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第11話 任務完了?

数メートル後退し、衝撃で腕が少し震えた。その時、紗夜が右手を伸ばして僕を掴んでくれたおかげで、これ以上後退せずに済んだ。礼を言う暇もなく、セラフィナはすでに短剣を投げつけ、短剣が僕と紗夜に向かって飛んできた。


僕たち二人は刀で受け止めたが、それでもあの巨大な力で二人の刃を弾き飛ばされ、がら空きになった。だが幸いなことに、セラフィナは追撃してこず、短剣を再び手元に引き戻した。


「ふぅ...」


僕は息を荒げていた。疲れたからではなく、セラフィナのあの力が耐え難かったからだ。この女は見た目は強くなさそうなのに、その力には抗いがたい。幸い、さっきセラフィナが追撃してこなかったおかげで、僕と紗夜は少しだけ息をつくことができた。


もうむやみに攻めるわけにはいかない。少なくとも、あの『偏移』がどこから来ているのかを突き止めないと。


僕は刀を構えて防御の姿勢を取り、セラフィナを見た。彼女はさっきほど神経質には見えない。感情は来るのも早いが、去るのも早いのか。彼女は短剣を握ったまま前に出ず、目を細めて見ていた。正確には、桜切を見ていた。その目つきは、桜切を自分のものと見なす目だった。


最初にずらされたのは突きだった。この偏移はどこから来ている? 糸か? 違う、もし糸ならどんなに細くても斬れば感触があるはずだ。じゃあ、あれは何なんだ?


突きは偏移された、なのに短剣で紗夜の攻撃を防いだ。同時には偏移できないのか?でも違う。前に桜切を投げて上から攻撃した時は紗夜と同時に攻撃して、二つとも偏移されたじゃないか。


きっと僕は何か忘れてる。大事なことを。


「人の話をちゃんと聞くってことを覚えたか?ガキ。やっぱり、お前らみたいなガキはきつく懲らしめないとダメみたいだな。」


セラフィナは嘲るような笑みを浮かべた。


人の話を聞く……自分から追撃してこない……あれだけ力が強いのに、自分から近づいて追撃してこない。


僕は少し離れたところで僕と紗夜を嘲笑っている女を見て、息を吐いた。彼女の『偏移』の真相に、もう思い当たった気がする。確認はできないが、いくつか可能性はある。


僕は声を潜めて紗夜に言った:


「僕が先に行く。神代さんは後だ。」


紗夜のその瞳と目が合った。説明したかったが、今は説明している時間じゃない。自分の右腰に手を伸ばし、マガジンに触れてからほっと息を吐く。僕がマガジンを触る仕草を見た紗夜も、手を拳銃へと伸ばした。


言うのは恥ずかしいけど、外に出る時は状況が緊急で、僕は銃をあまり使わないから、前に訓練場で何発か試し撃ちしたが、空包弾がまだ中に残っていた。まさかこんな時に役に立つとは思わなかった。


確認を終えてもう迷わない。推測があるなら、試してみるしかない。


「セラフィナ、僕たち二人を懲らしめるって?もう僕たち二人を懲らしめたじゃないか。」


「どうした、降参したのか?」


「いや、懲らしめるのが終わったなら、そろそろ立場を入れ替えないとな。」


僕は刀を構える姿勢を守りから攻めに切り替え、思い切り桜切をセラフィナへ投げつけた。続けて右手を伸ばすと、無形の力が僕を引っ張り上げ、桜切に向かって凄まじい速さで飛んでいった。


「立場を入れ替える?あまり思い上がるんじゃないよ。」


セラフィナは白い歯を見せ、意地の悪い笑みを浮かべた。両手で短剣を握りしめ、青筋が浮き出ている。どうやら本当に怒っているようだ。


桜切の飛ぶ速度を利用して、僕もセラフィナへ素早く突進した。空中で桜切を掴み、空中で二回転してから重く斬り下ろした。やはり、刃がセラフィナまであと十センチというところで誰かに押されたように逸れ、斬り外した。『偏移』されたのだ。


だが目的は果たした。刃が座席に当たる瞬間、僕は手を離し、右腰から素早くVP9を抜いてセラフィナに向けて一発撃った。


やはり、それも偏移された。弾は車の天井へ偏移され、凹みを作った。空包弾だ。空包弾が偏移された瞬間、セラフィナが蹴りを繰り出してきた。僕はすぐに両腕を交差させて体の前に構えた。蹴りが命中した瞬間、錯覚かどうか分からないが、左腕が折れる音まで聞こえた。だが、それは痛みが強すぎるあまりの錯覚かもしれない。


彼女の一蹴りで僕は数メートル吹き飛ばされ、床を何メートルも滑り、背中が椅子にぶつかってようやく止まった。


その瞬間、紗夜もセラフィナの目の前に迫り、彼女の左腕めがけて斬りかかった。セラフィナはすぐに短剣で斬撃を防ごうとした。しかしセラフィナは思いもしなかった。紗夜が空中で技を変え、刃を左手に持ち替えて逆手に握るとは。この最初の一撃はそもそもフェイントだったのだ。続く回転斬りがセラフィナの太ももに傷を残し、血が、ついにセラフィナの体から流れ出した。振り返った瞬間には、紗夜はすでに銃を抜いていて、迷わず発砲した。


慌ててセラフィナは短剣で弾を防ごうとしたが、短剣は弾き飛ばされ、しかも弾の衝撃で右腕が震えて止まらなくなった。彼女は歯を食いしばって紗夜と僕を見つめ、怒りをあらわにしていた。


「まだ終わってないわ。」


僕は歯を食いしばって地面にうつ伏せていた。五臓六腑がすべて激痛で悲鳴を上げているような感覚だが、今は泣き叫ぶ時じゃない。


磁力が桜切を伝って手のひらに流れ込み、そして桜切は椅子から飛び出してセラフィナのもう片方の太ももにも傷をつけ、そのまま手元に戻ってきた。これが、僕があの時、肉体を張って一撃に耐えても桜切で防がなかった理由だ。僕は賭けていた、そして賭けに勝った。


「なるほど、認めざるを得ないわ。お前の直感は——よく当たる。」


なんだよ、それって褒めてるのか? 褒めてるならもっと直球で言ってくれよ。


紗夜は左手に刀、右手に銃を持ってセラフィナを狙っていた。彼女はもう撃たなかった。セラフィナがいつでも再び『偏移』を使えるからだ。弾を偏移させられたら、本当に他の人を撃ってしまう。そして、ほんの3秒にも満たないさっきの戦いで、紗夜も僕が何を言いたいのかを理解した。


「本当に……お前たちガキを舐めてたわ。」


セラフィナの声は低く、怒りを抑えているようだった。彼女は手のひらで脚の血を拭ったが、拭いてもまた湧き出てくる。傷は深くはないが、彼女の動きに支障をきたすのに十分だった。


「褒めてくれてどうも……ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ……」


僕は咳き込みながら立ち上がった。左腕はまだ痛むが、ほとんど痺れて感覚がなくなっていた。


「だって僕は気づいたんだ。お前は攻撃を偏移させた後、ほとんど自分から攻撃してこない。最初は性格のせいだと思った。でもさっき思ったんだ。もしずっと使えるなら、なぜ最初に顔を合わせた時、紗夜の攻撃を防ぐ必要があったんだ? だから偏移には時間制限があるんじゃないかって推測した。2秒か、1秒か、それは分からない。僕はただ賭けただけだ。お前のその異様な力がずっと存在するわけじゃないってな。そして、実際に賭けは当たった。」


「ハハ……ハハハハ!」


セラフィナは僕を見て大笑いし始めた。


「こんなに早く、こんなに早く見抜かれるとはね。運がいいのか、それとも死ぬのが怖くないのか、本当に分からないわ。」


彼女は笑いながら指で笑い涙を拭っていた。なんだよ、そんなに面白いのか?


紗夜が僕の前に立ち塞がり、左手に銃、右手に刀という構えに切り替えた。僕は紗夜の背中越しにセラフィナを見た。この女、また何をキレてるんだか。


「見破られたのなら、次の一手でお前を殺せばいいだけよ。」


彼女は戦闘で少し乱れた髪を整え、僕を見た。その口調はもう軽薄ではなく、ひどく冷たいものになっていた。


セラフィナは両腕を抱えている。彼女の脚にある二つの傷は、動きに支障が出るほどだ。だが、僕の今の状態なら、本当に反撃する術はないだろう。左腕の赤い痕はもう紫色に変わり始めている。何が起きているのかはまだ分からないが、もう痛みで痺れて感覚がない。


僕と紗夜は、セラフィナが急に襲いかかってくるのに備え、警戒しながら彼女を見据えていた。


いつの間にか、車は橋の上まで走ってきていた。橋の上にはこのスクールバス一台だけが、疲れを知らずに疾走している。バスの外では水面の波が散らばった鱗のように光を反射し、バスの中では、次の死闘が今にも始まろうとしていた。


『ブォオオオ!』


地面が震えているようだ。スクールバスの中でもそれが感じられる。バスは何かを恐れるように震え、僕の足元の床さえも震えている。ブォオオという音が周囲に響き渡り、心臓を震わせるような轟音を運んでくる。


巨大なブォオオという音がスクールバスの上空から響いてきた。三人は同時に窓の外を見た。空のそう遠くないところを、一機の武装ヘリコプターがスクールバスへ向かって飛んでくる。ヘリには校章が付いている。支援がついに来た。そのことで、僕は思わず少しほっと息をついた。


『バン!』


僕たち三人が窓の外を見たその瞬間、銃声が響き、スクールバスの窓が砕けた。一発の弾丸がセラフィナへ向かって飛び、彼女に近づいた瞬間、横へ弾かれて凹みを残した。


空包弾だ。僕が前に撃ったあの一発と同じ。つまり、次の一発は実弾だ!


そう思った瞬間、次の実弾は風切り音をまとって、行く手を遮るものすべてを粉々にするかのようにスクールバスの中へ撃ち込まれてきた。だが、外れた。セラフィナは、僕と同じくそれが空包弾だと気づいた瞬間、すぐさま横へ飛び退き、かろうじてこの射撃をかわした。狙撃銃の弾丸はスクールバスを貫いて、姿を消した。


「本当に面倒ね。まあいいわ、どうせ任務はもう終わったし。」


セラフィナは歯を食いしばって窓の外を見ると、それから僕と紗夜をちらりと見た。


「ついでにお前たち二人も殺してやるつもりだったが、どうやらその機会はなさそうだ。次は、次こそ絶対にお前たち二人を殺してやる。」


そう言い終えると、彼女はもう留まらなかった。紗夜が追おうとしたが、もう遅かった。彼女は二本の短剣を同時に投げ放つと、短剣は窓を砕いて外へ飛んでいき、やがて橋に絡まったのか、それとも橋に突き刺さったのか、彼女がぐっと強く引くと、その体は飛ぶ鳥のように滑らかに窓の外へ飛び出し、橋の外へ落ち、そのまま水の中へ消えてしまった。


逃げた、やっぱり彼女に逃げられた。


窓から身を乗り出して外を覗くと、水面には波紋が次々と広がっていた。セラフィナの姿は完全に消えており、まるで初めから存在していなかったかのようだった。ただ広がる波紋だけが、ついさっき誰かがここから落ちたことを示していた。


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