずだ」
統「199円の奴が語るな!」
そんなくだらない押し問答をしていると、路地裏から困惑した女の子の声と、チャラついた男たちの声が聞こえてきた。
男A「ねぇねぇお姉さん、これからお茶しない? 俺たち超優しいよ?」
女の子「あの……急いでいますので、遠慮させてください……」
見ると、制服の上から高級そうなカーディガンを羽織った同年代くらいの綺麗な女の子が、2人のナンパ男に絡まれていた。
統「おい俺葉……あれ、ナンパされて困ってねえか?」
俺葉「ふむ……『助けてください』という無言のシグナル(ヘルプ)を感じるな。統、行くぞ」
統「おう! 警察呼ぶか!?」
俺葉は一切の躊躇なく、ナンパ男たちの間にスッと割って入った。
男B「あ? なんだお前? 邪魔すんじゃねえよ」
俺葉「……失礼。そこの男二人」
男A「ああん!?」
俺葉はポケットに両手を突っ込んだまま、夕日を背にして低く冷徹な声を響かせた。
俺葉「……俺の『母体(201号室)』に帰って、299円の繊細系・麺形生命体を食うタイムリミットが迫っている。そこをどけ」
男A・B「「はぁぁぁぁぁ!!???」」
あまりにも意味不明すぎる言葉と、眼球の奥が完全に死んでいる俺葉の狂気に気圧されたナンパ男たちは、「な、なんだこいつ……薬でもやってんのか……!?」と捨て台詞を残して逃げ出していった。
女の子「あ……あの! 助けていただき、本当にありがとうございました……! お名前をお伺いしても――」
深々と頭を下げる女の子の言葉を遮り、俺葉は振り返りもせずに片手をサッと挙げた。
俺葉「感謝なら不要だ。……俺はただ、カップラーメンを買うためにここを通っただけに過ぎない」
統「かっこよく去ろうとしてるけど言ってること全部バカだからな!!!」
俺たちはそのままコンビニへ吸い込まれていった。
◇
――それから3日後。阿修羅高校・2年B組。
放課後、俺と統がいつものようにダラダラしていると、教室のドアが静かに開いた。
現れたのは、黒の高級スーツを着た厳めしい体格の黒服(SP)たちだった。
統「ひっ……!? 今度は何の反社が乗り込んできたんだよ!!」
黒服「失礼いたします。俺葉様、ならびに統様とお見受けいたします。……当主様がお待ちです。お車へどうぞ」
俺葉「ふむ……ついに俺の『繊細系・麺形生命体』の愛好家クラブから招待が来たか」
統「来るわけねぇだろ!! 誘拐か!? 誘拐なのか!!?」
黒服の運転する高級リムジンに乗せられ、辿り着いたのは――神奈川県内でも屈指の超金持ちしか通えない、伝統と格調高き私立お嬢様学校『聖アリス女学院』の巨大な正門だった。
応接室に通されると、そこに座っていたのは、3日前に路地裏で助けたあの女の子だった。
彼女は煌びやかなお嬢様制服に身を包み、品良く微笑んでいた。
女の子「お越しいただき、ありがとうございます。あの時はお礼も言えず、申し訳ありませんでした……私、聖アリス女学院の生徒会長を務めております、西園寺 麗香と申します」
統「ま、マジで超絶お嬢様だったーーーっ!!???」
麗香「あの日、名前も告げずに『カップラーメンを買う』とだけ言い残して去っていったお姿……とても痺れましたわ。本日はその時のお礼として、当校の特製ティーセットをご用意いたしました」
豪華な紅茶と高級スイーツがテーブルに並べられる。
統「う、うわぁぁ……めちゃくちゃ本格的なティーセットだ……! ありがとうごぜぇます……!」
麗香「ふふ、どうぞ召し上がってください。……ところで俺葉様。本日はお礼ともうひとつ、お伝えしたいことがございまして」
俺葉「ほう……何かな、麗香お嬢様」
麗香は頬をほんのり赤らめ、まっすぐな瞳で俺葉を見つめた。
麗香「私……あの日から、俺葉様のことが忘れられませんの。……どうか私と、結婚前提で交際していただけないでしょうか……!?」
統「いきなりプロポーズされたぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっっっ!!???」
俺葉「断る」
統「即答すなーーーーーーーっっっ!!!!」
超絶お嬢様からの突然の愛の告白に対し、俺葉の秒速の拒絶が応接室に冷ややかに響き渡るのだった――!
よろしければ次回も読んでいただけると幸いです。
まさかのラブコメ!!!!
次回もお楽しみに!




