第二十話 魔剣士最強の強さ
第二十二話
これは、ラリが死んだ当日の話である。
「レベル5級であり、二足方向の人語を喋れる魔物――いや、魔人か。そんな者が僕に何の用?」
ライヴァンは、街外の店の中で起きた魔物の湧きによる通報に駆け付け、魔物を殺した後の事だった。
魔物はレベル2程度であり、着いて3秒で終わった。
「最強魔剣士の足止め....いや、殺しに来たと言ったところだ」
ノック達の計画――魔剣士を壊滅させ、人間を大量に食すには、世界最強を封じ込める必要があった。
今回は、フェアンの要望により最強の相手を足止めだけでも良いからと言うわけで、相手をしに来た所だ。
「じゃあ、この魔物達は君達が置いたの?僕を人里離れた場所に連れ込む為に」
余裕シャキシャキと喋るライヴァンに、ノックは調子を狂う。
「そうだな」
ライヴァンから出る余裕は、高を括っているのか、それとも本物の実力なのか。
「いつでも来て良いよ。ハンデくらいはあげなくちゃね」
「若造が....」
ノックは、水玉を空気中へとばら撒き、爆発させ背中の甲羅を重心としたパンチを繰り出した。
水玉を常人が少しでも触れれば、死ぬくらいの酸、毒性を持っており、店を一瞬で溶かす。
一応相手は、最強と謳われている魔剣士。
魔力で複数の魚を作り出し、ライヴァンへと噛み付かせた。
その威力は、1匹で成人男性を5秒で食べ終えるほどだ。
少しやり過ぎたのか、ライヴァンの反応が無く、既に死んでいるのかと嘲笑した。
「所詮は人間、最強がここまでならば、この国もすぐに滅ぼおぞ」
ノックは、自分の甲羅を手で磨きあげ立ち去ろうとした。
だが、出来なかった。
後ろの気配が鋭く、野生の勘を刺す。
「まさか生きておるのか!?」
ノックは直様振り向くと、澄ました顔をしたライヴァンが佇んでいた。
2度見しながら、ライヴァンに傷跡がないかと探すが、傷跡どころか服にも破れた箇所などもない。
「レベル5の魔人ってこんなもん?」
ライヴァンは、魚を素手で捻り潰した。
ノックは、あまりキレ症ではない。
ノックに含まれている潤沢な水が熱した頭を冷やすからだ。
だが、攻撃が通じない事によるプライドの傷つけられたのと、舐めた態度により沸点に達した。
「こんなもんじゃないわ!!」
魔力の密度を上げ、水に変換しライヴァンへと波を作りライヴァンへと流す。
サメを5匹作り出しライヴァンの体を喰わせる。
そしてとっておきの甲羅に包まって、回転させスピンを生み出し、時速400kmでライヴァンにぶつかった。
逃げ場を失った音は、急激に圧縮し衝撃波が生じる程だった。
「これで、腐った口も塞がるだろう」
ノックは、勝ち誇った様子で、ライヴァンがいる方へと見た。
だが、ノックが目を大きく張った。
立ち込める煙の中に出てきたのは、無傷のライヴァンだった。
「何回やっても変わんないよ」
ライヴァンは、嘲笑した。
ノックは怒ってる暇もなく、腹に激痛を感じた。
ライヴァンの拳が絶え間なく続いた。
ノックは、血を出しライヴァンにこの身を委ねるしかなかった。
目で追えなかった。
目で追えなければ、体が反応する訳ない。
そして、ノックは土の壁にのめり込んだ。
やっとの思いで、顔を上げると黒のサングラスを外した銀色の目が、至近距離にあった。
「何故....攻撃が当たらなかったのだ」
「僕のユニークスキルは、エネルギーを操るものなんだよ。ほら」
ライヴァンは、一方の手のひらで、魔力を飛ばし、一方の手のひらで受け止めたのだ。
いや、受け止めたと言うよりは、魔力をゼロにしたと言った方が良いだろう。
「あらゆる物質はエネルギーにより動力を持っている。僕はそんな当たり前の事象を操るだけのユニークスキルだよ」
「何が....操るだけだ....。とんだバケモンスキルじゃねぇか」
ノックは合点した。
絶え間なく浴びせた攻撃が当たらない理由。
それは、攻撃に生じるエネルギーを0もしくは、他の方向にエネルギーを持たせ当たらないようにしていたのだ。
「どう?僕の手触ってみる?今ならタダだよ。ほら。体動かなくなっちゃうけど」
そう言いながら、手を横に振る。
「黙れ!!」
魚の群れをライヴァンを覆うように、発生させた。
自分では勝てないと察したノックは、直ぐ様逃げの姿勢を取る。
「こんなんで、僕から逃げれるとでも?」
「上を見ろ」
ライヴァンは言われた通り、目線を上へとやると少年が空から落ちてきた。
ノックは、ボロクソに負けた時の保険として、少年を用意してたのだ。
「助けなければ死ぬぞ」
ライヴァンは、少年の命を優先させノックは音の速さで尻まくって逃げた。
少年を助けた頃には、辺りは静けさが漂っていた。




