第7話 日常
武器部を出て、ショッピングエリアへ向かおうとしていた。学校は校内に日常の買い物用のショッピングエリアを設けていて、日常の需要を満たすには十分だ。学校がとても広いから、買い物のたびに校外へ出なければならないとなると、耐え難いほど面倒になるだろう。
何を買おうか考えながら歩いていると、そのとき、目の端にどこかで見たことのある淡い金色が映った。続いて、完璧な顔立ちと甘い笑顔。美月千夏だった。どうやら彼女もショッピングエリアへ行くつもりのようだ。
そのとき、美月千夏はこちらに気づいたようで、こちらを見て手を振り、近づいてきた。
「蘭さん、久しぶり。同じ寮の棟なのに、会うのは数回だけだね。」
久しぶりってほど? まだ数日しか経ってないだろ。
「あ、千夏さん。あの、千夏さんもショッピングエリアに行くつもり?」
「うん、新しい服を何着か買おうか迷ってるところなの。」
千夏は指を顎に当てて考え、それからパンと手を叩いてこちらを見た。
「蘭さんもショッピングエリアに行くの?よければ、二人で一緒に行かない?ちょうど服のコーデを見てほしいの。」
うわ、彼女、全身がキラキラ輝いてる。断れるわけがない。でも服のコーデは本当に苦手なんだよな。とはいえ、今は断る時じゃない。
「ショッピングエリアに食べ物を買いに行くつもりなんだ。千夏さんさえよければ、見るくらいは手伝えるよ。でも千夏さん、そんなに人気そうなのに、一人なんだね。」
「嫌じゃない嫌じゃない、嫌なわけないでしょ。友達はみんな射撃場に訓練に行っちゃったから、蘭さんにお願いするしかないね。」
千夏と並んで歩いていた。彼女はそっと微笑みながら、前をまっすぐ見つめていた。
千夏さんって、いつも笑顔が絶えないみたいだね。本当に元気いっぱいだなあ。
「蘭さん、授業の方はどう?少し遅れて来たって聞いたけど、大変じゃない?」
千夏は顔の横の髪を耳にかけて、こちらを見た。
「授業は問題ないよ。思ってたより簡単だった。」
そう言ったあと、まずいと思って慌てて手を振って言った。
「あ、別に他の生徒を見下してるわけじゃないんだ。ただ、思ってたほど難しくないってだけ!」
しまった、説明すればするほど墓穴を掘ってる気がする。これじゃ、ちょっと実力があるだけで他人を見下すような人間じゃないか。
千夏を見たけど、意外にも彼女は何か面白いことでも聞いたみたいに、ほんの少しだけ笑みを深めただけだった。
「蘭さんは緊張しなくていいんだよ。どういう意味か分かってるから。蘭さんはとても繊細なんだね。一言で緊張しちゃうなんて。」
繊細ね、千夏さんは慰めるのがうまいな。でも、繊細っていうより、僕の場合は敏感って言った方がしっくりくるかな。
「あ、ありがとう、千夏さん。」
「あと一ヶ月で分隊の時期だよね。蘭さんは、もう決めてる小隊メンバーっているの?」
千夏は前を見つめていて、買い物エリアがだんだん近づいてきた。
「分隊?小隊メンバー?」
「うん、あと一ヶ月で分隊の時期になるんだ。そしたら自由に小隊を組めるよ。任務を達成するには複数の部門が協力しないといけないし、一人の力には限界があるからね。友達と組んでもいいよ。知ってる人と一緒に組めるなら、それに越したことはないし。」
「えっ、でもちょっと急すぎないかな。千夏さん以外に、まだ特に仲のいい人っていないし。」
「それは蘭さんが来るのが遅すぎたからだよ。普通は入学して三ヶ月後に自由に小隊を組むんだけど、蘭さんは二ヶ月遅れたから、今は一ヶ月を切って自由に組むことになってるんだ。でもね、もうとっくに小隊を組んで任務を始めてる人もいるよ。」
千夏はこちらを見て、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「でも、今の蘭さんの言葉って、私を蘭さんの小隊メンバーに誘ってくれてるの?蘭さんって、私を誘ってくれた最初の人なんだよ。」
千夏もこんな笑顔を見せるんだね。いや、そういうつもりはなかったけど、こういう流れなら合わせておいた方がいいよね。それに、僕が最初に誘ったってことは、けっこう脈があるってことじゃない?でも、千夏みたいに一目で人気者って分かる人を、僕が最初に小隊へ誘うなんて。
「もしできるなら、それに越したことはないよ。」
「あら〜、蘭さんって本当に迷いがないんだね。私は別に構わないよ。でも、生徒会の仕事が忙しいから、任務にはほとんど参加できないかもしれないよ。」
これじゃ、千夏と小隊を組んでも、一人で活動するのと変わらないってことじゃないか。
「あー、それはすごく残念だよ。」
つい本音を漏らしてしまった。それから千夏を見ながら、疑問を口にした。
「じゃあ、単独行動してる生徒もいるの?」
「うん、単独行動してる生徒もいるよ。でも、単独行動は面倒なんだよ。偵察科、強襲科、射撃科で特殊試験をクリアして、しかも高得点を取らないと、単独行動の許可はもらえないからね。」
そんな試験、聞いただけでもかなり厳しそうだな。僕の射撃の成績じゃとても合格できそうにないし、ソロでやる道はほぼ諦めていいな。
「確かに、大変だね。」
声が妙に沈んでいた。やっぱり来るのが遅すぎて、知り合いがいないと小隊メンバー探しは面倒なんだよな。
千夏は僕を見て、僕の声が少し沈んでいるのに気づいたようで、少し慰めるような口調で言った:
「蘭さん、もしそのとき小隊メンバーが見つからなかったら、しばらく私と小隊を組んでもいいよ。一緒に任務に出られなくても、先生や後方支援科の生徒に毎日あれこれ聞かれないように、しばらく一緒に名前だけ連ねておくだけでもいいから。」
「それは本当にありがとう。助かるよ、お手数かけてごめんね。」
千夏の慰めで、僕の心はだいぶ楽になった。
「どういたしまして。今回一緒に買い物に付き合ってくれたお礼ってことにしておくね。」




