第9話 スクールバス襲撃事件
爆発で足元が少し揺れ、体勢を立て直す間もなく、また連続して爆発音が響く。最初よりは少し弱いが、それでも途切れることなく轟音を響かせ続けている。
テロ?それとも誰かが学校を襲ったのか?
爆発音で少し耳鳴りがする。学園の外から何筋もの濃煙が立ち上って空へ舞い、次第に学園内へ広がり始めるのを眺めていた。
「蘭さん!」
叫び声で思考が遮られた。千夏だ。彼女はこちらを見つめ、その目は真剣でありながら、気遣いを宿している。
「蘭さん、大丈夫?」
「あ……大丈夫。」
「たぶん襲撃だよ。蘭さんは先に安全な場所を見つけて、少し隠れていて。」
そう言い終えると、千夏は寮棟へ向かおうと体の向きを変えた。
僕に隠れていろって。外は明らかに襲撃事件なのに、千夏はこの様子だと助けるつもりらしく、僕だけ安全な場所へ行かせようとしている。僕は千夏を見て、唇を噛む。そうだ、僕が役に立てないなら、安全な場所へ行くのが一番いいのかもしれない。でも、僕はそんなことはしたくない。僕が武高に入ったのは逃げるためじゃない。僕が完全に役に立たないなんて思っていないからだ。千夏は射撃の授業を受けている生徒で、射撃の成績が僕よりいいのは間違いない。でも、もし誰かに近づかれたらどうする?
そう思って、僕は深く息を吸い、一歩踏み出してそっと千夏の上着の裾をつかんだ。
「あ、あの、千夏さん、僕も一緒に行きます。」
千夏は僕がそんなことを言うなんて全く予想していなかったようだ。僕だって、自分がまさかこんなことをするとは思わなかった。
千夏は驚いた表情を浮かべ、それから僕を見て、瞳を揺らし、すぐにうなずいた。
「じゃあ一緒に行動しよう。安全に気をつけて、蘭さん。」
千夏は寮の階段を上がりながら言った:
「まず武器を取りに行く。私の武器は寮に置いてある。蘭さんも武器を寮に置いているなら、この時間に一緒に取りに行ってもいい。後で玄関に集合ね。」
僕はうなずくと、すぐに寮へ走り、机の上から桜切を取り上げて左腰に下げ、それからVP9を補助武器として右の腰側に装着した。
準備ができると、僕は休む間もなく寮の階段を駆け下りた。階段を下りている時でさえ、かすかに爆発音が聞こえた気がする。下に着くと、千夏はすでにそこで僕を待っていた。千夏は端末を持っていて、左右の腰には二丁の銃を下げている。ホルスターに隠されているが、銃身はパールホワイトを下地にした塗装らしいとわかる。そして何より目を引くのは、やはり千夏の腰にあるあの太刀だ。鞘は赤紅色なんだ。ただ、抜いたら何色なのかはわからないけど。
千夏は僕が寮を出るのを見ると、端末を二度ほどいじった。僕が何のことか分からないうちに、ポケットの中で静かだった端末が震えた。取り出して見てみると、内容は簡単だった。『美月千夏があなたに臨時小隊への招待を送信し、任務を執行しようとしています。同意しますか。』僕は「同意」を押した。すると、小隊画面で僕たち二人の地図上の位置が見えた。どうやら任務中はGPSの位置情報があるみたいだ。
「行こう、蘭さん。」
千夏は真剣な目で校門のほうを見ている。黒煙はどんどん濃くなっていた。
僕は千夏の後ろに続いて、一緒に校門へ向かって走った。校門に近づくほど、黒煙はますます濃くなる。いったいどれだけの爆薬が爆発すればこうなるのか、見当もつかない。それだけじゃない。校門に近づくほど生徒は少なくなり、みんな僕と千夏とは反対の方向へ走っていく。
「蘭さん、安全には絶対に、絶対に気をつけて。」
千夏は僕の前を走りながら、もう一度注意を促した。
僕は千夏の後ろに続き、その背中を見ながら小さくうなずいた。
いつの間にか、校門の前に着いていた。そのとき、校門付近の濃煙で、目が痛くて悲鳴を上げそうだった。校門は固く閉ざされていた。
アーサーは今、校門の前に立っている。険しい表情で、壁のような鉄の扉をじっと睨みつけている。
「アーサー先生。」
千夏が自分から口を開き、アーサーを見た。
「どういう状況なんですか?詳しく話してもらえますか?」
アーサーは千夏のほうへ顔を向け、少し安堵したようだった。だがすぐに、千夏の後ろに立っている僕を見て、少し驚いたような表情を浮かべた。それでも額を揉みながら、困ったように言った:
「千夏、灰燼聖座のクソどもがスクールバスを襲撃した。バスには四十人乗っている。最初の爆弾はスクールバスに直撃しなかったが、バスは突然、訳もなく逆方向へ猛スピードで走り出した。車両の運転手から最後に届いた情報によれば、バスには爆弾が仕掛けられているらしい。灰燼聖座のクソどもが、止まったら爆発すると言ってきた。だから今は走り続けるしかない。今のところ死傷者は出ていないが、それも時間の問題だ。」
僕はアーサー先生を見て、尋ねた:
「それで、今はどうなってるんですか?追っ手は送ってないんですか?」
「最初の追っ手は出した。だが灰燼聖座のクソどもは何組にも分かれて退却していて、遠隔で爆弾を起爆できる可能性も排除できない。しかも、最初の追っ手に高速車両がなかったのが大きくて、スクールバスに追いつけなかった。だから、散らばった灰燼聖座の連中を先に追うしかなかったんだ。」
「車両……」
僕はその二文字をつぶやく。アーサー先生の話が正しいなら、スクールバスは超高速で走っているんだから、この時間でかなり遠くまで行ってしまっている。脚だけじゃ絶対に追いつけない。
「後方支援運転科の生徒にはもう連絡した。すぐに誰か来るはずだ。」
アーサーは鉄の扉を見て、触れようとした。その時、突然また激しい爆発が響き、今度は距離が近くて、耳がキーンとなった。
僕たちが反応する間もなく、さらに爆発音が響いた。この連中、爆薬はタダかよ。
そう思っていると、エンジンの轟音が響き、車両が唸りを上げて僕たちの前に来た。後方支援運転科の生徒が改造済みのスポーツカーを校門前に停め、車から降りた茶色い短髪の男子生徒がアーサー先生を見て言った:
「アーサー先生、車を運転してきました。」
「いいところに来た。じゃあ田中、千夏さんと蘭さんを連れてスクールバスを追ってくれ。」
そう言うと、アーサーは教員証をスキャナーに置き、鉄の扉がゆっくりと開き始めた。校門の外の硝煙はかなり薄れていた。鉄の扉が開くにつれて、校内の煙も少し速く薄れていった。
しかしその時、僕と千夏は同時に気づいた。白い霧の中に人影が立っている。背が高く、手足が長く見える。白い霧越しで顔ははっきり見えないが、途切れ途切れの笑い声は聞こえる。その声は、紙やすりで擦られたような悲痛な叫び声のようだった。
「アーサー先生……」
千夏の声は大きくなかったが、それほど騒がしくないこの場ではよく通った。その口調には、アーサーの頼りなさに対する少しの呆れがにじんでいた。
アーサーがさっき言ったとおりなら、入口には誰もいないはずだ。少なくとも最初の追手たちがこの人物を見つけられなかったはずがない。ずっとここに隠れていたのか、それともここに降りてきたのか?
刀の柄を握りしめ、アーサー先生を見た。車に乗るのか、それとも目の前の敵を相手にするのか、アーサー先生の指示を待っている。
アーサーも少し驚いたように白い霧の中のその人影を見つめ、思わず眉をひそめた。明らかに事態は予想を超えて展開していた。アーサーはその人影をじっと睨み、両拳を握りしめた。
千夏はすでに右手で刀を抜き、左手で拳銃を握っていた。赤紅色の刃が鞘を抜け、空中に弧を描いた。
「蘭さん、田中さんと一緒にスクールバスを追って。こいつは、私とアーサー先生が相手するから。」
アーサーは答えなかったが、すでに外へ出られるよう援護するため、こちらへ動き始めていた。こちらも遠慮せずそのまま車に乗り込んだ。田中は、こちらが迷いなく車に乗り込むのを見ると、魚のようにするりと車内へ滑り込み、すぐにエンジンをかけた。次の瞬間、スポーツカーは硝煙の中へ猛然と突っ込み、道路へと疾走した。
だが、白い霧の中の人影が止めに入るより早く、アーサーと千夏はその人物がこちらへ突っ込んでくる進路に立ちはだかっていた。
田中が勢いよくハンドルを切ると、スポーツカーはあっという間に校門の範囲から遠ざかり、濃い煙と人影を後方へ思いきり置き去りにした。
「田中さん、スクールバスがどこへ向かってるのか分かる?」
「スクールバスには発信器が付いてるから、位置追跡システムをオンにすれば位置は分かる。蘭さん、そうだよね?車に乗ってる間は少し心を落ち着けて。すぐに連れて行くから。」
田中は言い終わった瞬間、再びアクセルを思い切り踏み込んだ。車速がもう一段上がり、エンジンが唸りを上げ、周囲の景色が凄まじい速さで後方へ流れていく。
田中が事故など恐れないかのような速度でぶっ飛ばしていると、すぐにスクールバスの赤い姿が見えてきた。そのとき、スクールバスも高速で走り飛ばしていた。
「スクールバスが見えたよ、蘭さん。しっかり掴まって。もう一度加速しないと。」
田中は言い終えると、加速してスクールバスに近づき始めた。そして二台の距離がまだ三十メートルほどあったとき、スクールバスの窓が割れた。だが爆発ではなく、人為的に割られたのだ。刃がスクールバスの中から突き出し、すぐに引っ込んだ。
スクールバスの中からは、絶えず衝撃音と武器のぶつかる音まで聞こえてくる。どうやら中で誰かが戦っているらしい。
考える暇もなく、スポーツカーはすでにスクールバスへ近づいていた。そのときになってようやく、スクールバスの中で二つの人影が戦っているのがぼんやりと見えた。
少しの迷いもなく、サンルーフを開けて桜切を抜き、そのまま桜切を思い切り投げつけた。それはスクールバスに突き刺さった。田中はその様子を見て一瞬ぽかんとした。なぜそんなことをしたのか、予想外だったようだ。
風が顔に吹きつけ、刺すように痛い。まるで車から吹き飛ばそうとしているかのようだ。
その後、田中が訝しむ目で見つめる中、僕は手のひらを桜切に向けた。磁力が僕の体をゆっくりと吸い上げ、両足は少しずつスポーツカーから離れて桜切のある方へ飛んでいった。数回の呼吸のうちに、僕は桜切の柄を握り、身を翻してスクールバスの屋根へ跳び乗った。そして桜切を抜き、スクールバスの屋根を切り始めた。桜切の鋭い刃は、豆腐を切るようにスクールバスの屋根をとても楽々と切り裂いていく。スクールバスの中ではまだ戦闘が続いており、車内から衝撃音が聞こえてきた。
田中はその光景を見てほっと息をつき、僕に向かって叫んだ:
「蘭さん、頑張れ!その刀でそのクソ野郎どもをまとめてぶっ飛ばせ!」
僕は田中を見て、彼の言葉が聞こえたと示すように、彼に向かってそっと笑った。この時、僕はすでに自分が入れる正方形の入口を切り開いていた。
何の迷いもなく、僕はスクールバスの中へ跳び込んだ。バスの中では三十数名の生徒が席についたまま、微動だにしていない。変だ、なぜこうなっている?まさか、彼らが動くことも立ち上がることもできないよう強制している何かがあるのだろうか?
そしてスクールバスの中には、僕以外に二人が立っていた。一人は僕がこれ以上なくよく知る人物、神代紗夜。彼女の手には、冷たい光を放つ太刀が握られている。
神代紗夜の向かいに立っているのは、一人の大人の女性だった。女性の濃い灰色の長い髪は、背中に垂れるほど長い三つ編みにされ、その毛先は暗銀色の金属リングで束ねられている。リングには、炎に囲まれた逆さまの王冠が刻まれていた。そしてその女性は、両手に二本の短剣を握り、神代紗夜と僕を興味深そうに見つめていた。




