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第24話 卑劣な者

 僕は田中を見た。彼は頭をさすっていた。さっき車が木にぶつかった時に、衝撃で頭を打ったらしい。


「田中、怪我はないか?」


「だ、大丈夫です、頭をぶつけただけです。」


田中の無事を確認した後、僕たち四人は幹の後ろに隠れた。銃弾はまだ飛んできていて、何発かが幹に命中し、木屑が飛び散った。


「役に立たない話はやめて、今一番大事なのはどうやってこいつら全員をぶん殴るかでしょ。」


アナスタシアは木の後ろに立ち、幹に手を置いていた。手のひらが触れた周囲に白い霜が結晶し、彼女はもう待ちきれないといった様子だった。


今突っ込んだら両方から攻撃されるぞ。


「落ち着け、今飛び出したら的になるだけだぞ。」


「こいつらをぶん殴らないと進めないでしょ!どっちも明らかに相手を片付けてからゆっくり私たちとやるつもりよ。」


「それなら双方が戦力を消耗してから行く方が安全だ。」


その時、一発の流れ弾が僕が隠れている木に命中した。連続で二回だ。こんなに正確なら流れ弾じゃない、むしろ意図的な射撃と警告に近い。


紗夜はずっと口を開かなかったが、この時僕を見た。


「もし彼らに援軍がいたら?」


援軍?そうか、今までずっと考えていなかった。でも、もしこいつらに援軍がいるなら、僕たちも援軍を呼べばいい。


僕は田中を見た。


「田中、武高か副会長に連絡できるか?」


「やってみます!」


田中は端末をいじくり、何度かボタンを押してから僕を見た。


「ダメです、信号が遮断されてます。」


「田中、銃は持ってるか?」


「持ってないですよ、これも急な話でしたし、そもそも後方支援科は戦闘しないので、滅多に銃を持ち歩かないんです。」


「分かった。」


ここはもう孤島だ。もし紗夜の言う通り、こいつらに援軍がいたらかなり厄介だ。強行突破するしかない。


僕は紗夜とアナスタシアを見て、大きく息を吸った。


「突破する。田中、気をつけろ。あと、ルシウスも見張っておいてくれ。」


「だ、大丈夫です、あなたたちも気をつけて。」


田中はそう言うと、また密林の奥へと入っていった。


「早く行きましょ、もう待ちきれないわ。私はあの魔法使い連中を片付ける。」


アナスタシアの右手の指輪が光を反射し、白い風が指輪から溢れ出て彼女の体に纏わりついた。


その興奮した様子を見て、僕は仕方なく言った。


「わかった。怪我するなよ。僕と紗夜であの銃を持った連中を片付ける。」


「わかってるわかってる。」


アナスタシアは手をひらひらと振った。


僕たち三人が幹から出た瞬間、魔法使いと大男たちの視線が一斉にこちらへ向き、その後一切の間もなく、両陣営がそれぞれ一部の人員を割いて僕たちに向けて発砲し、魔法の宝石を投げつけてきた。


「こうじゃなきゃな、いくぞ。」


アナスタシアが拳を握りしめ、笑った。


僕は力いっぱい桜切を投げ飛ばした。桜切は空中で回転し続け、連中は思わず後ずさったが、桜切は狙い通り彼らの近くに落ちた。


「行くぞ。」


紗夜は僕の言葉を聞いて小さくうなずいた。僕は手を伸ばすと、体が次第に軽くなり、そのまま全体が桜切の位置へと飛んでいった。磁力の牽引を利用した高速移動だ。


紗夜もすぐに続いてきた。連中は僕たち二人に向けて発砲してきたが、幸いにも磁力の力で空中でわずかに方向を変えられたおかげで、撃たれずに済んだ。


弾丸が耳元をかすめて飛んでいき、音爆の音が絶えず耳元で響く。これは弾丸が耳の側をかすめていく音だ。


僕は背後を見た。紗夜はもう一方で僕にぴったりとついてきており、どうやら視線の大半は僕に引きつけられているようだ。


数回の呼吸の間に、僕はすでに桜切の前に到達していた。僕は桜切を掴み、刃が一番近くにいた大男の首筋まであと数寸というところで、僕は歯を食いしばって攻撃の方向を変えた。


刃は空中で強引に軌道を変え、大男の指をかすめ、その指に骨が見えるほど深い斬り傷をいくつもつけた。そのせいで彼は拳銃を手放さざるを得なくなった。


僕は彼を一蹴りで地面に転がし、さらに拳銃を蹴り飛ばした。他の者たちが僕に狙いを定めて発砲しようとしたその時、紗夜が到着した。


黒い長髪が空中で絹の布のように舞い踊る。


紗夜は僕よりも断固として、そしてより速く動いた。


銀の光が雨粒のように密に走り、悲鳴とともに次々と血が噴き出し、連中の指は紗夜によって切り落とされていった。


実に容赦がないな。


残りの大男たちはそれを見てすぐに距離を取ろうと後退したが、紗夜の方がさらに速かった。刀光が走り、紗夜に最も近い者たちの指はすでに手のひらから離れ、何本もの切断された指が地面に散らばった。


「逃げるな。」


後退する者に気づくと、僕はすぐに前に出て連続して数太刀斬りつけ、その者の脚と手を負傷させ、反抗も逃走もできないようにした。


この連中はもともと魔法使いとの戦いでかなりの損失を出しており、今また僕と紗夜の奇襲を受けたことで、ほぼ全員が負傷して戦闘力を失っていた。僕と紗夜の主な狙いが連中の指だったため、これでほぼ発砲は不可能となった。


彼らは一人また一人と地面にうつ伏せに丸まり、絶えずうめき声を上げていた。


僕はその中の一人の前に歩み寄り、彼の衣服を引きはがした。彼は止めようとしたが、指はすでにその大半を紗夜に切り落とされており、まったく止められなかった。


彼の懐をしばらく探ると、すぐに金属製のリングが見つかった。リングには灰燼聖座の印が刻まれている。こいつらは灰燼聖座の人間だ。


「後でまた来て、じっくり尋問してやる。」


僕は立ち上がった。紗夜はすでにいなくなっていた。アナスタシアの援護に向かったようだ。


後ろを振り返ると、まず聞こえてきたのはアナスタシアの興奮した声だった。


「もっと速く来なよ!遅いなあ、お前ら魔法使いは遠くから物を投げるだけか?近づかれたらお手上げか?」


アナスタシアは白い風を身に纏い、人群の中を縦横無尽に突っ込んでいく。たった一発の拳で、魔法使いが砂袋のように吹き飛ばされ、幹に激突した。


この白い風のせいで、ほとんどの魔法使いは手も足も出ない。宝石魔法でも吹き飛ばせず、近づかれたらほぼ一撃で戦闘不能になる。


そして紗夜はもうすぐ魔法使いたちの範囲に到達しようとしていた。


こいつらの魔法使いを片付ければ終わりだ。


僕はすぐに桜切を投げ、磁力を使って飛行中の桜切に素早く近づいた。


でもおかしいな、なんか人が少ない気がする?


飛行中に魔法使いの人数を確認する。もともと灰燼聖座の連中より人数が多いせいもあるし、それに何人かの魔法使いがあちこちに散らばって地面に伏せているから、人数が減ったのかアナスタシアに吹き飛ばされたのかまったく判別できない。


考える暇もなく、もう紗夜のそばに着いていた。目を合わせると、僕たち二人はすぐにアナスタシアのそばへ駆け寄った。


僕たちがそばに来たことに気づくと、アナスタシアは笑いながら言った。


「やっとあの雑魚どもを片付けたのか?こいつらずっと走り回ってて、うざったいんだよ。」


「それはお前の速度が遅いだけだ。」


「てめえ、何て言った?!」


しかし紗夜はもう飛び出していた。アナスタシアの問いかけが聞こえたのかどうかはわからない。


一閃。紗夜に最も近い魔法使いのローブが切り裂かれ、ローブの下の体にも傷が走った。


こいつらの速度は大したことない。灰燼聖座の連中よりもむしろ少し遅いくらいだ。宝石魔法だけ気をつければいい。


僕はそれほど離れていない二人の魔法使いに目を向けた。桜切でこいつらに近づいて片付けてしまおう。


「止まれ!」


その声が僕の思考を遮った。声の出所は密林の中だ。


密林を見ると、先頭の魔法使いが指に五つの宝石を挟んでいるのが見えた。だが最も重要なのはそこではない。田中がこいつに捕まえられて傍らにいて、その口には宝石を押し込まれていたのだ。


紗夜とアナスタシアも頭目の魔法使いを見た。二人とも動きを止め、その場に立ち尽くした。


僕たち三人は頭目の魔法使いを睨みつけた。僕は手でバックパックを引っ張った。こいつはおそらく田中を人質にしてカノポス匣と交換するつもりだ。


「カノポス匣を差し出せ。そいつを放してやる。さもなければ、お前たちの目の前でこいつを死なせる。」


案の定、頭目の魔法使いは目的を口にした。


田中は彼の脚元でうめいていた。何か言おうとしているようだが、口の中にかなり大きな宝石を詰め込まれているせいで、何を言っているのかまったく聞き取れない。


「これがお前たちエレガントな人間の戦い方か?Не всё золото, что блестит『光るもの必ずしも金にあらず』」


アナスタシアは頭目の魔法使いを見て拳を握りしめたが、それでも動かなかった。


頭目の魔法使いは彼女を完全に無視して、僕を見ていた。いや、正確には僕が背負っているバックパックを見ていると言ったほうがいい。


「カノポス匣をこちらに投げろ。少しでも怪しい動きをしたら、こいつを殺す。」


「わかった。」


僕はうなずいた。絶対にこいつに田中を傷つけさせるわけにはいかない。


バックパックを背中から下ろし、頭目の魔法使いを見ながら投げようとした。


「カノポス匣を中から出して一度振ってから投げろ。怪しい動きは一切するな。」


頭目の魔法使いが僕の動きを止めた。手に持った宝石が光を放ち始めた。


僕は仕方なくカノポス匣をバックパックから取り出した。カノポス匣を手の中で一度振ると、中から音が聞こえた。


頭目の魔法使いを見た。なぜカノポス匣を振らせたのか分からない。僕は彼の横の草むらに目をやった。もしあそこに投げ込んだら、彼は真っ先にカノポス匣を探しに行くだろうか?


だめだ、もし彼がそのまま田中を攻撃したらどうする?


「よし、今投げろ。俺の目の前に投げられなかったら、同じようにこいつを殺す。」


頭目の魔法使いは田中の髪を掴んで、一歩前に進んだ。


どうやら彼の手元に投げるしかないようだ。


僕は頭目の魔法使いを見て、それから彼に向かってカノポス匣を投げた。匣は空中に弧を描いた。


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