第8話 壊された日常
〇
ショッピングエリアの衣料品店で、千夏が試着室のカーテンを開けて出てきた。
上はオフホワイトの七分袖の綿麻シャツで、少しゆったりしていて体に張り付かず、思わず彼女のそばにいるのが心地いいと感じさせられる。下はグレーパープルの膝を覆うプリーツロングスカートで、足元は茶色の低ヒールのメリージェーンに白いショートソックス。
心地いい。千夏を一目見た瞬間、頭に自然と浮かんだ結論だった。近づいてそばにいたいと思わせる感じ。
「どうかな?」
千夏は振り返ってその場で一回転し、スカートの裾をふわりと揺らしながら、笑って僕を見て尋ねた:
「そんなに変じゃないよね?」
「いやいや、きれいだよ。すごくきれいだし、すごく似合ってる。」
僕は大きくうなずいた。この一着は千夏が着ると、あまりにも似合いすぎていた。普通の服なのに、彼女が着るとどこか特別な雰囲気になる。
「本当に似合ってる?蘭さん、お世辞で私を騙してないよね?」
「絶対に嘘じゃない。本当に千夏さんに似合ってるよ。」
千夏は試着室の鏡のところへ行かず、僕の隣に座って、にこにこしながら言った:
「蘭さんが私に似合ってるって言うなら、本当に似合ってるってことだね。」
そのとき、女性店員もすかさず近づいてきて、笑いながら僕たち二人を見た。
「お客様、この一着は本当にお似合いです。むしろ、このお服はお客様をお待ちしていたかのようですよ。ほら、お友達も絶賛してますよ。」
千夏はうなずくと、学生証を取り出して女性店員に差し出した。
女性店員はさらに嬉しそうに笑い、学生証を持ったまま千夏の会計を済ませてくれた。
値段をまったく聞かないのか。千夏さんもまさか、隠れ大富豪なのだろうか。
そんなことを考えていると、女性店員が買い物袋を提げてやって来て、それを千夏に差し出しながら言った:
「千夏様、試着室に置かれていたお召し物は袋に入れておきました。」
「ありがとう。」
千夏は笑いながら買い物袋を受け取った。
僕は千夏の後ろについて、その袋を代わりに持とうと手を伸ばした。
千夏は僕の動きに気づくと、ただ軽く首を振って笑った:
「蘭さんって、本当に……優しいんだね。学校だと、男子が進んで女子の荷物を持ってあげるなんてめったにないよ。」
「こういうのって、珍しいの?」
「うん。でも気にしないでね。ただの服だし、そんなに重くないから、自分で持てるよ。」
そう答えられては、千夏の隣を歩きながら、一歩ずつ寮エリアへ向かうしかなかった。
「千夏さん、前に、もう小隊を組んで任務に行ってる人もいるって言ってたけど、任務って何なの?」
「蘭さんはまだ知らないの?蘭さんはまだ来て数日しか経ってないし、知らないのも当然だよ。学校は定期的に任務を出して、学生にやらせるの。任務をクリアすると武装ポイントがもらえるんだ。」
武装ポイントがもらえるって、それってお金をもらうのとほぼ同じじゃないか。何しろ学院生活では武装ポイントが欠かせないんだから。
「任務ってどこで受けるの?」
「だいたい二種類あるよ。学院からの指名で、その人に特別向いてる任務だから指名されるんだけど、難しすぎると思ったら断る権利もあるの。もう一つは端末の任務ロビーで受けるやつ。学校がたくさん任務を出して学生にやらせるんだけど、任務にもランクがあって、ランクが足りないと権限不足って表示されるの。任務の難易度によって危険度もかなり違うからね。」
端末か。ずっと電子身分証代わりにしか使ってなかったし、ちゃんと見たこともなかったな。時間があるときに詳しく調べてみないと。
「千夏さん、説明してくれてありがとう。」
千夏は笑いながら言った:
「お礼なんていいよ。ただの常識だし、蘭さんは来たばかりで知らなかっただけだよ。」
寮エリアがだんだん近づいてきたね。
空に流れていく奇妙な形の雲を見ていると、学院生活は来る前に思っていたような血生臭いものではなく、むしろ穏やかだなあ、なんて思えてくる。
『ドーン!』
轟音が想像を打ち砕いた。その後、足元まで震えているように感じたし、耳も爆発音で少し痛む。爆薬だ、しかも威力も相当なものだ。ここまで聞こえるなんて。
千夏と同時に爆発音のした方向を見た。校門では、黒い濃煙が雲の塊のように空へ舞い上がっている。警報音が棘のように耳に突き刺さる。ほんの一瞬で、学院中至る所で警報が鳴り響いた。




