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第12話 保健室

ヘリコプターの轟音がまだ耳に残っているようだったが、左腕の傷が引き起こす痛みで、思わず「ひゅっ」と息を呑む声が出た。ついさっき、爆弾が一つずつ解除され、後方支援科の人員が次々と爆弾を調べに来て、そこでようやく、ほとんどすべての座席の下に爆弾が一つずつ仕掛けられているのが分かった。そのまま起爆されていたら、紗夜と二人、死体の破片すら見つからなかっただろう。


だが幸いなことに、セラフィナは爆弾を起爆しなかった。遠隔起爆のプログラムがなかったのか、それとも目的がそもそも爆発ではなかったのか、とにかく爆弾はすべて安全に解除された。紗夜と二人で帰りの車に乗り込んだ。その時、救急車の中で校医が包帯を巻いてくれていたが、その手つきはかなり乱暴で、強く掴まれて、痛くて歯を食いしばるほどだった。他の学生たちは別の車で帰っていった。


「よし、ちょっと我慢しろ。骨折はしてない。そんな死にそうな顔すんな、強襲科がこの程度の傷で音を上げるんじゃないぞ。左腕が動かせるか試してみろ。」


強襲科だからって痛覚がないわけじゃないんだから、もっと軽くしろよ、死人みたいに乱暴に動かすなよ!


心の中で校医の乱暴な手つきに抗議しながら、腕を動かそうとしてみたが、力が入らなくて動かない。仕方なく首を横に振った。


「じゃあ、たぶん骨にひびが入ってるな。骨折よりは少しマシだが、それでもちゃんと休養しろ。なるべく激しい運動はするな。」


戦闘に参加しなければ、激しい運動なんて絶対にしないんで、その点はどうかご安心を。


校医は左腕を包帯で巻いて固定した。


車の横の鉄板にもたれかかり、まるで夢でも見ているような気分だった。入学して間もないのに戦闘任務に参加して、しかもしばらく休養が必要な傷まで負ってしまった。学校まではまだ時間があったので、仕方なく車の天井を見上げてぼんやりしていた。


「青葉…蘭だよな?」


紗夜はその時こちらを見て、固定された左腕をちらりと見た。


「ああ、そうだけど、どうした?」


紗夜を見た。まさか彼女が名前を覚えているとは思わなかったが、口ぶりからすると、どうやら朧げな記憶しかないようだった。


「戦闘の勘はなかなかいい。」


紗夜はそう言うとそれ以上何も言わず、目を閉じて、まるで精神を休めているかのようだった。


まさか紗夜が人を褒めるなんてな。もしかしたら、見た目よりずっと付き合いやすいのかもしれない。でも今の状況じゃ、僕も紗夜とあれこれ話す気にはなれないけど。


僕は桜切に目を向ける。相変わらず、新品同様に滑らかで輝いていて、さっきの激戦が何の痕跡も残していないかのようだ。紗夜の刀にも目をやる。桜切と同じく、滑らかで明るく輝き、冷たい光をきらめかせている。


いつの間にか紗夜は目を開け、桜切を一瞥してから口を開いた。冷たく澄んだ声で、まるで人を寄せ付けないかのようだった。


「星隕核。」


「星隕核?」


「隕石が宇宙から地球に落ちると、特殊な素材を残すことがある。数はごく少ない。それを武器に溶け込ませれば、武器は硬く鋭くなり……人の未知の潜在能力を引き出すことさえできる。君の刀には星隕核が溶け込んでいる」


「つまり、僕が桜切を操る磁力は桜切から来てるってわけか。」


つまりこの刀には宇宙から来た素材が溶け込んでいるってことか。うーん、何というか、ちょっとカッコいい。


紗夜はうなずくと、続けて言った:


「君が来る前の、最初の爆発の時に、セラフィナが混乱に乗じて車から何かを持ち出した。おそらくそれが星隕核だ。その時彼女は逃げようとしていたから、私が引き止めた。そして君が来た」


「そんな大事なものがなんでスクールバスに積んであるんだよ?!」


僕は少し声を上ずらせた。もしセラフィナの狙いが星隕核なら、なぜスクールバスを爆破しなかったのかも説明がつく。そもそも狙いは最初からスクールバスではなく、車に積まれていた物だったんだ。セラフィナが去り際に任務完了と言ったのも当然だ。


紗夜は首を横に振った。


〇


学校の校門まで戻ってくると、校門前の戦闘はすでに終わっていた。少なくともアーサー先生はもういない。校門の前には千夏が一人で立っていて、何かを待っているようだった。そして校内では、武装ヘリコプターが校門の内側に堂々と停まっていて、その横に一人の少女が立っていた。少女は自分の体格に似合わない狙撃銃を背負い、パンを小口に食べていた。とても小さな口で食べているのに、食べるのは速い。一之瀬虚子。どうやらさっきヘリから僕と紗夜を支援していたのは、この一之瀬虚子だったようだ。


僕が車で戻ってくるのを見て、千夏は車の窓に向かって手を振り、それから何かを言った。意味はたぶん『保健室に君を探しに行く』ってことだろう。


僕にも分からない。ただの推測だけど、千夏のあの性格ならたぶんそう言うだろう。


保健室に着くと、僕は椅子を見つけて座った。保健室の先生が僕の包帯を巻き直し始めた。やっぱり、保健室の先生の手つきは救急車の救急隊員よりずっと優しい。紗夜は別の場所で検査を受けることになった。保健室の先生が紗夜の内臓損傷を心配して、検査を受けさせるよう強く言ったからだ。


『ギィ』


閉まっていた保健室のドアが押し開けられた。開けたのは千夏で、その後ろにはアーサーが続いていた。


「アーサー先生、千夏さん、どうして来たんですか?さっき千夏さんは一人で校門にいたんじゃなかったんですか?」


「蘭さん、来る途中でアーサー先生に会ったんです。アーサー先生が蘭さんがどこにいるのか聞いてきたので、それで一緒に来ました。」


千夏がスマホを取り出した。画面には『任務完了』と表示されていた。


その文字を見て、セラフィナが去り際に言った言葉を思い出し、胸に疑問が湧き上がって、疑り深い顔でアーサー先生を見た。


「おいおいおい、そんな犯人を見るみたいな目でこちらを見ないでくれよ。任務完了ってのは学校の評価だ。何しろ最優先の任務はスクールバスに乗っている生徒の安全を守ることだから、君たちがそれをやった時点で任務完了なんだ。」


アーサーは慌てて手を振って説明したが、それでもじっと見つめ続けたので、アーサーは仕方なくため息をついて言った:


「星隕核が失われたことは、スクールバスが戻ってきた時点で知っていた。失ったのは痛いが、生徒の安全の方が大事だ。」


「本当に生徒の安全を気にかけているなら、最初からあんなものをスクールバスに載せるべきじゃない。専任の護衛に護送させるべきだ。あんなものはきちんと保管するべきなんじゃないですか?」


うっかり本音を漏らしてしまったが、口に出した以上もう引っ込める必要はない。アーサーを見て、彼が答えを出すのを待った。


アーサーは問い詰めるような様子を見て、参ったなという表情で手を広げた。


「当時は二組に分けていた。一組は護送車と数名の専任護衛だ。でもその日にたまたまスクールバスがあったから、その場で星隕核をスクールバスに載せることにした。そうすれば、厳重に警備された護送車と、数キロ離れたスクールバスが同時に出発する。これでたとえテロリストが護送車を襲っても、護送員は素早く退避して不必要な犠牲を避けられる。代償は護送車一台だが、そのくらいは出せる。」


「でも結局、連中はスクールバスを襲って、しかもスクールバスごと吹き飛ばしかけた。」


左腕はすでに包帯を巻き直されていた。左腕を引っ込めた時、引っ張られるような痛みに思わず息をのんだ。


アーサーはその質問には答えず、顎をさすった。


「今、私たちも原因を調べている。なぜテロリストがスクールバスを襲ったのか。まさか彼らが勘で当てたなんてことはない。信じられないし、多くの者も信じられない。内部ではすでに調査手続きが始まっている。」


千夏は椅子を一脚見つけて、隣に座り、痛ましそうにこちらを見た。


「蘭さん、まだ痛いですよね。あの時私も一緒に行っていれば、蘭さんがそんな大怪我をすることもなかったのに。」


「大丈夫だよ、もう痛くないから。そんなに心配しなくていいよ。」


「痛くないなんて嘘ですよ。さっき怪我したばかりで、今やっと包帯で固定したんです。痛くないわけないじゃないですか。」


千夏は首を振り、それから続けた:


「蘭さん、生活で何か不便があったら、いつでも私に言ってください。面倒だなんて思わないでくださいね。」


そんなふうに心配してくれる千夏を見て、張り詰めていた神経がようやく緩んだ。千夏を見て尋ねた:


「それより、爆発のとき校門にいたあいつはどうなった? あいつも逃げたのか?」


「ああ、あいつならもう捕まえたよ。千夏が手伝ってくれたおかげだ。今は後方支援科と偵察科に引き渡してある。あいつの口からどんな情報を引き出せるか見てみよう。今回はかなりの成果だよ。まさかあいつが灰燼聖座の第十二席だとはな、地位はかなり高い。」


アーサーがこのタイミングで口を挟み、それから遠慮なくベッドにどかりと腰を下ろした。


もう、全然優しくないんだから。でも、あいつが捕まったのか。千夏とアーサーが一緒に捕まえたのかな。でも感覚的にはアーサーの方が活躍して、千夏がサポートってところかな。だってアーサーは教師だし、実力的には生徒より強いのが当然だよね。しかも十二席なら、きっとかなり強いんだろうな。セラフィナと比べたらどうなんだろう?


でも、まだ一つ疑問が頭の中で渦巻いていた。僕はアーサーを見て尋ねた:


「灰燼聖座って、いったい何をしてるの?」


「灰燼聖座なあ、現存する秩序を全部ひっくり返そうとしてるテロリストの集まりだよ。あの歪んだ理屈でそこら中で人を洗脳して、あちこちでテロを起こす。もう手段を選ばないって感じだな。世界を焼き尽くして、それから新しく秩序を築き直すつもりらしい。聞いただけで頭がおかしい連中の部類だよ。正直、戦わなきゃいけないから仕方なく関わってるけど、本当は一切関わりたくないね。ちょっとしたことで『ああ、神が世界に降臨する』『ああ、神罰が下る』『この腐った世界はもう必要ない』とか言い出すんだから、思い出すだけで少し吐き気がするよ。」


アーサー先生は灰燼聖座をかなり低く評価してるみたいだね。でも、セラフィナは神だの旧秩序の打倒だのを口にするタイプには思えない。どうやら灰燼聖座の中でも、それぞれ性格にかなり差があるみたいだ。


話しているうちに、紗夜も身体検査を終えた。


ドアのガラス越しに、紗夜が病室の入り口まで来て足を止め、それから病室の中をちらっと見てから立ち去るのが見えた。


アーサー先生も頃合いを見て立ち上がり、僕の肩を叩こうと手を伸ばしたけど、宙で止まり、それから頭をかきながら言った:


「お前もちゃんと休めよ。俺はもう行くから。学校の方でも山ほど用事があるんだ。すり替え計画に関わった奴はほぼ全員、審査に呼び出されてる。」


アーサー先生も病室を出て行き、一瞬にして、病室には僕と千夏の二人だけが残った。


僕は千夏を見て、少し照れくさかった。


「千夏さんは忙しくないの?任務が終わったら、聞き取りとか報酬受け取りの手続きがあるんじゃない?」


「えっ、蘭さんは私を追い払おうとしてるの?」


「いやいやいや、そんなことないよ、ないない。」


「大丈夫だよ、私は忙しくないよ。任務完了だと、普通は聞き取りなんてほとんどないし。それに報酬の受け取りだけど、蘭さんは端末をちゃんと見てないんだね。武装ポイントはもうアカウントに入ってるよ。」


千夏は口元を手で覆って、クスッと笑った。


僕は端末を取り出してちらっと見た。やっぱり、武装ポイントはもうアカウントに入っていた。五千武装ポイント、かなり多いな。


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