第15話 満点の成績
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小隊が結成されてからもう半月が過ぎた。腕の回復は順調で、包帯も外して固定する必要がなくなり、痛みももうない。校医いわく、激しい運動をしなければ二次的な損傷は起きないらしい。簡単に言えば、まだしばらく静養が必要だが、日常生活にはもう支障がないということだ。
訓練場のあの日から、アナスタシアと紗夜には会っていない。授業に出る必要もないので、ほとんどの時間を寮で静養して過ごしている。
僕は本を閉じて机の上に置いた。激しい運動ができないせいで、読書をする時間だけはたっぷりある。
「やっと読み終わった。」
僕は立ち上がり、本をそのまま本棚に差し込んだ。顔を上げて外の天気をちらりと見る。今日はとてもいい天気だ。こんな日はやっぱり寮にこもっているだけではもったいない。
そうと決まれば、僕は寮の建物を出た。降り注ぐ日差しが体を暖かく包み、とても心地よくて、思わず背伸びをした。
そのとき、肩をぽんと叩かれ、僕は体をびくりと震わせてすぐに振り返り、何歩か後ずさった。相手がアーサー先生だと気づいて、ようやくほっと息をつく。
「アーサー先生、人がリラックスしている時に後ろから叩くのは怖いですよ。」
「俺がお前の背後まで歩いて行ったのに気づかないなんて、それはお前自身の問題だろ。常に警戒を怠らないようにしないとな。」
「それは屁理屈ですよ。ここは学校なんですから。」
僕は訝しげにアーサー先生を見つめた。彼の目の下の隈はかなり濃く、元気もどこか萎れているように見える。
「アーサー先生、その隈はどうしたんですか?しかも全然元気がないように見えますよ。」
「やめてくれ。スクールバス襲撃のあの件で、一日に三度も俺が聞き取りに呼ばれてるんだよ。それはそうと、お前はだいぶ回復したみたいだな。」
アーサーは手を広げて、ため息をついた。
かなり大変なようだ。
「幸い骨にひびが入っただけで、傷口もそれほど大きくない。骨折だったら三ヶ月は動けなかっただろうな。」
僕は少し左腕を動かして、もう普通に生活できることを示してみせた。
「でもスクールバス襲撃の件はまだ終わってないんですか?もう半月も経ったのに。審査はそんなに厳しいんですか?」
「そんなにすぐ審査が終わるわけないだろ。拉致された人間が多すぎたうえ、門の前で爆破までされたんだ。上のお偉いさんたちは相当怒っていて、もう何人かがこの件で更迭されて調査されてるそうだ。」
アーサーが話している途中で端末が鳴り、彼は端末を手に取って一瞥すると、ため息をついて言った:
「学校の方からまた俺を呼び出しに来た。先に行くぞ。」
僕がさらに聞く暇もなく、アーサーは『いつになったら終わるんだ』などと呟きながら去っていった。
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アーサー先生と別れた後、僕は食堂へ来た。少し腹が減っていたのだ。今は授業の時間なので人はほとんどおらず、食堂はがらんとしていて、まばらな話し声と、何の機械かも分からない装置が動く際の微かな唸りだけが聞こえる。
僕はラーメンを持って周りを見回し、適当なテーブルへ向かおうとしたそのとき、意外な姿が目に入った。一之瀬虚子だ。彼女は隅の席でラーメンを食べている。ただ、そのラーメンは尋常ではなく、小山のように高く積み上げられ、立派な山頂がのぞいていた。
僕は以前、スクールバスの中で虚子に助けられている。あのとき彼女がヘリコプターで空中支援をしてくれなければ、セラフィナの能力を見破っていたとしても、激しい戦いを避けられなかっただろうし、もっと酷い傷を負っていたかもしれない。だからずっと、機会を見つけて虚子に礼を言いたいと思っていたのだが、その機会がなかった。
とはいえ、まったく面識がなく一度会っただけの女子生徒に自分から話しかけるのは、僕にとってはなかなか難しい試練だ。
僕は虚子のそばへ歩いていくと、気持ちを落ち着けて、できるだけ緊張していないように聞こえる声を出した:
「虚子さん、この席は空いていますか?少し隣に座ってもいいですか?」
手のひらが汗ばんでいる気がする。すごく緊張する。もし断られたらどうしよう。頼む、虚子さん、どうか承諾してほしい。
虚子は僕を見て、小首をかしげた。どうやら僕が誰だか思い出せないらしい。そうして僕は気まずいままその場に立ち尽くし、去るに去れず、留まるにも留まれない。
そうして五秒ほどが過ぎた。周りに人はほとんどいないとはいえ、この五秒は、一秒一秒が一年のように長く感じられた。
「いいよ。」
虚子はようやくそう言った。声はやはり小さいが、承諾してくれただけで十分だ。
「ありがとうございます、虚子さん。」
僕はほっと息をつくと、すぐに虚子の向かいに座り、ラーメンをテーブルに置いた。
さっき立ったまま見た時点で十分に高いと思っていた虚子のラーメンも、座って比べるとその差はさらに強烈だった。虚子の丼の上に積み上げられた肉ともやしは、僕のラーメン丼の高さの二倍以上はある。
虚子はゆったりとラーメンを食べている。動作は速くなく、一口もそれほど大きくはないのに、それでも非常に安定した速さで丼を片づけていく。
僕は虚子を見て、それから箸を丼の縁に置いた。
「虚子さん、この前のスクールバスの件では、ありがとうございました。」
「学校から配られた任務だ。礼はいらない。」
虚子はまったく箸を止めずに食べ続け、話している間にもすでにチャーシューを一切れ口に入れている。
「でも虚子さんが助けてくれたのは確かですし、それに虚子さんは、セラフィナが弾を偏移させられることをどうやって知ったんですか?」
言ってから、虚子はセラフィナが誰なのか分からないのだろうと気づき、僕はすぐに説明した:
「セラフィナというのは、スクールバスにいたあの敵のことです。」
虚子は顔を上げて僕を見た。そのオレンジ色の瞳からは何の感情も読み取れず、まるで淀んだ水のようだ。
「ヘリから、戦ってるところを見た。」
「虚子さんは視力がいいんですね。ヘリの中は音も大きいでしょうし、多少は揺れるはずですけど?」
「スコープ。」
そう言って、虚子はまた顔を丼に向けてラーメンを食べ続けた。
スコープ。つまりスコープ越しに、僕と紗夜、それにセラフィナの戦いを目にしていたということか。それにしても、虚子の観察力が相当なものだということは十分に分かる。ただ、さっき虚子が言った学校から配られた任務とはどういうことだろう?
僕は虚子を見たが、すぐには直接尋ねず、食べ終わってから聞くことにした。何度も食事を遮れば嫌がられるからだ。
三十分ほど経って、虚子は極めて安定した速さで丼のラーメンを完食した。もやしもチャーシューも一つも残っていない。しかも、まったく満腹になった様子もない。
虚子がペーパーナプキンで軽く口を拭いているのを見て、僕は尋ねた:
「あの、虚子さんがさっき言ってた学校から配られる任務って、どういうことですか?」
「学校は生徒に任務を配る。」
虚子はペーパーナプキンをゴミ箱に捨てた。やはり言葉は短いままだ。
虚子は立ち上がったが、そのまま行ってしまうのではなく、空の丼を持ったまま僕を見ていた。
「感謝、訓練場、弾。」
僕は虚子を見て、しばらく反応できなかった。虚子が背を向けて立ち去ろうとしたところで、ようやく気づいた。感謝したいのなら訓練場に来て手伝え、という意味らしい。マガジンに弾を詰めるのか、弾を運ぶのかまでは分からないが。
「あ、はい。」
僕はすぐに空の丼を持って、虚子の後ろについていった。
僕たちは空の丼を返却口に置くと、訓練場へやって来た。
僕たちは狙撃訓練場へ向かった。素手訓練場を通りかかったときちらりと見たが、アナスタシアは居ないようだった。まあ、おそらく授業中なのだろう。
訓練場に着くと、中央にはいくつもの高い台があった。他の訓練場と違い、狙撃訓練場はかなり広く、その分だけ開けた場所になっている。遮蔽物と人型標的が場所のほとんどを占めていて、生徒の遠距離での命中率を鍛えるためのものらしい。訓練場の脇には電子ディスプレイが設置されていて、射撃の成績を表示できるようになっている。
虚子は遮蔽物の一つへ行って伏せた。僕も後を追って、その横に座る。
虚子は以前僕が見たあの氷河のような白の狙撃銃は使わず、学院の制式狙撃銃の一つを使っていた。銃身には校章と刻印された番号が描かれていて、型番はSSG3000、その隣にはSN 1523とある。
「弾、持ってきて。」
虚子は僕を見ると、少し離れたところにある小さな箱を指差した。
僕が歩いていって小箱を持ち上げると、中から金属のぶつかる音がした。どうやらこれが弾のようだ。
僕は箱を持って虚子のそばへ戻った。虚子はただ小さくうなずくと、射撃を始めた。
狙いを定め、撃ち、弾を込める。その動作は流れるようで、まったく淀みがなく、まるで本能のようだった。
次々と標的が撃たれて倒れていくのを見ていると、耳に届く銃声もそれほど耳障りには感じられなくなっていった。
弾が徐々に減っていくにつれて、太陽もいつの間にか空での位置を変えていた。
最後の一発を使い切ったところで、僕は脇の電子ディスプレイに表示された射撃の成績を見た。満点だ。
一発も外しておらず、すべて一発で急所を撃ち抜いている。
「すごい。」
虚子のその成績を見て、思わず口に出ていた。僕の射撃の成績はお世辞にも良いとは言えないし、虚子のこの成績は学院全体でもトップレベルだろう。
「お疲れさま。」
虚子は狙撃銃を元の位置に戻した。このお疲れさまという一言が、誰に向けたものなのかは分からない。
僕はディスプレイを見た。あんなに小柄に見えるのに、この射撃の腕はあまりに高すぎる。
「隣で見てるのは、退屈。分けてあげる。」
僕が少しぼんやりしている間に、虚子はもう僕のそばまで来ていて、ポケットから二つのもの、パン一つと魚の干物の袋を取り出した。そして魚の干物をパンに挟むと半分に割り、その片方を僕に差し出した。
僕はパンと魚の組み合わせを見た。まだ腹は減っていない。何しろ食事をしてからそれほど時間が経っていないのだ。とはいえ、人の好意を無下に断るわけにもいかない。
僕は手を伸ばしてそのパン魚を受け取ると、言った:
「ありがとうございます。ありがたくいただきます。」
虚子は僕が受け取ったのを見ると、そばに座って小さく口を動かしながら食べ始めた。
僕もそばに座って食べ始めた。味は想像していたほど酷くはない。むしろ甘味と塩味が口の中で交互に現れ、味わいがとても豊かだ。
「虚子さんが分けてくれたものは、とても美味しいです」
虚子は僕を見たが、何も言わず、ただ食べながら地面を見ていた。何を考えているのかは分からない。




