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第14話 小隊成立、だが隊長は誰だ?

〇


僕と紗夜は訓練場に来た。第一訓練場から仕切られた小さな訓練場で、中にはサンドバッグや障害物がたくさん積まれ、さらにある程度のトラップも仕掛けられていた。


訓練場へ来る道中、紗夜はほとんど口をきかず、『うん』『はい』程度の返事と言葉のやり取りしかなかった。道すがら、アナスタシアと親しいのかと尋ねても、返ってきたのは『そんなに親しくない』の一言だけだった。


気のせいかどうかは分からないが、訓練場にはどうしても消えない硝煙の匂いが漂っている気がした。たとえこんな、とても発砲するようには見えない訓練場でも同じだった。


訓練場に入って間もなく、『ドン』という音が聞こえた。明らかに誰かが力いっぱいサンドバッグを打った音だ。続いて、何かが飛んでいって地面にぶつかる衝撃音と擦れる音が聞こえた。


そしてその音とともに、白い髪の一房が中を動き回るのが見えた。おそらくアナスタシアだろう。


  『ドン!』


また大きな音が響いた。僕はサンドバッグが訓練場から飛び出し、壁にぶつかってすさまじい音を立てるのを見た。


衝撃音がまだ消えないうちに、先に足音が耳に飛び込んできた。


アナスタシアが訓練場の奥から歩いて出てきた。普段の訓練服を着て、長い髪をポニーテールにまとめ、少し息を切らしながら、歩きながら手首を動かしていた。彼女は僕と紗夜に気づくと、軽く笑った。


「ふん、これはこれは神代さんじゃないか?しかも怪我人まで連れて、Сегодня солнце никак с запада взошло?『太陽が西から昇ったのか?』」


「そんな言葉で私を皮肉っても無意味だ。」


「じゃあ何なら意味があるんだ?もっと露骨で聞き苦しい言葉か?」


「お前には関係ない。」


紗夜は言い終えると顔をそむけ、もうアナスタシアを見ようとしなかった。相手をこれ以上見たくないという表情だった。


口げんかよりも、アナスタシアがさっき何を言ったのか誰か説明してくれないだろうか。あの口調と紗夜の返しを見る限り、きっと良い言葉ではないはずだ。


アナスタシアを見ると、彼女は僕を見ていて、顔に少し笑みを浮かべていた。その笑みは、どこか意地の悪いものだった。


「青葉蘭、どうやらかなりの重症みたいだな。まるで翼を折られた鳥みたいだ。ここ数日、お前の噂は聞いてるぞ。まるで浜辺の波みたいに——そこらじゅうにだ。スクールバス襲撃事件を解決して、灰燼聖座の泥棒まで倒したそうじゃないか。」


「ただの軽傷ですよ。一ヶ月もあれば治ります。それに倒せたのは、神代さんのおかげです。」


僕は彼女のその折れた翼の鳥という例えを無視した。


「一ヶ月か……そんなことはどうでもいい。それで、俺に何の用だ?この氷の女と一緒に来たのが、俺と友達になりたいなんて退屈な用だとは思えないがな。」


氷の女という表現は言い得て妙だが、紗夜を怒らせるだろうな。


目のはしで紗夜を見ると、特に何か行動に移すでもなく、表情ひとつ変えていなかった。表面上は、先ほど自分で言ったとおり、アナスタシアの皮肉などまったく無意味だと思っているようで、僕はようやくほっと息をついた。ただ、アナスタシアのこの、やたらと他人を皮肉る様子は、少々度が過ぎていないだろうか。


「うーん、話せば長くなるんですけど……」


「なら手短に言え。」


ためらうことなく遮られた。まったく、人の話をちゃんと聞こうとしない。


「実は僕、まだ小隊メンバーがいなくて。紗夜さんから、アナスタシアさんも小隊メンバーを見つけていないと聞いたので、試しに来てみたんです。」


僕は、途中でまた遮られないよう、今回の目的を一気に全部言い切った。


アナスタシアは手の甲で軽く額の汗を拭っただけで、すぐには答えず、僕を見てから紗夜を見て、それからようやく口を開いた:


「氷の女が連れてきたんだから、ルールは分かってるよな?私より強くなる必要はない。せいぜい、足を引っ張らないってことを証明してみせろ。足を引っ張る奴を守るために気を散らすのは御免だ。」


やはりこう言うか。それでも戦いたいんだろう。逃げられない。ただ、この状況で戦えば絶対に二次受傷する。とにかく何とかして引き延ばすしかない。


「うーん、アナスタシアさん、僕は今怪我をしてる状態なんですよ。できれば少し先延ばしに——」


「戦うと同意するなら、骨を折っても戦う覚悟をしておけ。怪我人だからといって手加減はしない。」


また僕の話が遮られた。少しは最後まで言わせてくれよ。しかも手加減しないって何だよ、聞いていて少し恐ろしい。


思いがけず、このとき紗夜が僕より先に口を開いた:


「やはり、頭の中にはそんな単純な論理しかないのか。」


「ふふ、本当にますますお前が嫌いになってきた。特にその口だ。引き裂いて、中に毒でも隠してないか見てみたくなる。」


「そんな無意味な言葉を並べるのが好きなら、できるものならいつでも来い。」


「上等だ、望むところだ。今度こそ絶対にお前に負けたりしない。必ずお前を地面に押さえつけて、私に謝らせてやる!」


アナスタシアは両腕を組み、歯を食いしばって冷たく紗夜をにらんでいた。額の血管が浮き出ているのが見えるほどだった。


雰囲気がどんどん悪くなり、紗夜とアナスタシアの二人はいつ殴り合いになってもおかしくない。この空気に、僕は少し息が詰まりそうだった。


幸いなことに、今日の紗夜は武器を持っていない。さもなければ、この雰囲気では次の瞬間にも抜刀しそうだ。何とかして空気を和らげなければ。


「アナスタシアさん、見てのとおり僕はこんなに怪我をしていて、今日あなたと手合わせするのは確かに無理なんです。なにせこの状態で戦っても、その結果はあなたもきっと気に入らないでしょうから。」


彼女は怪我人でも手加減しないと言ったのだから、怪我人だから戦えないとは言えない。別の言い方で引き延ばすしかない。なにせ、彼女は戦うことがよほど好きらしいから。


アナスタシアは僕を見て、すぐに承諾も拒否もせず、唇を軽く噛んで、真剣に考えているようだった。


僕は彼女がためらっている隙に、続けて言った:


「今の僕の状態では、とても戦いを支えられません。無理に二人で手合わせしても、たぶん僕があなたに一発で倒されるだけで、ウォーミングアップにもならないでしょう。」


アナスタシアは僕を見て、何を考えているのか分からなかったが、その後、僕が予想もしなかった行動に出た。彼女は髪を結わえていたヘアバンドを解いて手に持つと言った:


「お前はあの氷の女よりずっと話がうまいな。だが、口がうまいだけで私に承諾させようなんて、簡単すぎるんじゃないか?」


「他に何が必要ですか?今すぐ戦えと言われても、本当に無理です。傷が治ってから手合わせするなら、すぐにでも承諾します。」


「戦う、当然戦うさ。だが、お前がそう言うなら——」


アナスタシアは語尾を伸ばし、神代紗夜を一瞥してから、不機嫌に声を張り上げた。


「傷が治ったら、星隕核武器を持って私と戦え。訓練場は私が探すから、二人でしっかり決着をつける。もしお前が負けたら、私はすぐにお前を蹴り出す。これが私の要求だ。どうだ?難しい話じゃないだろ?」


星隕核武器での戦闘?ずいぶん変わった要求だな。でも、傷が治ればダメということもないだろう。


僕が承諾するかどうか考えていると、紗夜のほうが先に動いた。彼女は僕の前に立ち、アナスタシアをじっと見つめた。


「星隕核武器で戦う?まさかお前がそんな要求を出すとは、おかげで見識が広がった。やはり、脳はまた退化したのか?もう猿人の域に達したのか?」


「そう聞き苦しく言うことはないだろう?前もって報酬を得たいなら、それ相応の高い代償が必要だ。これが貸付と利子というものだ。」


「代償?こんな馬鹿げた行為が利子や代償などと呼ばれるとは思えない。」


「お前に私を説教する資格があるのか?一度勝ったくらいで、私がお前に心から服従したと思うなよ!」


「処罰を受けたいなら一人で十分だ。他人にこれ以上迷惑をかけるな。」


「処罰?そんなものはどうでもいいだろ。私はそんな退屈な規則を守る気なんてさらさらない。」


紗夜の手は無意識に腰元へ伸びたが、空を切った。その後、手を下ろして振り返り、アナスタシアには背中だけを向けた。もう一言も言葉を交わしたくないようだった。


だがアナスタシアは、これで諦めるつもりはなかった。彼女はヘアバンドをポケットに押し込むと、手を伸ばして紗夜の肩をつかもうとした。


アナスタシアのこの動きを見て、この二人がこのまま口論を続ければどうなるかは、ほぼ予想がついた。


「もう喧嘩はやめろ!」


僕は声を上げてアナスタシアの動きを止め、紗夜とのいざこざがこれ以上こじれないようにした。二人は同時に僕を見た。


「なぜ紗夜さんが、桜切で戦うと処罰されると言うのかは分かりません。でも——」


僕は大きく息を吸い込んだ。


「紗夜さん、ありがとうございます。でも、自分で口にした要求なのだから、果たさなければなりません。」


「青葉さんもこの馬鹿に移されたのか?」


紗夜は眉をひそめて僕を見たが、その感情は読み取れなかった。ただ、この言葉は僕を罵っているわけではない気がした。少なくとも、口調はそうではなかった。


「はははは、Отли́чно『素晴らしい』。どうやらお前は話がうまいだけでなく、決断もできるらしい。少なくとも臆病者じゃないようだ。」


僕と紗夜が見つめ合っていると、アナスタシアが笑い出し、僕には分からないロシア語を一言言った。だが、悪口ではないようだ。そして彼女は自分の端末を取り出すと、僕に反応する隙を一切与えず、そのまま小隊結成の招待を送ってきた。


僕は小隊結成の招待を見て、それから『同意』をタップした。すると端末に二人のアイコンが表示され、身分は『隊員』だった。まだ誰が隊長か決まっていないので、二人とも『隊員』なのだった。


紗夜はその光景を見て、そっとこめかみを揉み、冷たくアナスタシアを見た。


「よし、お前たちの目的は果たされた。さっさと行け、私の訓練の邪魔をするな。」


アナスタシアは端末を再びポケットに押し込み、顔をそらしてまた訓練場の中へ入っていった。数秒もしないうちに、中から再びサンドバッグを打つ音が聞こえてきた。


僕と紗夜は仕方なく前後してその場を離れた。紗夜が前を歩き、沈黙のまま数分が過ぎてから、紗夜はようやく口を開いた:


「こんなことまで承諾するとは、本当に無知ゆえの恐れ知らずだな。」


「神代さんは、アナスタシアさんと武器で手合わせする件のことですか?」


「他に何がある?もしそのとき生徒会に、内密に星隕核武器で手合わせしたところを見つかって処罰されても、規則を知らなかったなどと言うなよ。」


確かに前は知らなかった。今になってようやく分かった。


「もう承諾したからには、応じるしかありません。」


紗夜は前を歩き、僕には背中しか見えず、どんな表情かも分からない。また沈黙が続き、三十秒ほど経ってからようやく口を開いた:


「無鉄砲だが、少なくとも少しは取り柄がある。」


【作者からのおねがい】


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